私はいつものように尾行業務を行い、外回りを行っていた。
もう10月だというのに、まだ夏の暑さは去っていない。私の額には大きな汗粒がキラキラ光る。膝裏から垂れた、汗はツーとふくらはぎを流れ、靴下に付着する。脇汗は止まることを知らず、蒸れに蒸れた秘部から溢れ出し、二の腕のあたりまで汗染みが溢れてしまった。

「一度車に戻って休憩にしましょうよー♪」
彼女は私に大きな声で話しかけた。
つい先日入ってきたアルバイトの助手だ。探偵事務所の近くの女子大に通いながら下宿しており、授業の合間に助手のアルバイトとして働いてもらっている。
「動きもなさそうだし、一旦戻ろう。」
私は彼女の提案を受け入れた。

バタンッ
車に戻り、エンジンをかける。
駐車場で、炎天下に晒された黒の軽自動車の中は、まるでサウナのようだ。
マイナスのボタンを連打し、設定温度を最低まで引き下げる。
「浮気調査ばっかでつまらないです。もっと、密室殺人のトリック解き明かしたり、怪盗からお宝を守ったりするみたいなお仕事がしたいです。」
呑気に彼女は言い放つ。
「そんなこと小説の中だけの夢物語だ。現実は浮気調査やペットの捜索、地道な仕事で稼ぐしかないんだよ」
私は夢見る大学生にただリアルを突きつける。かくいう私も、この仕事を始めるまで、全く彼女と同じ気持ちだったというのに。

「あ、私そろそろ時間なので学校に戻りますね。お疲れ様です♪」
そうして、彼女は車を降り、大学の方へ走っていった。

次の日事件は起こる。