オッサン、そこは便所じゃねーぜ! -2ページ目

サッカーが日本を目覚めさせるかもよ?的な。

「いやー、4強入り。男女とも。そんなの、オリンピック前、誰が想像した?」


「いやほんとです。なでしこはね、まだしも」


「正直、男子は難しいと思ってたよ。直前のトゥーロン国際も、2戦目オランダ戦以外はヒサンだったし」


「わりとネガティブめに予想しておいて自分が傷つくのを回避する人は多いですけどね」


「うー」


「でも、まさかの、と言っちゃいけないんだろうけど、男女ともメダルに王手ですよ!」


「いまさらながら信じられないよ。なんとか決勝トーナメントに勝ち上がることはあっても、それ以上に行く可能性なんて、正直想像したことがなかった」


「そこで思うのは、オシム時代に言われていた『サッカーの日本化』ですよ。それが、もしかしたら、カタチになってきたのでは?と」


「いまさらオシムでもないだろ」


「ないでしょうね。それは。けれど、Jリーグの誕生以来、ブラジルになろう、イタリアに、イングランドに、ドイツに、スペインになりたい…という青い時代が落ち着いて、その間にW杯も2度決勝トーナメントに…1度は開催国だからアレだとしても、南アフリカ大会は自信を持っていいと思いますが…けっこう国際試合でも結果を出しながら、Jリーグも歴史を重ねて」


「バブルがあって、ヴェルディが2部に落ちて上がって来れなくて…それが健全な感じもしてね」


「僕らはサッカー不毛な時代を知っているじゃないですか。はしっこで。仕事でもなけりゃ知らなかったですよ。いかに中学時代にサッカー部だったとしても、社会人1年目とか2年目とかで連れて行かれた撮影が埼玉かどこかの中学か高校の体育館で、JFLのパンフ用の写真で、得点王は原博美で、ラモスほかドーハ組がみんないて…」


「それが自慢でね」


「…ですね」


「まぁ、なんだかんだと日本の土壌にどうなの?といわれていたサッカーが、ちゃんと定着してきたんだよね」


「それは本当にそうなんですよね。非常に喜ばしいことに、ちゃんと定着しつつあるかなぁ。まだ慎重なんですけど」


「けれど、日本化ってのは?」


「ドイツW杯を戦ったジーコ監督時代が失敗と言われ…まぁそこはいろいろありますけど、当時のサポーターが協会の責任追及に及んだみたいなところがあって、そこで国内で人気のあったオシム氏が電撃的に日本代表監督になって…」


「騒ぎがあったね」


「ね。でも、オシムの話が面白いし、たぶんそういう観念の遊びがキライじゃないんでしょうね、日本人が。それで求心力を持ったんだけど…病気で」


「あれは、そのまま続いてたら日本にどれだけ…と思ったね」


「で、その後、岡田監督の南アフリカW杯の毀誉褒貶とかありつつも、それなりの成績は残した。でも、その上をどうするのか。多分まだ準備はなかったんです。新たな課題ができた。で、それと同時に、オシムの顛末を知っている人は、多分心の中に残っていたんですね。『サッカーの日本化をする』というセリフが。日本のサッカー好きに対する宿題みたいに、ぽこっ、と浮いてた」


「もちろん日本人がプレイしてるんだけど、どこか借り物だったのかなぁ」


「ところが、その答えが、このロンドンオリンピックで見えてきたかもしれないと思うんですよ。サッカーの日本化とはどういうことか。それってつまり日本人ってどうなの?ということで、いい悪い好き嫌いは別にして、現実としてどういう特性を持っているのか」


「どういう特性…」


「たとえば、その昔、日本人にはマリーシアがないとか、サッカーの文脈で言われたことがあります。ドゥンガとかだった気がします。直訳すると、というか、そうスポーツ新聞に書いてあったのですが、『ずるがしこさがたりない』ということだったらしく」


