「指定感染症は見直すべき」
――診療体制についてはいかがですか。

 ここは地域の役割分担がかなり構築されてきて、周辺の総合病院で軽症から中等症の患者を受け入れて、酸素が必要になってくると当施設に転院するという体制です。外来でも診療していますが、重症とそれ以外の患者をトリアージして、診療を分担しています。

――小さな医療機関では発熱や感冒様症状のある患者の受け入れが困難で、他の症状の患者の受診控えによる病院運営への影響も少なくないようです。一般の企業も住民の移動規制で多大な影響を受けているところも少なくありません。COVID-19診療の経験を踏まえて、この点についてはどう考えますか。

 二類感染症相当の指定感染症に分類されている中では、クリニックで診療するのは難しいと考えています。二類感染症にはご存じの通りポリオやジフテリア、結核、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MARS)そして鳥インフルエンザがあります。実際のところ、これら二類の感染症に対して感染対策を行いながらクリニックで継続して診療することができるのでしょうか? 私は難しいというか、不可能に近いのではと思います。医療者も、万が一手洗いを忘れたりしたら、濃厚接触扱いで2週間閉院などということになりかねませんし、特に地方では風評被害による影響も懸念されますよね。多くの人はCOVID-19陽性になって症状が出ることよりも、風評被害が不安になっていることが大きいと思います。

 今、振り返っても、当初の対応レベルは適切だったと思いますが、もう半年以上たって、ウイルスの性質や重症化する人の背景因子や重症化率も、無症状で治っていく人が大部分であることなども分かってきました。今、COVID-19は指定感染症となっていますが、これは2021年1月31日までの期限付きであるということも重要な点です。さらには新型インフルエンザ等感染症特別措置法で新型コロナウイルス感染症に関する特例によってCOVID-19に対して特別措置法を適用しているのですが、こちらも2021年1月31日までの期限で政令として定められています(編集部注:取材日現在の情報)。年末に差し掛かり、ウイルスとしての現状を把握し、法律などとの整合性をとっていくことが急務となります。

――ウイルスの正体が分からないうちは厳しめに対応して、徐々に緩めていく。では、その緩め具合をどうするのか、いったん始めたことをどう止めていくのかというのが、難しいところですね。

 それは、医療より政治の担う役割の方が大きいと考えています。もちろん「医療のことだけ考えて、対策を」と言われたら、国民全員1年間ステイホームです。自宅で身の回りのことは全部オンラインで済ませる。人々が出歩かなくなれば、ウイルスは伝播できなくなりますから、ヒト間の感染はいったん制圧できるでしょう。でも1年後、外に出たら、まるでSF映画のように街は廃墟になっていると思います。私はそれだと困ります。行きたい店がなくなったら悲しいですし、何よりも多くの人々が失業し、社会が不安定になってしまうと思います。withコロナで実情に合わせて、ウイルスと一緒に生きていくというのは、緩和策を柔軟に考えていくということだと思います。