今回は大雑把なウデムシの飼育方法と、雌雄判別について書きました。

ウデムシ飼育を始める人の力になれば幸いです。



Acanthophrynus coronatus

ウデムシ最大種

Acanthophrynus coronatus 


まだ大きくなる




飼育方法 


 飼育環境

ウデムシの飼育ですが、多くの種が25〜30度の温度帯で湿度を高めに保ち、個体に合ったサイズのイエコやレッチを与えてください。ヒメウデムシにはトビムシやトリニドショウジョウバエを与えましょう。

種類毎の説明はそのうち書きます……


餌のサイズは頭胸部と同じかそれより少し小さい位のサイズだと良いです。


違う点は、他の蟲に比べて飼育に高さと横幅が必要になってくることです。

ぶら下がって脱皮をする上、例外は結構ありますが日本で流通するウデムシの多くが第1脚(鞭のような脚)やら、横に張り出した触肢やらで結構な横幅がある生き物となりますので、飼育ケースは高さは勿論横幅も求められてきます。

大型種となれば30×30×40のグラステラリウムですら心許なくなってきます。


一円玉より小さいヒメウデムシの仲間はフィルムケース等でも飼育可能

床材についてですがピートモスや黒土、赤玉土や桐生砂を混ぜた水はけの良い用土を使えば間違い無いです。

適当にワラジムシやトビムシを撒いておくとゴミを食べてくれますよ。


ケト土とコルク板を用いた飼育水槽

そして前述の通り、ウデムシはぶら下がって脱皮をします。どんなに大きなウデムシでも、小さいウデムシでも脱ぐ時はぶら下がります。


壁面の高さですが、レッグスパンの2〜3倍の高さがあれば大丈夫です。

そこに隠れ家や脱皮時に使う板を立掛けてあげてください。大抵立て掛けた板の裏側にぶら下がって脱皮します。


たまに天井や垂直な壁面でも脱ぎますが・・・


壁面や立てかける板はコルク材、表面に傷をつけた木材、鉢底ネット、滑り止めマット、固めたケト土、etc……ウデムシが登れる物なら問題ありません。

発泡スチロールやグラステラリウムの付属バックボードを使う時は表面に泥を塗りたくり乾燥させてやるとそれが良い足がかりになります。



脱皮中のCharon sp

飼育ケースが生体に合ったサイズでない場合や足場の高さが足りない場合は脱皮中に地面や壁に身体が当たってしまい脚が歪みます。


脱皮直後は身体が柔らかく傷つきやすい


 


オススメはレッドローチです。ウデムシを襲うこともありませんし、壁面をよく登るのでウデムシも見つけやすいです。

逆の理由で土に潜りがちなミルワームやデュビアを与える場合は潜らないように皿に乗せたりすると良いかもしれません。

イエコやクロコもオススメですが、脱皮直後に襲われる事があるので注意です。


嗜好性は落ちますが、置きエサも食べます。刻んだ冷凍ヒヨコや冷凍ピンクマウス等を食べる事を確認しています。前述した潜るタイプの生き餌や、反撃するようなクロコオロギ等はは〆て置きエサにするといいかもしれませんね。