「うん。聞いたことがあるな』


「でも、マリーシアなんて、ブラジル人は無理なくできるかもしれないけど、日本人がそのままマネするのは抵抗がある人も多かったわけです。また、ストライカーのエゴとか。海外では無理にでも自分で撃っちゃうやつが多いけど日本人的には信じられない…とか」


「それは海外に出て行く選手が増えたからわかったんだろうね」


「ですね。まぁ、そこで、サッカー選手たちも、南米に合わせたり、ヨーロッパの基準にうなずいたり、いろいろ苦労した中で、必然的にオシムの課題を思い出したと思うんですが、同時に指導者たちもね」


「指導者のほうが考えさせられただろうね」


「それがね、はからずも、今回のロンドンオリンピック男女両代表チームに見えてくる気がするんです」


「日本人のサッカーができていると?」


「いえ、まだ、できつつある、くらいなんでしょうけど。よく言うじゃないですか。南米の個人技。欧州の体格。アフリカの身体能力。ヨソを形容するのは上手だけど、なら日本は何なんだ。うん。選手も、協会も、指導者も、ファンも、マスコミも、同時期にひとつの仮説にたどり着きつつある気がするなぁ!」


「焼酎もたどり着きつつあるな!」


「それはいまのオレの状態…べつにいいんですが、では日本人って何なんだ?てな話です。そこで考えると、和を尊ぶし、組織を大事にするし、忍耐強いし、勤勉だし、規律を守る」


「サラリーマンの評価みたいだぞ」


「だから、それが日本人らしさだ、ということなんです。問題は、そのネガティブな側面ばかり喧伝されて、ポジティブに捉えられることが少ないという事実。でも、このロンドンオリンピックにおける日本サッカーの結果は、それを肯定させるモノがあるハズなんですよ。たぶん」


「自信を持っていいと」


「海外に行って、よく電車とかが遅れると。そのとき、日本なら…と思うでしょ? ドヤ顔気味に」


「そだね。それはあるね」


「だから、これが日本のストロングポイントなんですよ。これをもっと意識して、たとえば文科省の教育基本方針とかにも落とし込むべき何です。いや逆か。政府で『日本とは何か』を定めて、そのストロングポイントを活かした施策を展開する。そのほうが勝ち目があると思うんですよ」


「それはサッカーだけのことじゃなくてね」


「そーゆー自分たちのことをちゃんとわかって、東京にオリンピック呼びましょうよ。景気回復を政府に頼れないので世界に助けてもらうという(笑)」




プチ共産主義を賞賛主義で!?

「きょう、ツイッター経由で『お年寄りは若いのに迷惑をかけたくないから~と思っているのに』というブログを読み、なるほどなぁ、そういやタンス預金を抱え込んでいるお年寄りのリアルを俺はちゃんとイメージしてなかったわ…と反省したんだけど」


「どゆことすか?」


「俺の曲解含みで要約すると、生きているうちにいくらかかるかわからないし、年金もこのまま続くか不安だから、子や孫などの若い人に迷惑をかけないよう貯金は崩せない、と」


「うー。なるほど。生活費だったり医療費だったり、いつまでいくらかかるか」


「なんか消費増税の罵声の中から、貯め込んでいる老人から金を奪え!的な論調も多いし、俺だってもっとマイルドではあるけれど…」


「観念としては支持してましたよね。自分のイメージの中の、ありゃりゃいつのまにかタンスの中に1千万あったわい的な老人に対して、もっと金使えと」


「迂闊だった。たしかに不安だろうしなぁ」


「ですね」


「でも、その話はわかるとして、であるならよけいに日本の突破口が見えにくくなるだけだなぁ、困ったなぁ、と」


「突破口」


「老人がただ単に経済を止めているんだとしたら、そこをくすぐって動かすように考えればいい。そう思ってたんだよねぇ単純に。けれど、見えない将来に対するリスクヘッジだったら」


