息がつまり涙がとまりません。どうして…。
でもこれは日常起こっていること。
長いけれど、是非、最後まで読んでいただきたいです。
これからペットを飼うという方たちに
そしてこれからペットになる生き物達のために!
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処分の仕方が違うとか、犬がそんな事考えないよ、とか考えずに感じて下さい。
安楽死のイメージを与える可能性がありますので但書します。
これは海外での話です。
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国内ではガスによる窒息死でもがき苦しみます。
どちらにしても「殺す」のに変わりはありませんが…
動物愛護センターで犬猫が処分されていると聞いてもピンとこない人も多いと思います。私はこの老犬の詩を多くの方に読んで欲しいと思っています。
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転載歓迎
『純粋に感じて』
どうしてなの?
私が未だ子犬だった頃、
私はおどけたしぐさであなたを楽しませ、笑わせたものでしたね。
あなたは私を自分の子供のように呼び、
どんなにカミカミ靴やバラバラ枕が増えようとも、
私はあなたのベストフレンドでしたね。
私が悪いことをするとあなたは決まって、
手を振りながら指差して、私に向かって言いましたね、
「どうしてなの・・?」って。
でも決まってすぐに優しくなって、
私をひっくり返してお腹をくすぐってくれたものでした。
あなたはとても忙しかったから、
私のしつけは思ったより長く掛かったけど、
頑張ったね、どちらも。
思い出せば、ベッドで向き合って寝、
あなたの内緒話や夢を聞いたこともありました。
これ以上の幸せはないと感じたものです。
長い長い散歩もしました。
公園を走りました。
ドライブもしました。
時には止まってアイスも買いました。
あなたは「犬にはアイスクリームはドクなんだ」と言って私にコーンだけをくれましたね。
日暮れには帰るあなたを待って、日の下で、
私はいつまでもうたた寝をしていたものです。
段々と、あなたは自分のお仕事に多くの時間を割くようになり、そして人間の友達を捜し求めるようになりました。
私は辛抱強く待ちました。
落胆と失望を超えて、なおあなたに好意の気持ちを捧げました。
悲しい事態にも、決してあなたを責めるような気持ちは持ちませんでした。
あなたが帰宅されれば、いつも喜んで飛び跳ねましたね、
あなたが恋に落ちた時でさえもね・・・。
あのお方、今やあなたの奥様、は犬好きではありませんでした。
でも、私は「私達の家」に彼女を歓迎しましたよ。
そういう振りだけでもしようと務めました。
服従の気持ちも保持しました。
私、幸せでした。 あなたが幸せそうでしたから。
やがて赤ちゃん達が生まれましたね。
興奮するあなたに、私も喜びましたよ。
あのピンクの肌色に魅せられて、
素晴らしい匂いがして、あの時、私にも母性が疼いたのです。
でも、お二人が心配したのは、私があの子らを傷つけてしまうのではということだけだったみたい。
だから私は、別の部屋に遠ざけられたり、
クレートに入れられたりでした。
あぁ、私、どれほどあのお子たちに合いたかったことか。
なのに、あの時の私は、まさに「愛の虜囚」でした。
お子たちが成長し始めると、私は彼らの友達になりました。
毛にしがみつかれたり、
よろめく足でよじ登られたり、
目に指を差し込まれそうになったり、
鼻にキスされたり。
私は彼らの全てを愛しました。
触られても触られても・・・、
何故なら、あなたに触って頂けることはもう殆ど無くなっていましたから。
必要なら、この子らを自分の命を掛けて護ってあげよう、
そう思うようになりました。
許されるなら、そおっと彼らのベッドに入って行って、彼らの悩みや内緒の夢を聴いてやり、一緒に聞き耳を立てて、帰って来るあなたの車の気配を待ってやろう、そう願ったものでした。
かつてあなたは、人に
犬を飼ってるか?
