【林田光弘さんトークイベント@あんのん館】報告
2/10(土)17:30頃、強い雨が降る中、神戸での講演を終え、林田光弘さんがあんのん館に到着しました。
先に到着していた大野至さんも林田さんもトレーナーにリュック。薄着。若い。笑
この若者たちが国会前で声をあげてくれていたことを思いだし感謝の気持ちが湧いてきます。そして、どんなことを話してくれるのかなとわくわくしてきます。一日中降り続いた雨や、インフルエンザの影響で参加者の数は予定より少なかったのですが、あんのん館のあたたかい空間で、距離が近く、気持ちがより伝わる時間でした。
【トークの概要】
「今、私たちはあらたに被爆者を生み出すかもしれない状況にいる」
林田さんの最初の言葉です。
アメリカは核兵器を使いやすくしようとしています。
オバマ大統領は核兵器の存在価値をさげていました。ここまで強いものは必要ないと。
トランプ大統領は北朝鮮の長距離弾道ミサイルの開発を受け、核戦略の見直しをしています。
広島・長崎以降、どうやって核兵器を使用しないようにするかという流れだったけれども、トランプ大統領は変えようとしています。「小さい核の開発」を明言しました。
今までは、「自分を核兵器の被害から守るために核兵器をもつ」という考えだったけれども、「通常兵器に対抗するために核兵器を使う」という視点に変わってきています。
そして
アメリカの方向転換をほぼ100%賛同した日本も当事者。
今、日本は、「自分たちを守るために、他国の人をヒバクシャにしてもいいと思っている。」
そういうメッセージを世界に発信してしまっています。
どうしたらいいか。
核戦略見直しに日本が同調したことは何が問題か。
北朝鮮に対する核抑止は現実問題として必要という意見にどう対応するか。
林田さんは
「広島、長崎の原爆と、現在の核兵器をつなげて考えることが大切。」と言います。
被爆者のことと核兵器の歴史がわかると見方が変わります。
基礎知識をきちんとおさえれば、被爆体験から得られることが増えます。
では基礎知識とはなんでしょう。
「核兵器は他の兵器となにがちがう?」
「戦車やマシンガンはなぜ禁止しないの?なにがちがうの?」
⇒基礎知識①
先の戦争でも、国際人道法上、戦争時にやってはいけないルールがありました。例えば、白旗をあげたらもう撃たない、軍事目標以外の攻撃を禁止、戦争は軍人対軍人のもので一般の人を対象にしない、など。
そして、破壊効果が極めて強力で、効果を一定の対象に限定できない大量破壊兵器のいくつかは、実際に使用が禁止されています。例えば、毒ガス。これは風向き次第で軍事目的でないところにも被害をもたらします。ほかには地雷。被害に時間制限がありません。
核兵器は国際法で禁止されていない唯一の兵器。しかも、大量破壊兵器の中で最強で最悪です。
⇒基礎知識②
被爆者の定義は。法的に定められている被爆者手帳をもっている人のことです。その条件は、
①直接被爆(指定地区で直接被曝)
②入市被爆(2週間以内に2キロ県内)
③救護被爆(被災者の救護、死体の処理等)
④胎内被爆(①~③の胎内にいた人)
ですが、さらに、上の条件を証明する人が家族以外で2人必要です。
戦後、被爆者に対する差別がある中で、自分が被爆したと言えない人がたくさんいました。結婚差別や子どもへの差別を恐れ口を閉ざしていた時期を終え、身内に影響を与えないと判断し、被爆者手帳をもらおうと思った時には高齢になっていて、周りに証明できる人がいない、という状況にある人が多くいます。
また、被爆者の被爆体験は被爆した当時のことだけではありません。例えば、手にケロイドをもつ女性は毎日手を見たら原爆を思い出します。例えば、去年の8月に亡くなられた谷口稜曄さん。背中にひどいやけどを負ったため、ずっとうつぶせで治療していました。そのため肋骨がなくなり、臓器の動きが見えました。谷口さんは太ることができませんでした。一緒にお話する機会があったときに「おすしを食べに行こう」という話になったけど、谷口さんは「贅沢なものは食べられない」とおっしゃいました。谷口さんの被爆体験はずっと続いていたのです。
現在の核兵器の破壊力は、広島を1とした場合、3300倍です。
これらの基礎知識を念頭に置いて、
では東京に使われたら?平壌に使われたら?