「そりゃじーちゃんばーちゃんのせいじゃない」


「じゃー誰だ。もう日本という社会の構造上の問題になるじゃん。企業の内部留保だって、また円高が想像を圧倒的に超えて進み、1ドル50円とかになったら、海外に市場を持つ企業は大変だよね。でもありえないことじゃない。リスクヘッジするさ。株式会社であり続けるために」


「んー」


「話を元に戻して、そのブログを読んで最初の感想は、やっぱり老人がへんに先の心配をしないような社会にしないとダメじゃないか、と。これから俺たち自身も含め、どんどん年寄りが多くなっていく時代だよ。一部の富裕層は別にして、人口のほとんどを占めるのが毎日を不安に生活している老人ばかりの国って…」


「やだあああああ!」


「だよなぁ…。じゃ、そーじゃない社会にするにはどうしたらいいんだ?老人が不安なく暮らせる社会ってどんなんだ?って13秒くらい考えると、医と食と住の不安を解消すればいいんだろう。それを国が負担するようになればいい!と思ったわけで」


「それは今もそうなんじゃ?」


「医は後期という大変失礼な名称がついている高齢者医療制度、食住は年金で…ってことなんだろうけど、もう全部ばっちりタダにして、そのかわり土地とかは国が召し上げるのよ。簡単に言ってしまうと、65歳以降はプチ共産主義にして、最低限の生きていく不安は取り除く」


「いやーいまさらマルクスエンゲルスじゃないでしょうし、そもそも財源はないですよね。大増税でもしない限り」


「今の増税はダメ!景気回復がなにより身にしみて先決!」


「終了じゃないですか…選挙トークみたいに『埋蔵金が!』とか言うなら話は別だけど(笑)」


「たしかに、ないねー(笑)。でもね、社会は何も行政が支えるというものでもない。ところどころは一般企業だって支えてる。バブル期はメセナとか言って盛んだったけど、いまだってやってるところはやってるよ。でも、さらに余力があると見てるのは、いわゆる富裕層だよ。資産家が苦しい市民を救う」


「そんな都合のいい…」


「可能性はあるんじゃないか?って思うんだ。海外とかは資産家やスポーツ選手の慈善事業が盛んで、日本でもマネる傾向が強くなってきたし、江戸時代とかは大家が店子の生活の面倒を見るのは珍しくなかったそうだ」


「落語の世界ですね」


「相撲のタニマチなんかも似てるかもね」


「ごっつあんです!憧れるなぁ」


「で、それをタダでやってくれ、とは言わない。けど金は返せない。だったらホメていいキブンになってもらえばいいんじゃないか、と。○○さんが、こんな素晴らしいことをしてくれました。ありがとう!って」


「ホメる…ねぇ」


「ホメられる。つまり、自慢できる。鼻が高い。そのヨロコビエネルギーは社会の埋蔵資源だよ。バカにできない。見えないけれどデカイ。実験するのにもほとんど資金もかからないだろうから、もっと真剣に試してみればいいと思うなぁ。資金を出してくれた人の名前を建物につける。銅像を建ててもいい」


「お祭りの奉納札みたいだなぁ」


「東日本大震災があって、多くの人が『社会』に目覚めたんだと思うんだよね。絆、って表現してるけど、人と人が支え合うという社会の原点。自分で言わないと誰からもホメられないけど、いいことをした!って充足感を、義援金だったり物資を提供したりボランティアで現地に行った人たちは感じたはず。これは新しい体験だったんじゃないかな。経済的にはソンをしてるのに、なに?この気持ちよさは?って。逆に個人で貯め込んで富を誇る虚しさ…みたいなのも感じた人は感じたはず。そんな統計があるかどうかわからないけど、おそらくあの震災以降、国内外を問わずさまざまな災害に対する寄付は増えたんじゃないかな」