あと、水も飲むので壁面に霧吹きしたり水皿を置いてあげましょう。


 多頭飼育


余程広くて隠れ家の多いケースじゃない限りはやめといた方がいいです。


脱皮のタイミングで襲われたり脱皮中に蹴落とされそのまま亡くなります。

あとサイズ差が顕著だと小さい方が食べられます。


威嚇するPhrynus spのオス達

繁殖の際に数日同居させるくらいにしときましょう。





飼育トラブル 



 欠損

まず1番多い怪我、欠損です。

ザトウムシの如く頻繁に自切する訳ではありません。適切に飼育していればまず自切する事は無いです。多いのは輸送中の自切と思われます。


足が1本欠けてたり第1脚(鞭のような脚)が1本欠けているぐらいなら特に問題はありません。

自力で餌も捕れますし、1回脱皮すれば欠損した部位がまた生えてきます。




欠損のあるCatageus sp

問題は第1脚が2本とも欠損していた場合です。

第1脚は人間で言うところの眼であり、ウデムシにとって周囲を認識するのに必要な器官です。それが両方欠損しているウデムシは周囲の状況がほとんど分かりません。

そうなると当然活き餌が取れ無い為、人の手で餌を与える必要があります。

与え方ですが、ピンセットで口元に潰したイエコやレッチを持っていくとそのまま食べてくれます。

潰した時に出る汁を先に口に含ませると食べてくれやすいです。


第1脚を両方欠損したPhrynus spの給餌

給餌を根気強く続ければいずれ脱皮し欠損した部位は再生します。


 出血


次に出血です。

ケースを閉める時に足を挟んだり、脱皮直後の柔らかい状態で生き餌に齧られたりした場合に起こります。

自切する分には出血しないのですが、関節部では無い所から足を切断されたり比較的柔らかい腹部に傷が付くと出血します。結構ドバドバ出ます。

対処なのですが、タランチュラと同じく片栗粉を塗る等して対処します。


ちなみにウデムシの血は青いです。



 寄生虫


今まで飼育をしてきて寄生虫等は見たことは無いですが、南米にはウデムシに寄生する寄生蠅がいるとの事です。南米産のWCウデムシなんて入ってこないので特に気にする事はないかと思われます。


次に肉食奇蟲飼育でよく問題になるダニですが、殆ど付きません。しかし弱った個体がダニにまかれる事はありました。


あと寄生虫ではないですが、外から入り込んできた蜘蛛がケース内に巣を作る事があります。

巣に第1脚が引っかかると自切することがあるので気を付けてください。




雌雄判別 



ウデムシの雌雄判別は。

・触肢

・腹部

・生殖口蓋

の3つで行えます。



 触肢

まず触肢での雌雄判別から見ていきましょう。


Weygoldtia davidoviのペアです。

見てわかる通り触肢の長さが違います。短い方がメスで長い方がオスとなっています。


こちらはタイ産Catageus spのペア

このウデムシもオスの腕が長くメスの腕が短い事が分かります。


他にもAcanthophrynus coronatusやPhrynichus orientalisなどのウデムシでも触肢を用いた雌雄判別が可能です。

しかしオスとメスでの腕の長さにあまり差が無い種類が居る点や、亜成体の段階ではメスとオスの腕の長さが対して変わらないような種も居る為、場合によってはこの判断方法は使えません。


 腹部

次に腹部で判別する方法です。

卵を腹に抱えるメスの方がオスより横幅があります。

しかし、これに関しては痩せ具合で見え方が変わってくるので雌雄判別には少し心許ないと個人的には思います。種類によっては全く分かりませんし……


左メス  右オス



次に腹部を裏側から見てみましょう。


種類によってはこのように卵巣が透けて見えます。

しかし、この判別方法は卵巣があまり透けない種類が居たり、卵巣の発達具合ではこのようにならないメスも居たりする為こちらも確実性に欠けます。





 生殖口蓋

次の判別方法は生殖口蓋を見る事です。



まずはPhrynichus orientalisの生殖口蓋。

左がオスで右がメスです。メスには赤い毛が生えており、オスにはそれがありません。

本種は亜成体の頃からこの特徴が出始める為、早期での雌雄判別が可能です。


次にAcanthophrynus coronatus 


左がメスで右がオスです。

Phrynichus orientalisと違い、オスの方に黒い2つの点があり、メスにはそれがありません。

こちらもorientalis同様若い個体でも確認できました。


そしてCharon sp


左のメスと右のオスで生殖口蓋の形状が少し違います。この手のウデムシがいちばん厄介です。

上手く写真が撮れない上に短期記憶が壊滅的な私にとっては1番苦手なタイプとなります。ペアが揃っている事を祈り、ひたすら見比べるしかありません。

このように生殖口蓋はわかりやすい特徴がある種類も居れば、微々たる差しかない種も居ます。


確認方法ですが、頭胸部を優しくつまんで裏を見るか、透明なケースに入れて下からライトで照らしたりして確認しましょう。





繁殖と種類毎の飼育方法についてはそのうち書きます。