第八話 刃を交える兄弟 




なぜカーチスと黒獅子にだけ侵入者の報が入ったのか? 
それはこの組織が軍隊ではないことが起因していた。 

しょせんは海賊業であり、これほど大規模になろうと各々が利益のために働く烏合の衆であり、 
組織戦はもとより団体行動などできないただの傭兵たちだったからだ・・・ 


もし全員にこの報を伝えても恐らく彼等は上の命令などは聞かずに、かえって混乱を招く恐れがあったのだ・・・ 


その脆弱な組織編制に注目したのは何を隠そう、今小惑星に近づく侵入者であるエイク達だったのだ。 


数は多くとも徒党を組むことができないただの集団であるという盲点を突いて、彼等は徐々に小惑星に近づいていく・・・ 




「もう少しだ!!奴ら思った通り気が付くそぶりも見せないぞ!!」 
平穏無事にここまで進入できたエイクとジュドーは目前に見える小惑星にはやる気持ちを抑えきれない。 



「エイクさんが言ったとおりだね!!たった二機の俺たちなんか眼中にないみたいだ!!」 
ジュドーも作戦の成功に気をよくしていた。 
ピキィン!! 

しかしそんなジュドーはあるプレッシャーが近づいてくるのを感じ突如表情をこわばらせる!! 


ディジェ宇宙強化使用を反転させ後方の宙域を慎重に見つめる!! 

すると一機のMSが迫ってくる様子が目に入ってきた!! 




「エイクさん!!みつかっちゃったみたいだ!!」 


「まさか!!」 
その言葉にエイクも振り返りそれを確認する!! 
徐々に姿を見せるそのMS。 

それは大型の紫のMSの姿だった!! 





「あそこに見えるものだな!!我らディープシャークの本拠地に侵入しようなどどこの輩か!!」 
黒獅子の乗ったブラガ・ハーンがエイクたちの機体を確認する。 
ものすごい速度で接近するブラガ・ハーンだが後続のMSの姿は見えない・・・ 

彼がなぜこの場所に一直線で向かうことができたのかは、ブラガ・ハーンが積んでいるサイコボックスによる影響が大きかった。 
操縦者のサイコミュ能力を増幅させるサイコボックスが、エイクたちの存在を感知させ黒獅子をここに向かわせていたのだ。 




「まずい!!あれはいやな感覚の奴だ!!散開してエイクさん!!」 
黒獅子の異様な気配を感じ取ったジュドーはすぐにエイクに後退の指示を送る!! 
ニュータイプの彼は黒獅子が自分と同じような能力を秘めていることを感じ取っていたのだ!! 



「でかい!!くそっあと少しだというのに!!」 
エイクも素直にジュドーに従い回避行動に入る!! 

ギュギューーーン!! 
しかしそんな彼らをあざ笑うかのようにブラガ・ハーンは尚も加速を強め間合いをつめてくる!! 



「逃がしはしない!!」 
エイクたちが回避運動に入るのを確認して、黒獅子はブラガ・ハーンをジュドーのディジェ宇宙強化使用のもとに向かわせる!! 
彼にとって今脅威と感じたのはジュドーの存在であり、まず頭を潰しておこうという魂胆だったのだ。 

これに対して逃げられないと悟ったジュドーは機体を反転させ戦闘体制に入る!! 



「本気で戦うのは暫くぶりだ!!やるしかない!!」 
ビシュシューーン!! 
ジュドーは迫り来るブラガ・ハーンに向けてビームライフルを二発放つ!! 
これはけん制でありブラガ・ハーンの出方をうかがうものだった。 


シュシューーン!! 

そのビームを否解さず尚も加速を強め避けていくブラガ・ハーン!! 
今度はお返しとばかりにロングランチャーを構える!! 


ビシャォォーーーン!! 


鋭いビームが一直線にジュドーのディジェ宇宙強化使用に向かっていくが、間一髪ジュドーはそれをいなす!! 




「段ちのパワー!!どうするジュドー!!」 
この一連の攻防で明らかのパワーの違いを悟ったジュドーは必死に考えをめぐらせる。 
いくら歴戦のニュータイプといえども倍以上もあるパワーの差は、埋めるのにも相当の技術が必要だったからだ。 


暫く近くのデブリに身を潜めていたジュドーはなにか思い立ったように、後方のエイクの機体にマニュピレーターで合図する!! 




「やるつもりだなジュドーの奴!!わかった!!」 
その合図にエイクも反応して前に動き出す!! 



「分かってくれた!!よしいくぞーーー!!」 
ジュドーはそれを見て、デブリを前に押し出しながら喘息でデブリと共にブラガ・ハーンに向かっていく!! 

ゴゴーーー!! 

デブリに身を隠しながら盾のようにそれを纏い接近するジュドーに、黒獅子は静かにビームランチャーを身構える!! 




「それで身を隠しているつもりか!!」 

ビシャォォォーーーン!! 

黒獅子は咆哮と共に引き金を躊躇なく引く!! 
強力なビームの帯が一直線にデブリに向かい直撃する!! 


ボガーーーン!! 

ものすごい轟音と共にデブリは跡形もなく吹き飛ぶが、そこにはいるはずのディジェ宇宙強化使用の姿がない!! 
しかし黒獅子はまるでそれが分かりきってるかのように、上方にビームランチャーを構える。 




「こけおどしが!!そこだろう!!」 
ビシャォォォーーーン!! 
黒獅子は最初からジュドーがデブリの爆発と同時に上方に飛び上がったことを予測していた。 
だからこそそこにビームランチャーをぶちかましたのだ!! 
それは今黒獅子がサイコボックスの能力を最大限に引き出していることがうかがえた!! 


本来ならばここでジュドーのディジェ宇宙強化使用はあっけなく撃墜されているはずだった・・・ 

しかしジュドーのディジェ宇宙強化使用はその場でシールドを構え精一杯の防御体制をとっていた!! 



ボガーーーン!! 


なんとかシールドが爆発しながらもその一撃を耐え抜いたジュドー。 
彼は黒獅子の先読みのさらに先を読んでの行動だったのだ!! 