と聞かれた時のために、私の写真を財布に入れていて、
時あれば、私のことを幾つも話して聞かせましたね。
でもここ数年は、聞かれても、あなたの答えは
「居るよ」
だけで、直ぐに話題を変えましたね。
私はもう、あなたにとって「僕のワン」ではなくて、
「ただのイヌ」になってしまいました。
そして私に掛かる費用は、何でも癪の種になってしまいましたね。
今回、あなたは別の町の仕事場に栄転になり、
あなたとお家族はペットを飼ってはいけないアパートへの引越しをすることになりました。
そう、あなたは、あなたのお「家族」のために当然な決断をされました。
でも、かつては、私だけがあなたの家族だった。
ありましたね、そういう時が。
車に乗って、私は嬉しかった・・。
あの動物救護施設に着くまではね。
そこは、犬や猫の臭いがいっぱいで、恐れと絶望の空気が充満していました。
あなたはそこの伝票に記入すると、「じゃぁ、この子にいい家を見つけてやってよ」と言いました。
施設の人達は肩をすくめて苦笑いを返しました。
皆、この初老の犬が、たった一枚の伝票によって、これから直面するであろう現実についてよく分かっているのです。
あなたは、私の首輪を握り締めている息子さんの手をこじ開けましたね。
彼は泣き叫んでくれましたよ。
「やめてっ!父さん!お願いだから、僕のワンをここに置いていかないでー!」と。
私は息子さんのことの方が心配になりました。
今まさにあなたが彼に教えてしまったことについてです。
いったい・・友情とは。忠実とは。愛とは。責任とは。
そして生きとし生けるものの尊厳とは・・・。
あなたは私からの目を逸らしながら、私の頭にさよならの手を載せました。
私の首輪と紐を受け取るのを慇懃に断って・・・。
ついにあなたは一線を超えてしまいました。
そしてそれは、私にも超えろということ・・・。
あなたが立ち去ってから、その二人の優しい女子職員の話が続きました。
「あの飼い主は、数ヶ月前から引越しすることが分かっていたのに、
その間、この子のために良い家を探す努力をしなかったのね」。
彼女らは空しく首を振って言いました。
「どうしてなの・・?」と。
彼女らは、この施設の忙しさの中で、
私達に出来る限りの心遣いをしてくれました。
食餌はもちろん出ました、
が、私には以前のような食欲は無くなっていました。
それよりも私は、私の囲いの前を誰かが通る度に、
若しやあなたが!
と期待しながら前に飛び出して行きました。
あなたが気を変えて迎えに来てくれたらと思ったのです。
そんなの全く叶えられない夢だった・・。
または、もしかして、せめて、
どなたか私のことを心配して来て下さって、
救いに来て下さるのではとも念じました。
でも、もう私には、
子犬のように可愛がられるようなそんな浮かれた期待など
とうてい叶えられないのだという、
うっかり忘れていた我が宿命に気が付いたのです。
私は囲いの一番奥に引き込み、動かなくなりました。
その日の夕方、私に向かって近づいて来る女性職員の足音が聞こえました。
私は彼女に従って通路をとぼとぼと進み、
別の部屋に入りました。
至福な静けさ・・・。
彼女は私をテーブルの上に上げました。
そして、私の耳を撫でました。
「怖いことは無いからね」と言いながら。
何が起こるのだろうかと
心臓の鼓動が早くなりました。
でも、一方で、なんだか安らかな気持ちにもなりました。
「愛の虜囚」だった私から、
昔日の重荷が解け去って行くようでした。
私の本性がそうさせるように、まず気になるのは彼女のことでした。
彼女はまるでとても重い荷物を背負っているように見えました。
それは丁度、かつてあなたがいつも何かを背負っていた頃の様子と同じでした。
彼女は自分の頬を流れる涙を拭きもせず、
私の前足に止血帯を巻きました。
私は彼女の手を舐めました。
ずうっと昔、あなたを慰めたい時にいつもこうしてあげましたね。
彼女は私の静脈に手早く注射針を入れました。
チクっとして、冷たい液が体に流れて、
そして私は、眠たげに体を横たえました。
彼女の優しい目を見つめながら、私はささやきました。
「どうしてなの・・?」と。
彼女には犬の言葉が分かったに違いありません。
彼女は言いました。
「ほんとうに御免なさいね・・・」と。
彼女は私を抱きしめました。
そして、大急ぎで言うのでした。
これが彼女の仕事なのだということ。
でも、それは、私がより良いところへ行けるようにと願ってのことだということ、
そこでは、誰からも無視をされず、
誰からも虐待を受けず、
決して遺棄されず、
そしてまた、なんの抵抗もしないで済むところ、
愛と光に溢れるところ、
この地上とはまったく違うところ、なのだと。
私は僅かに残った力で、しっぽを振りました。
言いたかったのです。
さっきの「どうしてなの・・?」は、彼女に向けて問うたのではないことを。
それは、あなたに問いたかったことなのです。
私の最愛のご主人さまに。
心からお慕いしてきたあなたに。
これからもずーっとお慕いして行くあなたに。
そしていつまでも、いつまでも、私が待ち続けるあなたに。
どなた様からも、あなたの生涯に注がれますことを・・、
かく限りなき誠実が・・。