「たしかに…調べてみたいなぁ」


「人の役に立ってるヨロコビ。それをちゃんとホメてくれたらなおうれしいはずだよ」


「勲章に賞状に…むかしから賞賛は蜜ですもんね」


「だから共産主義じゃなくて賞賛主義って呼んだらいい!と自画自賛でツイートしたんだけど、誰からも反応ないんだよね…」


「なかなか世間はホメてくれませんねぇ…」

マンガはキトクかもしれない。

「マンガ家さんにインタビューさせてもらいまして」


「ほぉ。なんか、意外とマンガ家さんに縁があるんだね」


「ねぇ。ちょっと不思議です。自分自身、べつにマンガ周辺業界に就職したわけでもないんだけど、何人かの方と直接+間接で仕事させていただいて」


「そういえば、昨日ニュースが流れてきた土田世紀さんも」


「ええ。そのころ外食D社の仕事を請け負っていて、E先生と少し関わらせていただいてて。で、某CS放送の仕事で、新宿駅のでっかい看板をマンガで展開しようということで、もちろんE先生に描いてもらいつつ、あと2~3回分、テイストを変えたいんで、誰か紹介してくださいと。おまかせで」


「寿司屋か!と」


「大トロから入ってウニ、イクラ…いや煮ハマグリがいいかな?とか」


「で、そこで?」


「土田世紀さんをキャスティングしていただいて。当時スピリッツで『俺節』とか『編集王』とか読んでたから、どんなのが来るだろう…と思ってたら。バツグンのギャグがFAXから現れた」


「惜しい人を亡くしたね」


「惜しい人を亡くしました。ご冥福をお祈りします…。しかし、土田さんのことを、いま酒飲みながら思い出していたら、ふと、ひとつのエピソードが頭に浮かんで。どういう符号か、あれ?今日のインタビューと少し話がシンクロしないか?と」


「なんだなんだ?」


「そうであるべきことを、そうであろうとすることで、大きな犠牲もあるんです。いや…細かい話はよしますけど。そこは」


「なんだかなぁ」


「難しいんですよ。一部はマンガ家残酷物語のようでもあり、でも、そんな単純な構図だけでもないので」


「よけいわかんねーよ」


「そのエピソードの話は置いといて、ぼくら、マンガ好きじゃないですか。もしマンガがこの世から消えるとしたら」


「それは、すげーヤだ」


「ですよね。いまの日本人にとって、多かれ少なかれ、マンガがない世界は、ちょっと考えにくい」


「だいぶお年寄りの人はわからないけど、50~60代くらいだって、けっこうマンガで育ってたりするしね」


「そして、それはマンガが産業として成立しているからぼくらは楽しむことができるわけで、当然。いや、してた、と言ったほうがいいのかもしれない」


「そいつはおだやかじゃないね」


「やっぱりデジタル化ってことですよね。先に言っておきますと、その流れは当然だし、悪いことばかりじゃないとは思ってるんですよ。けれど、ごくシンプルに考えると、こう言っていいと思うんです。マンガはどんどんタダになっている」


「そうだね。マンガに限らず、コンテンツ全般がタダという流れになってきている。先日、『なんでコンテンツにカネを払うのさ?』って本を読んだな」


「で、この流れは止められないと思うんですね。ファンにとっては最高。マンガ家にとっては最悪な状況でしょうね」


「喰っていけるのかな?」


「ごく一部の人は。出版社だって、どうするんだろう…って感じですよ。マンガ家を育てる、なんてこと、できなくなるでしょうね。勝手に育って力のあるヤツだけ残ればいいと。そんな状況がやってきたら、そもそも目指す人が減ってくるでしょうね。いまのアニメーターみたいに」


「国はときどき思い出したように『クールジャパン』とか言ってるけど、目指したら最後…と言われる職業になったよね。アニメーターって。ばれちゃったと」


「絵をかくのが好きなお人好し。口悪く言えば、そんな位置づけになってしまってる。ヒドイ話です。マンガ家も多くの作家は本当に最低の生活だと。暮らしが危篤だと」


「おいおい」


「だって、ストーリー練ってコマ割りして絵を描いて背景描いて…。プロは当然締切があり、時間と作業量を考えたらアシスタントを雇わざるを得ないらしいし、それは想像できますよね。で、原稿料は最低線だと1枚7千円くらいだと。20ページだと14万。そこからアシスタント代とか家賃とか光熱費とか出してると実入りはほぼゼロだと。では何で喰ってるのか?と言われれば、単行本になることだと。でもね。聞いたんですが、某メジャー少年誌でそこそこ人気があった作品が、最終的に単行本にならず、マンガ家さん夜逃げしたと…。ご家族から消息を訪ねる電話がかかってきたと…」