「いけーーー!!!エイクさん!!」 
ジュドーは機体を破損しながらもエイクに呼びかける!! 
そう彼は最初から自分を囮にしてエイクに攻撃させるための布石をしいていたのだ!! 

自分の身を犠牲にしてでも黒獅子の隙をつくうために会えて自分が捨て駒となったのだ!! 



「うぉぉぉーーー!!」 
ジュドーの思いを受けてエイクの高機動型ネモがビームサーベルを構えながらブラガ・ハーンに猛進する!! 


さすがに虚を疲れた黒獅子は一瞬の隙をつかれ対応に遅れる!! 



ザシューーーン!! 

ブラガ・ハーンの右足の先を切りつけたエイク!! 
第二撃とばかりにその刃をツバメ返しのように振り上げる!! 



ビジュジュジュジュ!!! 


しかし後一歩というところでブラガ・ハーンもビームサーベルを構えそれを受け止める!! 
焦りにも似た黒獅子は先ほどのジュドーの言葉に動揺していた・・・ 



「エイク!!!・・・エイクってまさかこれに乗ってるのが!!」 
彼はその高機動型ネモに乗っているパイロットの名を聞いて過去の子供のころの記憶がよみがえる!! 
唯一の肉親である自分の兄、エイク・マルチネスが今自分の前にいる!! 
十数年ぶりにあった兄弟が件を交えてこの場で対峙している!! 
その複雑な光景は黒獅子として身を隠す彼を驚きに導いていた!! 



「くそーーー!!」 
ブン!! 
なおも黒獅子を捕らえようとビームの刃を振り下ろしてくるエイクに、ブラガ・ハーンの黒獅子はあえて自分の素性を明かそうとはしない! 
彼は思っていた、今素性を明かしたところで兄は自分を受け入れてはくれないであろうと・・・ 
そう海賊などに成り下がった自分など・・・・ 



「か・貴様はなぜ小惑星に!!」 
黒獅子は自分を悟られないようにエイクに問いかける。 



「貴様らが連れ去った女性を救うために決まっているだろう!!」 
エイクもなぜだかわからないが素直にその返答をする!! 


「!!!!」 
このとき黒獅子は兄であるエイクが自分ではなく他の者のためにここまで来たことにショックを受けていた。 
心のそこでそんなはずはないが一抹の期待があったのだ・・・ 
今でも自分を探しにここまで来たのではないかということを・・・ 


心に悲しみが広がる黒獅子・・・ 
彼にはまだどこかで兄を慕う心が残されていたのだ・・・ 




「おっと!そこまでだ侵入者ーーー!!」 
しかしそんな彼らを引き裂くように、後続から追いついてきたエルドランドのカーチスとハイヤードとメルネルスのファルカスが接近してきていた!! 


第九話に続く・・・・ 

第九話 援軍 




カーチスはハイヤードとメルネルスのファルカスを率いてこの戦況に割ってはいる!! 


互いに刃をまみえていたエイクと黒獅子も距離を置いて戦況を見定める!! 



「エイクさん!!援軍がきたんじゃ分が悪い!!ここは・・・」 
ジュドーがエイクにそう呼びかけるが、戦いの火に照らされてしまったエイクの思いは収まらない!!! 



「ここで退いたら二度とルーさんを救えないぞ!!やるしかないんだ!!」 
エイクの言葉にジュドーも気が付かされたのか、カーチスたちを待ち受ける!! 

エイクが言うように最大の危機でありながら、今は最後のチャンスの時でもあったのだ!! 



ギュギューーーン!! 


黒獅子のブラガ・ハーンを追い抜きながらエイクたちに迫っていく三機のMS達!! 

口火を切ったのカーチスのエルドランドだった!! 



「小ざかしいまねをしてくれたな!!メカニック!!」 
ビシュシューーン!! 
ビームライフルを乱射しながら、エルドランドが猛然とエイクの高機動型ネモに向かっていく!! 




「いつも邪魔ばかりをする!!お前はーーー!!」 
エイクもビームをひらひらと交しながら真っ向勝負に受けて立つ!! 

シュシュン!! 

ビシュシュン!! 

お互いが高速戦闘で狙いをつけながら隙をうかがう!! 
両者の間には入れないほどの壮絶なドッグファイトが展開されていた!! 



「エイクさんの邪魔はさせないぞ!!」 
その間ジュドーのディジェ宇宙強化使用も、二機のファルカス相手に一歩も退かない攻撃を仕掛けていた!! 

ビシュシューーン!! 

バゥッツ!! 


二機のファルカスが息つかせない見事な連携攻撃で襲い掛かるが、ジュドーも持ち前のニュータイプ能力を生かして反撃に転ずる!! 
まさに死闘が繰り広げられていた!! 

そんな中黒獅子のブラガ・ハーンだけはその場を動こうとしない・・・ 


彼はエイクの存在と彼が言っていた、ルーを連れ去ったのがカーチスであるということに動揺していたのだ・・・ 



「また人さらいをしてきたのか・・・僕と同じように・・・」 
黒獅子はかつて自分がカーチスに連れ去られた苦い思い出がよみがえっていた・・・ 

幸せにしていた自分たち兄弟を引き離し、またそんな目に合わせるようなことをしでかしたカーチス・アッシュという男にふつふつと猜疑心と憎悪の念がよみがえってくる・・・ 


バシューーーン!! 


黒獅子は何を思ったのか突如機体を小惑星に向ける!! 
彼なりに思うことがあったのかわからないが、この戦闘宙域から猛然と離れていく・・・ 



そんな黒獅子のブラガ・ハーンを確認したカーチスは、二機のファルカスに通信を開く!! 



