幸運だった別会社の設立
倒産後も、唯一、専務とだけは、旧来仕事の件で連絡をとり合い、時に会ってもいました。仕事をしていると、競合する2社との取引を進めたい場合、また仕入れ先仕事を内製化していく場合など、事業幅をひろげていくに伴い、こういう事態は起こり得ることです。同じ会社がそのまま事業をひろげるとなると、どこか相手への遠慮、また折り合い等、なにかと具合が悪いのです。悪いことをしてるのではないのですが、どこか裏切りのような…。これらの業務への取組みのため、私は別会社を設立することにしたのです。そしてその別会社の社長は、この専務についてもらいました。私ではダメなのです。私とは全く縁の切れた別会社、ここがポイントです。私は薬剤師仕事に就きました。稼働が続く中国工場からの出荷品の受入出荷作業を私がすることは時間的に無理でした。というか、専務は、私がこれまでの仕事を嫌悪していることを見越していたのです。中国には懸命に仕事を続けているスタッフ(中国人)が頑張っています。そのスタッフは、日本の私の会社で3年の研修を積み、非常に近しく思う皆さん達でした。専務は、彼らの研修機関には十分面倒をみ、それだけに、仕事に嫌気もあったでしょうが、止むにやまれず、そんなこんなで仕事に引き続き取り組んでくれたのだと思います。その専務が社長のこの別会社が中国の会社との窓口となり、仕事は命脈を保ったのです。日本の取引先、ご担当者にも、ご迷惑をおかけすることを大いに減せたと思います。面白いことですが、仕事をまっすぐに見ている人ほどに、会社が倒産したとかしないとか、そんなことは気にしておらず、あくまで仕事の進みだけに関心を向けています。なので、仕事が維持できれば、その他はスルーです。ビジネスライクとはよくいったものです。(他方、仕事以外に目を向ける人こそ厄介なのです)…結果的に、この会社の存在が、後年、私の復帰を非常に円滑にしたのでした。