- 利休にたずねよ/山本 兼一
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- さすが直木賞受賞作といったところか、小説としての手法、その必要性、人物描写、緻密な完璧なストーリー性、そして状況描写がすばらしく利休の茶道へ興味を促してくれる。戦国時代であえて難しい題材である『千利休』を独自の感性で鮮やかに描ききった作品。
感想としては、三毒が溢れかえっていた時代に、天下人にも媚びず、ある一定の規律を持って生きた利休は一つの理想像としてみえた。
また頑なな姿勢は最後は身を滅ぼすことになるが、金でも権力でもなく、三毒でもない『欲』について、秀吉もわからなかったその何かの一欠けらが見えた気がした。
利休の茶の座敷に招いてもらいたいものだ。
ただ『のぼうの城』があまりにもよかったので同じ時代のものを探し手に取ったが、ランキングとしてはなんとも悩ましいこととなった。
それは本書で言うところの黄金の茶室か、待庵か、そんな選択である。
どちらが優れているのか、もちろん私の『好み』の問題だろうが、まだ悩んでいる。。。
【余談】
本書評で直木賞受賞作に『さすが』という表現を使ったが不本意であり、私はその受賞作をあまり信じていない。なぜなら私の好きな作家ベスト10に入るであろう宮城谷昌光氏の直木賞受賞作『夏姫春秋』は宮城谷氏の数ある名作の中で最も劣悪な小説となっているからだ。ここ数年良い作品を出している作家の最新作という賞のあり方に疑問を感じる。
- 夏姫春秋(上) (講談社文庫)/宮城谷 昌光
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またPHP文芸文庫といえば北方謙三氏の楊家将はおすすめ!!水滸伝好きにはもちろんですが、それを差し引いてもかなりの秀作です。
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