「お前ら見ただろう・・・あれが黒獅子の本性だ・・・上層部に報告するきっかけができたようだな!!」 
カーチスの言葉にハイヤードとメルネルスも静かにうなずく。 
そう彼等は黒獅子の側近というのは建前であり、実はディープシャーク上層部から黒獅子の動向を見守るためにつけられたスパイだったのだ。 
黒獅子がディープシャークの内面で不穏な動きをしている節があったからである。 

つまり黒獅子はだまされて利用されていたことになる。 



「間違いない・・・黒獅子はディープシャーク・・・いやあなたに不信感を持っている・・・このままでは我らを滅ぼしかねないと報告しておこう」 
ハイヤードはほくそ笑みながらこう答える。 
彼らにとって黒獅子はもはや仲間ではなくなった瞬間だった・・・ 



「何をごちゃごちゃ話している!!お前の相手はーーー!!」 
そんなカーチスのエルドランドにビームガンを乱射しながらエイクの高機動型ネモが襲い掛かろうとする!! 
しかしカーチスは静かに目をつぶると高笑いを浮かべる。 



「そうだったなーー!!しかしお前の相手は俺ではない!!あいつらが相手してくれるさ!!」 
カーチスは突如後方の宙域を指差す!! 
そこにはディープシャークの全軍でもある50ものMSがこちらに向かってくる姿があった!! 

エイクもジュドーもそれを見て驚きを隠せない!! 



「なんだってこんな!!」 
しり込みするジュドーにカーチスは満足そうに答える。 



「貴様らに破格の賞金をかけさせてもらった!!こうなれば金に目がない奴らは一致団結心を見せるんだよ!!」 
カーチスはすでに全軍に侵入者であるエイクたちを倒した者に賞金を出すと打電していたのだ。 
軍隊ではない烏合の衆もこの申し出には我先にと彼らに襲い掛かろうとしていたのだ・・・ 



もはや逃げ場のないエイクとジュドー。 
彼らにはルーを救出するどころか、生き残る術も残されていないように感じられた・・・ 



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しかし・・・ 
ここで誰もが予想できなかったことが起こる・・・ 


突如あらぬ方向から一機の貨物シャトルと数機のMSが猛然とエイクたちに向かってくるではないか!! 

ギューーーン!! 


その貨物シャトルから入る通信にエイクは驚きを見せる!! 



「あきらめてる場合じゃないぞ小僧たち!!届け物をもってきてやったぞ!!」 
そのシャトルから聞こえてくる声はまさしくあのコーランのものだった!! 
彼はクラウザーの仲間の呼びかけ援軍と共に、ある機体を運んできたのだった!! 

その温かい声にエイクは全てを悟り涙を滲ませる・・・ 



「おやっさん!!おやっさんが来てくれるなんて!!」 
瞳を手で拭いながらエイクは真っ先にその貨物シャトルの方向に向かっていく!! 

その周りにはクラウザーから駆けつけた仲間たちがMSで援護に入っていた!! 

静かに貨物シャトルに向かう高機動型ネモ。 

貨物部分に手を差し伸べるとそこには一体のMSが横たわっていた・・・ 




「これってジォじゃないですか!!まだ未完成だったはず!!」 


「完成してるさ・・・お前の変わりに俺が最終調整しておいた・・・これが必要になるだろうと思ってな」 


コーランの言葉にエイクは笑顔で答える。 
MSZ-0015 ジォガンダム・・・ 
かつてエイクがある宙域で拾ってきたFAZZと呼ばれるMSの中枢部を改修しカスタマイズさせたZ計画の最終機あり、 
この世に二つとないエイク・マルチネスが手がけたMSなのである・・・ 


コーランはエイクが窮地のこの場面でこの機体の力が必要になるだろうと、あえて自らここまで運んできたのである。 



「ありがとう・・・おやっさん!!こいつを俺自身が扱うことになるなんて!!」 
シューーーン!! 

エイクは感謝の思いで高機動型ネモのコックピットから出て行く!! 
彼の目の前には自分が手がけたガンダムの姿が入ってきていた・・・ 




しかし時はそんなエイクたちを待ってはくれない・・・・ 



「何をやらかすつもりだーーー!!させるかよ!!」 
静寂したエイクの宙域にカーチスのエルドランドが猛然と突進してくる!! 

ビシュシューーーン!! 

仲間たちが必死に援護でそれを阻止しようとするが、その弾幕をものともせずカーチスのエルドランドはエイクに向かっていく!! 



第十話に続く・・・



MSZ-0015 ジォガンダム
 

第十話 託されたガンダム 



「まずい!!」 
エイクたちに襲い掛かるカーチスのエルドランドの姿に、ジュドーは援護に入ろうとするが二機のファルカスは壁のように立ちはだかりそれを阻止する!! 
今この状況でジォガンダムに乗り込もうとするエイクを助けられる者はいなかった!! 

ビシュシューーーン!! 
ギュギューーーン!! 


クラウザーの仲間たちの援護を縫うように突き抜けていくエルドランドはビームライフルの照準をジォガンダムに合わせる!! 



「これで沈みなーーー!!メカニック!!」 
ビシューーーン!! 
今ジォガンダムのコックピットにやっと乗り込んだ無防備なエイクに対してカーチスのビームが襲い掛かる!! 
もう今のエイクにはどうしようもなくそれを受け止めるしかできない状況だった・・・ 


グン!! 


「そうはさせねぇよ・・・エイクお前は生きるんだ!!」 
しかしそんなビームの前に突如盾となろうものがあった・・・ 
それはコーランのが乗ったシャトルの姿だった・・・ 



「おやっさ・・・」 
ボゴーーーーン!! 

エイクがそうつぶやいた目前でコーランのシャトルはビームに貫かれ巨大な爆破をみせる・・・ 

エイクは信じられない表情でそれを見つめていることしかできなかった・・・・ 



コーランを自分のせいで失ったエイクはジォガンダムのコックピットの中でうつむきながら震えていた・・・ 




「うそだよね・・おやっさん・・・こんなのうそだよーーー!!」 
エイクの瞳から涙がとめどなく流れてくる・・・ 
コーランの面影が頭の中をよぎり、本当の父親のような存在だった彼の死がエイクの心を締め付ける!! 
そんな彼に容赦なくカーチスは叫び声を上げながら接近してくる!! 



「ちっ!!はずしたか!!ならばもう一度!!」 
カーチスはその光景に再びビームライフルを構えなおす・・・ 
今度こそエイクを守る者はそこにはいなかった・・・ 


しかしそのカーチスの存在がエイクの心に火をともす!! 
自分の大事な人を殺した憎き存在・・・ 

エイクは心の底からカーチスに対し憎悪の念がこみ上げてくる!! 


ググーーーン!! 

