我が家の畑から続く
雑木林の山菜エリア
そこに
毎年顔を出す
春の使者フキノトウ
爺様が生きていた頃
家族の好物だったフキノトウを
もっと美味しくするために
土壌や排水環境を改善したりして
研究に余念がなく
出来を評価しながら
家族で味わう団欒の時間は
毎年
クリスマス級に楽しみな
イベントだったと聞いていました
そんな大切なフキノトウを
「ちょっとくらいいいだろ！」
と言って
ちょうど食べごろな
イイ感じの物ばかり
ごっそりと強奪していく
傍若無人な泥棒ばーさん
ばーさんの逃走後
憤りを抑えきれないまま
台所で義母に報告
我先にフキノトウの天ぷらを
貪る義母
相当な怒りに達して
今すぐに老婆をとっ捕まえるわよ！
と大騒ぎになりそうで
それもそれで大変かもと
心配していたのですが
義母：
「ふーん・・・そう・・・
まあ年寄りのやることですから・・・
そのこと・・・お父さんには内緒よ
お父さんを怒らせると面倒ですから・・・
余計な事を言わないでね！分かった！」
？？？
何・・・その歯切れの悪さ
意味ワカラナイ
私：
「だって、皆さんが楽しみにしていた
フキノトウですよ？
お義母さんも食べていますよね？
お義父さんに内緒って言っても
今日の分だって無いんですよ！
そんなのバレるに決まっています！」
義母：
「あんたね、嘘も方便って言うでしょ
これくらい何とか胡麻化しなさい
収穫した後に川に落としたとか
野良犬がイタズラしていたとか
色々と言い訳できるでしょ！」
私：
「でも、泥棒しているお婆さんが
実際にいるんですよ？
なんで私が失敗したことにしてまで
庇わないといけないんですか？」
義母：
「いちいち煩い子だね！
付き合いってもんがあるんだよ！
お金を盗まれたわけじゃないんだ
大袈裟にするんじゃないよ！
この家の嫁なんだから
あんたさえ泥をかぶれば済む話だろ
いいね！お父さんに話すんじゃないよ！」
私：
「いえ・・・でも・・・」
義母：
「いいから！口挟むんじゃない！」
ということで
泥棒ばーさんの暴挙は
不問となりました
この当時
フキノトウエリアは
義母の管理だったので
具体的な成育状況など
私は詳しく把握していませんでしたが
この事件後
フキノトウエリアを
注意深く観察していると
家庭内消費量と
実際の収穫量にズレがある
そして
雨の予報前に
しっかり収穫していたものが
倉庫の片隅の箱の中にあったのに
義母：
「雨の前にすっかり収穫し損ねて
もうこれじゃドロドロでダメね
本当に申し訳ないわ～」
いつもの義母からは
信じられないくらいしおらしく
素直に謝罪
義父も怒るに怒れず
「次からは注意してくれよな
爺さんのフキノトウだぞ」
とだけ言って終わり
”え・・・でも
収穫したヤツあるよ？”
と思って倉庫に戻ると
フキノトウはすっかり消えている
みたいなことがありました
その後も
怪しいことが多数あったのですが
まだ同居してすぐだったので
あまり強いことは言えず
モヤモヤが積もっていったのです
旬の終わりに近づいた頃
義母：
「今年最後かな～と思っていた分ね～
イノシシか鹿に荒らされてね～
も～う！酷い状態なんだよ！
今年はついてないね！
ま、でもフキノトウだけじゃないし
タラの芽とかこごみとかも楽しみさね」
なんて言いながら
ガッカリした顔で報告してきました
白々しい演技に感じた私
本当にそうなら
フキノトウ好きの義母が
該当の猪や鹿を放っておくはずがなく
実際に
義母の好物のイチジクを荒らすムクドリを
罠を仕掛けて駆除した過去もあると
夫から聞いていたので
絶対に
報復行動にでるはずなのです
”怪しんで下さいというトラップ？”
”それとも急に菩薩の心をゲット？”
”いやいや絶対に何かあるはず！”
そう訝しんで
義母の行動調査すべく
その日は義母を
徹底マークすることにしました
思えば同居当初から
不可解な義母の言動は健在でした
続きます
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