「それはキツいわ…」


「趣味ならイイですよ。でも、依頼されて描くプロが、それで生活することができない。喰えないのなら仕事じゃない、と言うのなら、これからマンガやアニメが激減するかもしれない。ピラミッドが小さくなれば名作が生まれる可能性だって小さくなります」


「でも、テレビドラマとかではマンガ原作がいまだに多いし、深夜アニメもよく見るよね」


「トキワ荘をはじめとして、日本のマンガ界はリーダーがいたんですね。みんな憧れて目指した。だから作り手もファンも多く育った。これまでは。しかし、少なくともアニメの下支えをしているのは、いまや外国ですよね。技術の流失はとっとと始まってるし、そこから人気作品が登場して日本の市場が席巻されないとは限らない。マンガだってネットを使えば作者が休んでいる時間にブラジルのスタッフが背景描いたりホワイト入れたりできる」


「パリのジャパンエクスポに韓国が『マンファ』のブースを出したって言ってたし」


「韓国は自国の市場が小さいから輸出モデルにしたけど、同時に文化戦略にも使ったわけですよね」


「東南アジアでK-POPがすごい人気らしいもんね」


「文化戦略の話は前にもしたんで端折りますけど、少子化する日本は、海外にマーケットを求めるしかない。産業として維持するためのサイフは海外にある。とくにマンガやアニメはそうですよ。しかも、他の産業をリードする役目を果たすんだから、国と商社とかでなんとかしてほしいもんです。で、それと同時にあるのが、話を元に戻すとコンテンツがタダになっていく話」


「あーそうそう。すでにYoutubeとかでいろいろ見れたりするしね」


「アホな、と言っちゃいますが、レコード会社とかPVを必死で消したりしてるけど、意味がわかりません。いたちごっこだし、そこに割く人件費がバカみたいです。それより上手に利用することを考えた方が建設的です。だってプロモーションのビデオなんだもの」


「そうね」


「で、タダになった場合、民放と同じように広告収入で制作費を担保するのかもしれませんが、すでに雑誌とかは広告収入があってもアレなので、もうひとつの視点として、文化の作り手たちを国や地域が支えられないか?と考えていて」


「どゆこと?」


「単純に言えば、たとえば練馬区が作り手を誘致して、助成金とか補助金を出すとか、支援制度を整えるとか。理想的には行政がやるのがいちばん助かるんだと思うけど、たとえば商店会とか、個人商店のレベルでも支援はできると思うんですよ。実際にモデルケースとして始めたサイトもあります」


「でも、補助金とか言ってると、絶対反対意見が出るよな。農家のケースだって出てるのに、マンガやアニメって…」


「そうでしょうね。文化は余白ですからね。なきゃ死んじゃうものじゃないけど、死んじゃうに近いことはありうる」


「それはわからんけど、あのマンガを読んで立ち直った!みたいな話は聞くからね」


「だから、当面は有志レベルでやるんでしょうね。てか有志がたくさん集まったら行政はいらないかもしれない。アニメーターさんはもんじゃ焼き5%オフにするよ!とか」


「アレかな。むかし、演歌歌手がリサイタルやると、客席からお札で編まれた首飾りがとんでくる…みたいなイメージ?」


「…なんか絵的に美しくないですが、そういうことですよね。マンガライブとかやったら投げ銭集まるのかな?DJ入れて…」


「集中できなさそうだ」


「まぁそうでしょうね。ライブは難しいから、やっぱ生活圏で支援ですね」


「ふつーの人がズルして経歴詐称とかもありそう」


「ま、そんなのは些末な話じゃないですかねぇ。しかし、何にせよ、アニメやマンガなどのコンテンツをつくってくれる才能を『奇特な人』って利用することばかりじゃなく、みんなで支える仕組みを作りたいですよね」



レッテル貼ろうワーク!