それに呼応するかのように貨物コンテナからジォガンダムがゆっくりと身を乗り出し起動し始める!! 
猛烈な威圧感を放ちながらその場に存在する新たなガンダムはエイクの怒りのエネルギーと共に産声を上げていた!! 




その圧倒的な白いガンダムの威圧感に周りの者は唖然とした表情を浮かべる・・・ 
伝説の白い悪魔・・・ 
それが今の世に再び舞い降りた瞬間でもあった・・・ 



「見た目だけに惑わされんぞ俺はーーー!!」 
そんな中カーチスだけは冷静に状況を把握しながらエルドランドのビームライフルをジォガンダムに放った!! 
ビシャォォーーーン!! 

容赦なくジォガンダムに向かっていくビームの奔流!! 

しかしカーチスは次の瞬間信じられない光景を目の当たりにする!! 




ガゴン!! 

すでに大型の筒のようなものを背負っているツヴァイヴはその大型ビーム兵器、ハイメガビームライフルを構えながらカーチスのエルドランドに向けて照準を合わせていた!! 



「あぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!」 
と同時にエイクの怒りの咆哮と共にハイメガビームライフルから膨大なビームの奔流が吐き出され一直線に放たれる!! 


ズシュォォォォーーーン!! 

ジュン!! 
猛烈な勢いのビームの帯は向かってきていたエルドランドのビームを一気に消し去り、なおも勢いを増しながらエルドランドに向かっていく!! 



「ぐぁぁぁぁぁ!!」 
ボガーーーン!!!! 
なんとかその図太いビームをすんでで避けたカーチスだったが, 
左半身が直撃を受けてないにもかかわらず爆発を起こし消し去られていく!! 
彼は初めて戦闘での恐怖というものを感じていた!! 
なおもその強力なビームはエルドランドの後方のディープシャークのMS達をなぎ払いながら虚空へと消えていく!! 


ボボボ!! 

ボボン!! 

十機ものMS達をなぎ払っていったハイメガビームライフルのビーム・・・ 
その脅威の火力はその場の者全てを圧倒するものだった・・・・ 



「はぁはぁ・・・一撃が限界か!!」 
エイクはショートを起こしているハイメガビームライフルの銃身を見つめそうつぶやく。 
実験段階のこの兵器はエイクがFAZZのものを改修したものであり、不安定なことからも数発しかビームを放てなかったのだ!! 
しかし彼の怒りはまったく収まらない・・・ 

バゥゥぅーー!! 
破損したエルドランドに向かいジォガンダムをばく進させていく!! 



さすがのカーチスもこのエイクの気迫にたじろぐしぐさをする。 
今まで常に自信に満ちていたカーチスがはじめて脅威を感じていたのだ!!! 




「くっそーーー!!ここはいったん退くしかない!!」 
バシューーー!! 
小惑星に向けて後退するエルドランド・・・ 
彼が敵から退いたのも初めての経験だった・・・ 


ギュギューーーン!! 
それに呼応して二機のファルカスも他の海賊たちも徐々に後退を始める!! 
彼らのエース的な存在のカーチスが退いたことが、不安感を募らせていたからだ・・・ 




次々と小惑星に帰っていくMSたちの群れ・・・ 
その姿にエイクは怒りをあらわにする!! 



「ふざけるな!!逃がすと思うかこのやろうがーーー!!」 
エイクの怒りはコーランを失ったことにより頂点を迎えていた!! 

バゥゥゥーーーン!! 

鋭い加速でそれを追おうとするジォガンダムにジュドーのディジェ宇宙強化しようが必死にしがみつく!! 

ガシン!! 
全力でジォガンダムを押し戻そうとするジュドー。 
彼にもエイクの怒りは身にしみて分かっていたが今は追撃をするべきではないことは誰が見るより明白だった。 




「ここは!!ここは抑えるんだ!!エイクさん!!エイクさん!!」 


「あいつは俺のおやっさんを!!離せ離してくれーーー!!」 
必死に押し問答を繰り返す両者であったが、ジォガンダムの出力はディジェの3倍近くありジュドーは引き剥がされそうになる!! 

ガシン!! 
ガシン!! 

そんなエイクのツヴァイヴにクラウザーの仲間たちが何機もしがみつく!! 



「エイク!!おやっさんはお前に生きてほしくて自分の身を投げたんだぞ!!ここで死んだらどうなるとおもう!!」 



「!!!!」 
ググィィィン!! 
仲間たちの必死の投げかけに徐々にツヴァイヴはその勢いを収めていく・・・ 
彼らにもエイクの怒りはよく理解できていた自分たちも奴らに仕返しをしてやりたいという気持ちはあったが今の戦力ではそれが叶わないことは充分理解できていた・・・ 

そんな彼らの通信にエイクの悲痛な鳴き声が入ってくる・・・ 




「・・・おやっさん・・グスッ・・・おやっさーーーん!!」 
エイクはコックピットの中であふれる涙をとめることができなかった・・・ 
あまりにも大きな者を失ったエイクは暫くその場で感情の思うがまま泣きじゃくっていた・・・ 




第十一話に続く・・・ 



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MSZ-0015 ジォガンダム (Z OVERGENEALOGY)ガンダム



アナハイム製大型MS      

MSZシリーズの集大成の機体であり、MSZー0010 ZZガンダムの後のZ計画の最終系譜機である。    

今まで開発されたZ計画のデータを元に、新たな時代への究極の汎用機を目指しアナハイムが開発した重MSとされているが、実はある天才的メカニックが開発に携わったカスタム機である。 

純粋にパワー火力を高めた機体をとのコンセプトであり、FAZZの基礎フレームを主体にあらゆる面で最大級の出力をと胴体部と脚部に強化ジェネレーターを備え瞬間的な出力で言えばZZガンダムを凌駕する。

背部の大型ランドセルはバーニアユニットも兼ねているため加速性能を高めた。またこのランドセルはジェネレーターコントロールを内蔵しており、機体内の3つのジェネレーターを相互的に干渉させより膨大なパワーを生み出すことが可能となった。

