日本版『美男<イケメン>ですね』も
第9話目ともなれば、
本家の骨格は保たれているものの、
完全に日本の気風のものに変化してきたな、と感じる。
コリアン・マフィアの若頭領も冒頭チラッと出てまいりました。跡目相続争いも終息したかと思ったら…、知らないよもう。
ドラマ全体が日本の色に染まってきたので、
時折国民性の違いにとまどう
本家『イケメンですね』に比べると
登場人物たちの行動などが胸にストンと落ちて、
しごく軽快に観ることができる。
たとえば本家ではモ・ファランの
テギョンたちに対する妄執ぶりが凄すぎて
戸惑うばかりだったが、
日本版では、水沢麗子がミオの母親に対しての
積年の恨みをその娘にぶつけているのだ、
とすっきり説明されているので分かりやすい。
私、このテギョンが一番小憎らしくて好き。
だから、ミオの気持ちを知った勇気が
お気に入りのバスの中でひとしきり泣いてから、
降車するなり「リセット終わり!」と
明るくミオに笑いかけるのも、
柊が廉に「いままでおまえにはグループの
リーダーの地位も音楽の方向性も譲ってきたけど、
(ここで「そういうのは○ャ○事務所の決めることなのでは?」とは突っ込まないように!)
ミオだけは譲らない」ときっぱり宣言するのも、
それぞれ本家とはセリフが違うが
役柄にきちんと沿っているので自然に聞こえるし、
2人ともこれが自分の見せ場だと心得た
引き締まった演技を見せていて大変に印象が良かった。
ぶっちゅ。
ところが、第9話の廉の描写だけは
どうにも釈然としないものだった。
1度しか言わないはずの「俺はおまえが好きだ」の
言葉をもう1度繰り返したり、
ミオの分まで飲み物を買ってきたり、
映画館で自分の上着をミオにかけてあげたりと、
テギョン役とは思えない
かいがいしさは一体。
ぶちゅちゅ。
いや、タマちゃんは良いんです、タマちゃんは。
ジュースを買ってきてくれるなんて、と感激するミオに
「なに訳の分からないこと言ってるんだよ」と
照れてプイッと横を向くしぐさや、
ミオにあげようとした星のネックレスを
なんとなく渡し損ねて
「どうも苦手だ、こういうの…」と
つぶやきながらポケットに仕舞うところなど、
いまどきの男子ならばでのキュートさが実にいい。
いかにもジャパニーズドラマのラブシーンぽい、
ウォーターフロントでの臆面もないキスシーンも
さらっとこなしたタマちゃん、
キミさぞかし女子にモテるんだろうねぇ。
見直したよ。
ただ、ストーリーの上では、
この段階では廉、というかテギョンは
まだ「星が見えない」状態のはずなのだ。
映画館での廉とミオのやりとりが
本家とは大きく違っていることに
私が失望したのはその点にある。
本家のテギョンは、大嫌いな母親とまったく正反対の
優しいミナムを手に入れた喜びで有頂天なばかりで、
「疲れている」と元気のないミナムを気遣うこともせず
強引に映画館に呼び出している。
日本版『美男』の廉は、
「映画を観る気分じゃないんですけど」と渋るミオを
「おまえの気分なんか関係ない」とさえぎってはいるが、
その口調にはミオの気を引き立てるような優しさがある。
ぼんやりしているミオを気遣い、
くしゃみをすれば黙って自分の服をかけてあげて、
なんて廉って優しいのだろう。
だけどこれは『美男ですね』のテギョンではない。
冬の凍てつく夜空にきらめき揺れる星のようなテギョンではない。
他人の気持ちを忖度しない、
自分勝手で気難しいテギョンではない。
嫌味ったらしい言葉ばかり吐く
人嫌いの青年の心の底に、
母親に愛されずに傷ついた
幼子の熱い涙が流れているテギョンではない。
そんなテギョンがミナムを失い、
彼女こそが自分にとっての輝かしい星のように
特別な存在だったのだと思い知って、
ようやく「星を見る」ことの大切さに目覚めるのが
『美男ですね』の物語だったはず。
それなのに、日本版『美男』が
ここでこんなに廉を優しく改心させては、
後に彼が「星を見る」心境にいたる変化が
輝きにくくなるのではないか。
今回の第9話の脚本は実に納得がいかない。
残り後2話を残すばかりの日本版『美男ですね』。
果たしてその行く末はいかに、と
やや危ぶむゆかりんなのであります。
あと『miss you』の出来がコワイ…。
画像はBaiduなどよりお借りしました。
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