⇒想像してみること。
核兵器廃絶を目指した条約にNPT(核拡散防止条約)があるけれども、NPTには問題がたくさんあります。
①5カ国には核保有を認め、そもそも不平等であること
②だからこそ期限付きであったこと
③核兵器国には軍縮の義務があり、非核国には平和利用のけんりがあること
④1995年には中東和平プロセスを進めることを約束の上で「延長」になったこと
⑤冷戦終結後、核兵器国の軍縮は停滞している
2010年に赤十字が核兵器の非人道性に着目しました。
⇒どうやって減らすか、ではなく、そもそももっちゃダメなんじゃない?へ変化
今地球上にある核兵器の1%でも使用したら、地球環境が破壊され、人類は滅亡するという環境学者もいます。原爆の使用に対して、コストパフォーマンス悪いんじゃないの?と具体的に考え始めました。
が、日本は話し合いの場を作ることに反対しました。
2017年7月核兵器禁止条約が採択されました。
たとえ自衛のためであっても、核兵器の使用は禁止されます。この条約に北朝鮮も入ることができます。
ただ、まだ条約は発行していません。効力なし。50カ国の批准が必要です。
署名は各国の首脳ができるが、批准は国会を通らなければいけません。今の北朝鮮の状況では、例え核兵器禁止条約を理解できても政治的に批准できない状況です。
日本政府が核兵器禁止条約に参加しない理由は以下の内容です。
有効ではない。北朝鮮が加入しない。NPT5カ国を認めながら核兵器を減らしたい。
ヨーロッパはすぐには批准できないけど、この条約がどのような効果をもたらすかを調査すると言っています。が、日本政府は調査もしないと言っています。北朝鮮に圧力をかけつつ、禁止条約に批准したらどうなるか調査するべきとではないでしょうか。
世界の人たちは原爆を使用したあと、被爆することが実際にどんなことなのかを想像できません。
私たちにできること。
被爆体験を世界に伝え、核兵器のイメージを転換させること。
被爆体験の重たさを世界に発信する。回り道だけどこれしかないと思います。
「核兵器廃絶を夢にしない」
少し前までは女性に参政権が与えられると思っていなかった。
少し前までは黒人の人権も考えられなかった。
少し前までなかったものがその運動をした人たちのおかげで、今は当然のものとしてある。
⇒核兵器のない世界もまた実現できる。
【対談の概要】
Q:ヒバクシャ国際署名について
A:2016年4月から。日本で初めて被爆者のみなさん自らが「核兵器をなくしていこう」と呼びかけた署名。去年の9月までに5,154,866筆集まった。300万筆目標。自治体の署名数1.015筆。兵庫県、西宮市も署名。核兵器廃絶に保守も革新もない。核兵器禁止条約ができる前だったので、たくさんの団体、地域が署名してくれた。今後は政治的になる可能性がある。朝鮮戦争のときに核兵器使用しないでくれという署名が5~6億集まったと言われている。
実はぼくは署名の数にこだわっていない。核兵器禁止条約に入っていない国が、例えヒバクシャ署名が3億集まったとしても変わらないだろう。署名だけでなく、学習会が開かれたり、パレードや集会など複合的なアクションが増えること。署名そのものより、署名を通じて動きができる。それが大事。
Q:具体的になにをしたらいいか
A:被爆者に会う機会を作る。兵庫に被爆者3000人。話してもらう機会をつくる。被爆者は話したくても話す場所がない。渋谷で被爆体験者10人集めて被爆者と集うカフェをする。被爆者とつながったとき、知り合いになったときに人は変わる。少ない人数でもよい。被爆者の被爆体験を今聞くことがなぜ大切なのか。核兵器の非人道性は今日まで続く放射線被曝、差別。それを話してもらう。シールズ作ってよ、じゃなくて、ひとりひとりが考えないといけない。ワークショップ、講演など、どんどん開く。
Q:林田さんのこと知りたい
A:長崎出身。家族と原爆の話をしたかというと…。実はそうでもなくて、家族の中では自分だけ異質だと言われている。高校生のときから活動している。海外に行ける、という理由で高校生大使に。ほかの高校生大使も内申点がよくなるという理由で来ている子も多かった。そこで他県の高校生との原爆に対する知識と理解に大きな違いがあることを知り、危機感を抱いた。
Q:どうやって活動のモチベーションを保つか
A:核兵器をなくす、と思っている。大学の先生との出会いが大きい。動物は殺しあう。が、人間は理性で法律を作り律してきた。なくすことは可能と思っている。人間フェチなので、価値観の違う人に会うのも好き。
Q:どうやって被爆者の話を継承していくか
A:たとえ動画を撮影しても、いつ、どういうふうに伝えるかで伝わりかたが違ってくる。フェイクニュースが怖い。たとえば、第二次世界大戦の映像を見て、これはCGだよね、という社会がくるかもしれない。怖い。会って、話をするときの間や、声色などすべてから思いを読み取る。
大野くん:広島や長崎出身ではないので、語っていいのか躊躇していた。リアリティーを感じられていなかったが、林田くんを通してリアルになってきた。昔、林田くんとシェアハウスに住んでいたとき、子どもたちのたまり場になっていた。そのなかに、自衛隊がかっこいいと言った子どもがいた。子どもたちとの関係ができていたので、一緒に戦争の写真をみることができた。それもひとつの継承のカタチ。
林田くん:思いをつなぐ、というのはものさしをひとつもらうこと。たとえばトランジションの考え方と消費が豊かさと考えるものさしは同じではない。ものさしはたくさんあって、ひとつのものさしをもらうと考えている。当事者じゃなくても語って良い。
この報告を持ちまして、当ブログの更新を終了いたします。
今後も、国際ヒバクシャショメイやICANの活動が続いていくよう、
市民として自分にできることを続けていこうと思います。
ブログをお読みいただいたみなさまありがとうございました。
2018.3.5 兵庫県西宮にて