そのアイデアも一人の天才メカニックの考えたものであり、後の第二次ネオジオン戦争の大型MS開発にヒントを与えたといわれている。しかしフルパワー状態での稼動時間は極端に短く(一般機の4分の1以下)戦艦で敵拠点に侵入、膨大な火器で一気に全敵部隊を殲滅、エネルギー消費のため戦線を離脱、というようにあくまで戦場の一場面の状況を一機で逆転させる一撃戦術用機体のコンセプトであり他のMSの汎用性目的の機体ではない為、戦場で遭遇する機会はめったにないであろう。

いわばハイメガビームライフル、バルカン、サブビームキャノン、膝部ミサイルポッド、強化ビームサーベル、シールド(メガビームキャノン内臓)、シールド(ミサイルポッド内臓)

第十一話 再会の刻 




一日後・・・ 

エイクはコーランの死から未だに立ち上がれないでいた・・・ 
あれからやむをえずクラウザーに退き返してきた彼らだったが、結局ルーを救うどころかかけがえ尚ない人物を失う結果になっていた・・・ 

ジォガンダムの足元でうずくまりながらエイクはコーランのことを思い出し涙していた・・・ 

そんなエイクにある通信が入ったのはそれから数時間後のことだった・・・ 


突如このクラウザーコロニーに向けて、未確認のMSが向かってきているという報だった・・・ 
その機体はディープシャークのMS達に追われる形でここに向かってきている・・・ 

エイクはまだそれが何者であるのか分からない状況だった・・・ 




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そんなエイクたちに接近するべく機体を走らせる、そのコックピットでは覆面を取り顔をさらけ出した黒獅子がある女性と共にブラガ・ハーンを加速させていた!! 


「助けてくれるのは感謝するけど、追われてるじゃない!!なんとかしてよ!!」 
その女性ルー・ルカはコックピットの座席の後ろから黒獅子を叱責する。 
強引のディープシャークの小惑星から連れ出されたことに気が高ぶっているようだ。 

そんな彼女をなだめるように黒獅子も後続から迫るMS達の攻撃を回避しながらこう答える。 



「少し黙ってて!!舌をかみますよ!!」 
そのやさしい問いかけにルーは渋々口を閉じる。 
すでに彼は黒獅子ではなく、ヘイル・マルチネス自身に戻っているかのように思えた。 
彼がルーを救い出そうとしていることからも、彼自身の中で何かが変わっているのは確かなことだった!! 




「兄さんになんと言われようともかまわない・・・今はこうするのが僕の使命なんだ!!」 
クラウザーコロニーが近づいてくる最中、ヘイルはエイクと会えるという喜びの感情が芽生えていた。 
黒獅子として仮面をかぶった状態での対面だったが、今度はヘイル自身が会うことを選択したのだ。 
彼の中で兄であるエイクに会いたいという感情はいつも思い描いていたものだった。 

それがもうすぐ叶おうとしている・・・・ 




「もうすぐ!!もうすぐあえる!!」 


ビシュシューーーン!! 


しかしそんなヘイルを邪魔するように30機ものディープシャークのMS達が、ブラガ・ハーンを取り巻こうとする!! 

それを指揮するのはかつて側近だったハイヤードとメルネルスの二人だった。 




「逃がしはしませんよ!!やはりあなたは我々を裏切った!!その代償は償っていただく!!」 
二機のファルカスを中心にブラガ・ハーンを取り巻いていくMS達!! 

いくらブラガ・ハーンといえどもこの数を相手にするのは容易ではなかった!! 




「くそっ!あと少しなのに!!死んでたまるか!!」 

ビシャォォォーーーン!! 

メガランチャーを放ちながらMS達を突破しようとするヘイル!! 
しかしMS達は徒党を組んで、ビームライフルを乱射しながらブラガ・ハーンを追い詰める!! 

絶え間なく続く攻撃を何とか交しながらも反撃に転じようとするブラガ・ハーンに二機のファルカスがビームソードを構えながら猛追してくる!! 



ビsyォォン!! 


その一撃をビームサーベルで受け止めたヘイル!! 
だがもう一機のファルカスがビームソードで襲い掛かる!! 


ジャギギギギ!! 


メガランチャーを投げ捨てもう一方の手のビームサーベルでそれを受け止めたヘイルはさすがの技量が感じられた!! 



「さすがですね黒獅子!!」 
ハイヤードはその卓越した技術に賞賛を送る。 



「でもこれであなたの動きは止まった!!やれ!!」 
もう一方のメルネルスは一斉に他のMS達に攻撃の指示を与える!! 
高速戦闘のブラガ・ハーンを追い詰めるための策だということにヘイルは今気が付かされた!! 



「くそーーー!!うわーーー!!」 
ビシュシュシューーーン!! 

一斉にブラガ・ハーンに向けてMS達からビームが放たれる!! 
ボガーーーン!! 

肩部や脚部に被弾しながらも尚も交わそうとするブラガ・ハーンはもはや風前の灯のように感じられた!! 




「そうだ!!やれーーー!!反逆者に死を!!」 
ハイヤードはその光景に雄たけびを上げる!! 
その表情はかつてヘイルに遣えていたあのハイヤードのものではなかった!! 



ビシュシュシューーン!! 

ジュンジュジュン!! 
蜂の巣をつつくような網の目のような攻撃が容赦なくブラガ・ハーンに襲い掛かる!! 
最後の力を出し、それを回避していくヘイルにもう残された策などなかった・・・ 


「この女性だけでも!!ぐわーーー!!」 
風前の灯火のヘイルとルーに一発の避け切れなかったビームが直撃する! 

ボガーーーン!! 

胸部に直撃したビームによりブラガ・ハーンは大きく破損し後方に吹き飛ばされる!! 



「終わりだなーーー!!」 
そんなブラガ・ハーンにハイヤードのファルカスが止めの一撃を構えたそのとき・・・ 


突如遠方からディープシャークのMS達に向けて、図太い光の帯が放たれた!!! 


ズシュォォォォーーーン!!! 



強烈なビームがブラガ・ハーンを取り巻いていたMS達の半数を爆発させていく!! 


ボガガガーーーン!! 


ズススーーーン!! 


・・・・・・・・・ 

・・・・ 

・・ 


その光景にハイヤードもメルネルスも唖然とした表情に変わる!! 
そしてその強力なビームの出所をにらみつけると、そこには一体の大筒を構えた機体が仁王立ちしていた。 



「この前のガンダムもどき!!なぜここが分かったんだ!!」 
ハイメガビームライフルを構えながらこちらをにらみつけるジォガンダムの姿に、二人も驚愕する!! 

