昔ある人が「役所で無料相談したら、これより先のことは別途事務所で相談に来てください」と言われたと聞いたことがあります。言った人の気持ちはよくわかり、私は原則として無料相談をしていません。先日散歩の途中の50代のご婦人が玄関前の路上で、両親の今後やこれからどうしたら・・という話を始めました。今までの経験から、こういう方に対し「今日はちょっと予定があるので、改めて後日来ていただくか、私がご自宅まで伺うのはどうでしょうか?ただし相談料は頂きます」と言うと「えっ、お金がいるの?無料相談じゃないの?」と言い、そそくさと退散されます。

 「〇〇が気になるが、どうしたら良いか?」と医者に無料で尋ねる人はいないでしょう。医者の持つ知識と経験から判断される診断にお金(診察料)を払う価値を認めるからですが、それは私たちも同じです。資格を取得するのに勉強し、様々な人に会い、法律が変れば新たな知識を仕入れる必要があり、知識と経験はノウハウです。

 「士業の資格」を取って仕事を求める手段で、特に若い方が「無料相談」を実施する傾向もあって「無料」が当たり前と思っている人も多いようです。

 『返報性の法則』というものがあります。人は誰かに何かしてもらうと、お返しをしなければ・・という気持ちになるというものですが、この法則は万事万人に当てはまるものではなく、必要な知識を無料で取得したら「さようなら」と言う人がほとんどのような気がします。時たま「無料でお試しください」と乳飲料等を置いてゆく業者に出くわしますが、私は絶対受取りません、『只ほど高いものはない』ということを信じているためです。