気がついたら“さかさ”だった。
「いつから私はサカサなの?」
サカサはいつも気にしていたっけ。
子供のあだ名なんてそんなものだ。
あれから二十年経った今なら、そう言い切れるが、
その頃のサカサには一大事だった。
でももっとかわいそうなのは、
「さかさデブ」
小学校3年生のとき同じクラスだった 坂本 美佐(さかもと みさ)。
略してさかさ。
そして彼女は太っていた。だから「さかさデブ」
さかさなんだから、痩せててもいい気もするが、
そこは小学生。
デブはデブだ。
二年前の正月に同窓会があったが、
結婚して苗字が山本に変わっていた。
でも、やっぱりぽっちゃりしてたっけ。
サカサの名前は佐田 司(つかさ) 略して「サカサ」だ。
誰が最初に言い出したのか今でもわからないが、
時々今でも、そのあだ名を思い出す。
「あれから20年か・・・」
サカサはつぶやいた。
ひとくくりに二十年というにはあまりも多くの出来事が過ぎ去っていた。