その後ろにはジュドーの機体と、クラウザーの仲間の姿もあった。 






「ジュドーがルーさんの気配を感じてくれたんでな!!!」 
彼らが直接この宙域に向かうことができたのも、ジュドーのニュータイプ能力のおかげだったのだ。 
彼がルー・ルカの気配を感じてこの場所に皆を誘導してきたのだった。 

間一髪救われたブラガ・ハーンの元に皆が駆け寄る・・・ 

コックピットを開くとそこにはうなだれた二人の男女の姿が目に入る・・・ 




「ルー!!おいルーしっかりしろ!!」 
ジュドーの言葉にルー・ルカは意識を取り戻し、その場のジュドーに抱きつきかかる!! 



「ジュドー!!遅かったじゃない!!どうなることかと!!」 
元気なルーの姿にジュドーもほっと胸をなでおろす!! 

ルーもジュドーのぬくもりを感じながらも,ふとヘイルのことを気にかける!! 




「この人が私を連れてきてくれたの!!」 
未だぐったりしているヘイルを指差し、ルーは身の心配をする・・・ 

しかしヘイルの胸部には機体の破片が突き刺さり出血が激しい状況だった・・・ 


そんな彼の顔を見たエイクは思わず我が目を疑う!! 



「ヘイル・・・ヘイルじゃないか!!!おい!!」 
そのヘイルの顔を見たエイクの瞳に涙がこぼれてくる!! 
やっと再開できた兄弟。 
何年も生き別れだった弟の姿に身を震わせながらエイクは泣き崩れる!! 

そんなエイクの声に、ヘイルは意識を取り戻す・・・・ 




「ご・ごめんよ兄さん・・・・ばかな弟でさ・・・」 
涙するヘイルにエイクは首を横に振りながら彼を抱きしめた・・・ 
もう過去に何があろうともエイクの中では関係のないことだった・・・ 



「なにいってんだよ!!やっと出会えたんだぞ!!謝る奴があるか!!」 
エイクはヘイルの肩をポンと叩き、無事を喜んだ。 

ビシューーーン!! 


しかしそんな彼らの再会を邪魔するように二機のファルカスを中心に、再びディープシャークのMS達が立ちはだかる!! 




「喜ばしい再開もそこまでだよ!!メカニックさん!!」 
そのMSの一番後ろから接近してきた新たな機体に、エイクは驚きの表情を見せる!! 
その重々しい声・・・ 
それは自分のかけがえのないものを奪ったにっくきあの男の声だったからだ・・・ 




「カーチス・アッシュ!!貴様をこれ以上のさばらせてて置くわけには行かない!!」 
新型機ポセイドーンに乗るカーチスにジォガンダムのエイクは吼える!! 

二人の因縁という名のもとに、今雌雄を決しようとしていた・・・ 





第十二話(最終話)に続く・・・ 




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MKXー009 ブラガ・ハーン 





カスタマイズMS 


ある組織がサイコボックス技術を盛り込んで開発した機体。 
サイコボックス技術を盗用したディープシャークという組織が、それようにとカスタマイズした機体。
サイコボックスとはサイコミュを電子レベルで練りこんだ金属塊の名称であり、どこ知れぬ技術社が作り上げた画期的なシステムである。 
これを機体内部に数個配置したことにより、機体とパイロットの精神の連動を図る意図があり後に開発されるサイコフレームの発想の元にもなった。

大型にもかかわらずサイコボックスの順応性を引き出すことができれば、既存のMSを凌駕する高性能さを発揮する。 

また火力に関してもメガランチャーをそなえるなど充分なものを持ち合わせており、同時期のMSでは最高水準の性能を有している。 

またこのサイコボックスとの組み合わせをしたブラガ・ハーンのデザインなどからも、この機体が後のナイチンゲールの開発に影響を与えたという説がある。 


メガランチャー、背部ビーム砲、シールド、ビームサーベル


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PMXー005  ポセイドーン 
  



シロッコがグリプス戦役時にティターンズで得たオーガスタ研究所のガンダムタイプのデータから、独自にPMXナンバーでのガンダムタイプを構想したのがこの機体でありシロッコ自らの技術と木星圏での技術の高さを見せ付けるための目的だったようだ。      

天才であるシロッコの先見の明は、すでにグリプス戦役時の技術をはるかに上回っておりその時代では開発不可能だったが、彼の死と共にデータだけが回収され後の0090時代に木星圏で開発にこぎつけられたようだ。シロッコの遺産とも言うべきネクストPMXナンバーの機体の1番機である。
       

御特化のビット兵器であり、中長距離からのビームを多角的に防御できる。     
また木星圏特有の大出力バーニア類も肩部と脚部に備え攻守に高い性能を備えているといえよう。
       


木星圏初のガンダムタイプとして、ポセイドーン(海王)ガンダムとなるはずだったが、連邦との対立によりガンダムとよばれることはなかったようだ。

      

トライデントライフル、ナックルビーム、ファンネルグレネードx8、

第十二話 絆の兄弟 







「お前とは決着をつけなければならないようだ・・・・」 
カーチスはハイゲールのコックピットでこの機体の感触を味わいながらそう告げる。 
ハイゲールはサイコミュ機能を搭載しており、彼の力を初めて全力で出せる喜びに打ちひしがれる。
カーチスの技量に伴えばすさまじい能力を有することは目に見えていた。 



「貴様は俺の大事な者を次々と奪っていった・・・俺の手で貴様を倒す!!」 
負けじとそう叫ぶエイク。 
自分が作り上げたジォガンダムのコックピットで目の前のハイゲールを睨み付ける!! 
自分が一から作り上げたこのMSの全てはまるで自分の体の一部のようにエイク自身とリンクしていた。 
ふつふつと湧き上がる怒りの感情がジォガンダムに力を与えていく!! 



「メカニック風情が俺を倒すなんて軽々しくいうんじゃねーー!!」 
シュィィーーーン!! 

突如カーチスはハイゲールの背部の大型ファンネルを一つ切り離し、光を帯びながらジォガンダム に向かわせる!! 


