その時々の最善を取ってる結果がこれだ。という自負がある。
後から考えて結果論的にああだこうだは考えられるかもしれないけど、それは言っても詮無きことやし、当時はそれが最善という結論を出してその行動を取ってるんだから反省することこそあっても後悔はしない。どんなことでも。
ってずっと思ってたし、基本その考えは正しかった。今も正しいとは考えてる。
でも、一つだけ後悔があるかもしれんことに気付いた。詮無きことなのに、あぁしておけばって思ってしまってる。どうにもならない。
5年会ってない高校の同級生のLINEのアイコンが変わって、その子の顔とか、メッシュ入ったお洒落な髪形とか、くそ似合ってる服とか、お化粧なのかめっちゃかっこいい眉とか、変わってないけど反吐が出るほど綺麗な目を見たとき。どうにもならんことをどうにかしてほしいと思ってしまった。当時に戻れたらいいのに。
どうしようもないと理屈で分かってるのに、それでもなお感じてるこのやるせなさが、後悔って言うんやろな。
あの子と初めてちゃんと仲良くなれた気がする軽音楽部の合宿の時、何にも悪いことしてないのにベースが壊れたあの子にもっとなにかできたんか。
あの子が好きなゲーム無理してでも買って一緒に遊べばよかったこと。
あの子が俺のバンドのボーカルの事が好きなことに気付いてしまったこと。
おれは、君を見てたから、君がどこを見てるか分かってしまった。
それとなく君から聞いて、その恋を応援してるよ!って立場を取ってしまったこと。
好きな人が幸せになることこそが大切だ。っていう大義を盾に自分の気持ちはうっすら無視してた。
ライブ終わり、あの子のバンドと俺らのバンドでの帰り道、歩きながらあの子とボーカルが隣になるように誘導したこと。
いい人気取り、これでいいんだって言い聞かせてた。逃げてただけのくせに。
俺のバンドのベース、小学校からの腐れ縁で最高の友達もあの子の事が好きなことにうすうす気付いてしまったこと。
一緒のバスに乗って、あの子がバスに乗ってくる所を一緒に見てた。一緒に二人で手を振った。
腐れ縁野郎があの子と話すとき、いつも照れ隠し的なのが見え隠れしてたから分かってしまった。確認するのが怖くて、ずっとできなかった。
大親友と、腹割って話して、殴り合ってでも、あの時好きだって言えばよかった。
あの子が好きな俺のバンドのボーカルも、あの子が好きな最高の友達も、どっちもいいやつ。いいやつだから、だからこそ、いや、やめよまた言い訳しそうになる。
僕は、あの子が好きで、好きだったのに何も伝えず気持ちを拗らせた。
ただそれだけ、一生引きずっていけ雑魚。一生噛み締めとけ思い出。
23歳くらいの、夜腐れ縁ベストフレンドと車の中で駄弁ってた。あいつから言ってきた。やっぱりあの子のこと好きやった。
「あの子のこと好きやったなぁ」
「えぇ!あの子のバンドの子らみんな妹みたいな感じで恋愛対象じゃない的なん言うてなかった?」
完全に勘付いてたのに、当時の彼の嘘を引き合いにだして驚いた振りをした。
「いやぁ、あの子だけはちゃんと好きやったな」「まぁ、ちゃんと美人やったもんな~」白々しく、自分は好きじゃないです。みたいな。そんな顔して逃げた。
あの時、親友は俺の気持ちも確認しに来てたんやろか、遅れに遅れた殴り合いでどっちが告白するか決めようぜってしてたら、このアホみたいな胸のもだもだは無かったんやろか。
一番の後悔は、はじめてあの子からLINE通話かけてきてくれた時に携帯をミュートにしてたこと。後から聞いたら、バンドメンバーと喧嘩してスタジオ飛び出して、俺に電話掛けてくれてたらしかったこと。
それが何より何より苦しい思い出。
でも、多分、いや、やっぱり一番の後悔は、好きだと言えてないこと。
ずっと好きです。