シュシューーーン!! 
必要以上にジォガンダムを付けねらう大型ファンネル。 
まるでホーミング機能を有しているように自在にジォガンダムを追尾していく!! 



「なんだこいつ!!」 
その大型ファンネルを必死に振り切ろうとするエイクのジォガンダムは、前方のデブリの影に逃げ込もうと考える!! 
初めてファンネルを目の当たりにしたエイクにとっては一時体制を立て直す時間が必要だった!! 





「馬鹿が!素人め!!」 
しかしそのデブリの脇にはエイクの行動を予期していたかのようにカーチスのハイゲールがビームショットライフルを構えながら照準を合わせる姿があった!! 



「なに!!」 
ビシュォォーーーン!! 
エイクに向かい放たれるビームショットライフル!! 
ボガーーーン!! 
必死にシールドを構え何とかそれを受け止めたジォガンダムだったが、シールドは破損し大きく体制を崩してしまう!! 





「生意気なんだよてめぇはーーー!!」 
ビシュシューーン!! 
それに追従して追ってきた大型ファンネルから強力なビームが放たれる!! 

劣勢に立たされているエイクは気持ちが空振り対処できない状況だった!! 

しかしそんな彼に追撃してくるものがあった!! 




「兄さんは殺させない!!兄さんはーーー!!」 
それは損傷が激しいブラガ・ハーンが、ジォガンダムの前に立ちはだかる姿だった・・・ 





ズシューーーン!! 

一瞬・・・・・
まさに一瞬の出来事だった・・・・

自分の身を盾にしエイクを助けようとしたヘイルは、気持ちが先行し機体全体で強力なビームの直撃を受ける・・・
それはヘイルがエイクへの感謝と、失いたくないという気持ちの強さを表していた・・・


胴体を貫かれたブラガ・ハーンは、エイクの目の前で静かに機能を停止する・・・ 

ジジジジ・・・・・

激しいショートに包まれ、もうすぐに爆発しようとしているブラガ・ハーンの中から、
ヘイルの声が小さく聞こえる・・・


「いつも・・・いっしょだよ・・・兄・・さ・・」



・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・




ド・ゴーーーン!!!!!!



エイクはその一瞬の出来事に呆然とその爆発していくブラガ・ハーンの爆発の光を見つめていた・・・



「な・・なんだよ・・これ???」
その光景にエイクは未だに信じがたい思いでつぶやく・・・
現実味がないが、確かに大切なヘイルという自分の分身のような存在を失ったという空しさが、
体に徐々に染みわたってくる・・・・
そのヘイルの姿はあの時のコーランの身を挺した状況とダブって見えていた!! 



「ヘイル・・・ヘイルーーーー!!!」 
再び大切な人を失ったという感情のまま、気が狂ったように叫ぶエイク・マルチネス。 
それは心に染みわたってくる悲しみを、必死に消し去ろうとする行動の表れでもあった・・・

やっと会えたと思った唯一の肉親でもあり兄弟だったのに、時代はこうも無残な結末を容易していたのかと彼は神に祈る思いだった・・・ 




呆然とするエイク・・・・ 

ジュドーたちも援護に向かいたかったが、他のMSとの戦いに手が離せない状況にあった!! 




「ははは!!黒獅子も人の子ということだったようだな!!せっかく育て上げてやったというのに本当に馬鹿な奴だ!!」 
自分が連れ去ったことを棚に上げたか笑いを浮かべるカーチス。 

エイクはコックピットの中で涙をこらえながら奥歯をかみ締め怒りと決意の交じり合った表情に変わる!! 




「貴様は!!貴様はーーー!!」 
ゴシューーー!! 
気迫のこもったジォガンダムがものすごい勢いでハイゲールに向かっていく!! 
エイクの思いを受けたジォガンダムはビームライフルを撃ちまくりながら、カーチスを視野に入れる!! 



「馬鹿な兄弟だよまったく!!」 
シュシューーーン!! 
二機の大型ファンネルを迫り来るジォガンダムに向けるカーチス!! 

左右から挟み撃つようにジォガンダムに向けてビームを放とうとする!! 

ビシュシューーーン!! 


しかしその放たれたビームはジォガンダムの急加速により避けられてしまう!! 



「まぐれが二度は続かん!!」 
ふたたび今度は上下からビームを放とうとする大型ファンネル達に、エイクはビームライフルを向ける!! 




「ヘイルが教えてくれてる!!そこだーーー!!」 
ビシューーーン! 
ボボーーーン!! 
捕らえられなかった大型ファンネルの一方を撃ち落したエイクのジォガンダム。 

なぜここまでエイクにできたか?

ヘイルが目前で消え去ってからというもの彼の目にはヘイルが懸命にファンネルの姿を教えてくれているイメージが写っていた!! 
彼の魂が兄を思いそうさせているのかはわからないが、彼の目にははっきりとそれが写っていた。 


その状況にさすがのカーチスも困惑の色を隠せない。 


ニュータイプでもない彼がファンネルの軌道を読んでいるということは信じがたいことだったからだ!! 




「貴様にこんなことができるはずがない!!なぜだーーー!!」 


「俺一人の力じゃない!!二人ならニュータイプをも超えられるんだーーー!!」 
ヘイルの精神を宿したエイクのジォガンダムはもう一機の大型ファンネルをハイパービームサーベルでなぎ払いながら、ハイゲールにその刃を振り下ろす!! 



シュン!! 

それを何とかいなしたカーチスは、上方に飛び上がりビームショットライフルを撃ちおろす!! 

ビシュシューーーン!! 


ボガーーーン!! 

左腕を大破されながらも残った右手でハイパービームサーベルを振り上げるエイク!! 


ザシューーン!! 

その強力なビームの刃はハイゲールの脚部を両断し動きを止める!! 



「玉砕に付き合う気はないんだよーーー!!」 
なおもハイパービームサーベルで切りかかってくるジォガンダムに、ハイゲールはビームショットライフルの弾幕を張りながら後退しようとする!! 
カーチスにもう余裕というものはなく、ただエイクたちの迫力に圧倒されていたのだ!! 



ボガガーーン!! 


ハイゲールのビームを何発喰らいながらなおも加速を強めるジォガンダム。 
彼が作り上げた最高の機体と、エイクとヘイルそしてカーチスの思いを一身に受け閃光のようにハイゲールに向かっていく!! 




「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」 
ギャゥゥゥゥゥーーーン! 
エイクの咆哮と共に最大加速のジォガンダムが光の矢のように、ハイパービームサーベルをハイゲールに突きつける!! 



「負けるわけが負けるわけがーーー!!」
カーチスはこのシロッコの意思を持つハイゲールが、初めて自分の力量を大きく上回っていることに気がついた。
自分が扱えると思っていた機体・・・・
自分はその全てを引き出すことができていない・・・・
この機体を乗りこなすべく人物は本物のニュータイプでなければならなかったということを・・・・


ギャクン!!

カーチスは最後の意地とばかりに、ハイゲールの左腕の部分を展開するともう一つの細い腕が現れビームシュベートを持ち、ジォガンダムに突き刺そうとする!!


ザシューーーーン!! 

ものすごい音と共にぶつかり合うMS達!! 

ジォガンダムの肩口にハイゲールの隠し腕のビームシュベートのビームの刃が貫き、

そのハイゲールの胸部にはエイクとヘイルの兄弟の絆のハイパービームサーベルが貫いていた!!! 



「ぐわ??!!」
お互いの機体は激しい衝突でエイクのジォガンダムは後方に弾き飛ばされる!!
彼の目には今爆発に消え行くハイゲールのカーチスの死に際が写っていた。



「お・・俺・・・・・・・・」


ジジジ・・・・




ボガーーーン!! 







胴体を貫かれ息絶えたカーチスの最後の一言は、機体の爆発の怒号にかき消される・・・


ゴゴゴゴ・・・・

真っ赤に燃える爆発の炎・・・・


「い・生きれてるよな・・俺・・・」
爆発していくハイゲールを見つめながら動かなくなった、ジォガンダムのコックピットでエイクは身体を抱えながら泣き崩れる・・・ 
今彼はカーチスを葬ることができた喜びなどは微塵も感じていなかった・・・ 


ただむなしさだけが残る戦い・・・ 
ただただ涙だけがあふれてくる・・・ 


「俺は・・・俺は・・・・」
彼はこの時もう二度と戦わないことを心に誓っていた・・・・ 

それは今心の中に共にいる、かけがえのないもう一人の自分、ヘイル・マルチネスの悲しみの心がそう仕向けていたのだろう・・・・

勝者にも喜びはない・・・・戦いのおろかさ・・・

エイクはヘイルが心の中でそう思っているということに、静かにうなづく・・・・










エイク達の決着がついたそのころ・・・ 

すでに他のディープシャーク達とジュドーたちの戦いにも決着がついていた・・・・ 


ルーを取り戻しエイクに感化されたジュドー・アーシタ・・・ 

彼のニュータイプとしての感性は衰えを知らずにまさに彼の駆るディジェ宇宙強化使用には、他のMSは手に負えない独壇場と化していた・・・ 

ジュドーの怒りとエイクの思いを感じ取ったその機体は残りのMSを一気に倒していき、あの二機のファルカスもその勢いには成すすべなく散っていった・・・ 




彼らの戦いはカーチスが死んだことによりすでに決着がついていたのだ・・・ 

むなしい戦い何も得られない戦い・・・ 
戦争とは何も生み出さないおろかなことであると誰もが感じた瞬間だった・・・・ 



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その戦いから5日後・・・・ 


グラウザーで修理を終えたジュピトリスⅡにエイクとジュドー、そしてルー・ルカの姿があった・・・ 
互いに運命で導かれたエイクとジュドー。 

お互いに無事だったことを喜び合う。 




「本当にありがとうエイクさん・・・・俺にも地球に残した妹がいるんだ・・・」 
ジュドーはエイクの思いを感じながらもそう切り出す。 



「そうだったのか・・・君は俺たち兄弟のようにならないことを祈ってるよ」 
エイクの言葉にジュドーは涙がこみ上げてくる。 
何もいえなくなったジュドーの代わりに、ルーがエイクに感謝の言葉を告げる。 



「あなたには本当に感謝してるわ・・・本当にジュピトリスに来る気はないの?? 
あなたのメカニックとしての技術を艦長もえらく買っているんだけれど」 
ルーの言葉にエイクの答えは同じだった。 



「すまない、俺はこの腕を戦いがない世の中に使いたいと思ってる・・・戦争を生み出すMSのメカニックなんて矛盾してるかもしれないけど、 
戦争をなくす手助けになりたいんだ・・・その為に地球に向かおうと思ってるよ」 



「だったら4年後にまたあえるわね!!そのときを楽しみにしてるわ!!」 

お互いの健闘を称えながら離れ離れになっていく両者・・・・ 

最後にジュドーはこうエイクに告げる!! 



「あんたは最高のメカニック!!そして俺は最高のパイロットになったときにまた会おう!! 
いいですよね!!エイクさーーーん!!」 
エイクはにっこり微笑みながら去り行くジュピトリス?のジュドーに精一杯手を振りながら答える!! 



「そのときは俺がお前のMSの整備をするからなーーー!!」 
その言葉にジュドーはうなずきながら一礼する・・・ 

どんどん小さくなっていくジュピトリスの姿をエイクはいつまでも見つめていた・・・・ 


ジュドーにもエイクにもこれから先困難が待ち受けるであろう・・・ 

しかし彼らのような若者がいれば本当の平和な世の中はいずれ訪れるであろうと信じることもできるのではないだろうか・・・ 



エイクは振り返ると改修作業を終えた、ジォガンダムが大きなコンテナに入れられている姿が目に入る。

彼自身自分が戦うために手がけたわけではないこの機体、彼はメカニックとして自分が手がけた機体を、
よりよき者が扱い世界を平和に導くことが心からの願いだった。


「より良き者の元へ・・・・届け・・・ジォ」

彼が作り上げた大きな希望を込めた機体は、新たな場所へと旅立とうとしていた・・・・・




機動戦士ガンダム DEEP BLUE fin・・・・ 


機動戦士ガンダム DEEP BLUE Ⅱ へ続く・・・・