「最近、芸能ニュースとか見聞きしてると感心しっぱなしでさ」


「今朝もどなたか『でき婚』とか言ってましたね」


「ねー。あんなこっぱずかしいことしてさ、できた子供にも迷惑なのに、その一言でオシャレな気分?カジュアルなパパとママな感じ?すごいよなー」


「ま…カジュアルですな」


「結婚なんてのは、法的に拘束することで覚悟を促し、ちゃんと家族をやります!やれます!てな宣言でしょうよ。形式と言えば形式だもん。そんなこと前もってしないほうが、別れやすいしね。で、できちゃったら結婚すればいい」


「そこはまだ社会通念として一応するわけなんですよね」


「CMとかに影響あるからね。んで数年後に『心が通わなくなった』と離婚する。これは、もう、ニュースの錬金術だよ。芸能人としてはオイシイよね。子供が振り回されようが知ったこっちゃないし」


「しかし子供は両親そろってこそ精神的に安定すると言われますからね。事故とか病気で片親になってしまった親子はどう思うんでしょう」


「つまり下半身がきわめて自由業なんだろうね。すばらしい」


「すばらしいですかね?」


「いやそれよりも、『でき婚』ってコトバだよねぇ秀逸なのは。昔はハシタとかダラシとかがないって親戚知人に後ろ指さされる暗いイメージがあったんだけど、『ちゃった』なんて名付けちゃったら、ちょっとうっかりしたけど授かった命ですぅ~テヘ!みたいな明るさになっちゃったよ~テヘ!」


「…イラっときますけど」


「でもネーミングで救われたのは間違いない。不道徳と言われていたことが『でき婚』ってコトバで市民権を得て、しかも芸能人という見せる業種で華やかさを帯びて、ふつーの若いやつにもそれがOKなことになった。妊娠と結婚の順序が逆になることは現実としてあるし、それでいま家族として立派にやっている人も多いわけだけど、カジュアルにまでしちゃっていいのかよオイ!と」


「ちょっと違うんじゃないか?と」


「どうなの?とオッサンたちが思うくらい価値観を変えるチカラがあるんだよネーミングって。悪い方ではレッテルとも言うけど。まぁ、そっちの意味で言えば、『出ちゃった婚』とか『出しちゃった婚』とか、イイんじゃない?って思うんだけど、ね、どうかな?」


「…そのくらいヤな感じのネーミングなら、少し引くかもしれませんね」


「実際は結婚なんて制度はいらないのかもしれないんだよ。契約制度だから。でも、人間という種が、集団で子育てをするシステムを維持できなくなったので、首輪をつけることにしたんじゃないかな」


「それくらい結婚という制度は人間になじんでますからねー」


「ところで、おれ、ちょっといいこと思いついちゃったー。『レッテル貼ろうワーク』っての、始めようと思うんだよねー。いろんなことにレッテル貼ってさー。面白そう」

機は熟さない。棚から落ちる。

「ふと、思い出したんだけど、むかし某社が『シングルモルトビール』って出してたよね」


「ありましたねー。そして屈辱的な思い出もありましたよね。当時、同社のクリスマス向けビールに『ジングルビールとノドが鳴る』ってコピーを書いて、シングルモルトビールみたいだからNGって言われて」


「はぁ?なに言ってるの?って思ったね。でも、代理店の営業さんも、その声そのまま受けて帰ってくるから、ここから蒸し返しても仕方ないかぁ…とか、諦めたんだよね」


「押しが弱いから実績がイマイチなんですね」


「ほっとけ。いや、それが言いたいんじゃない。そのシングルモルトビールって、じつは商品的にはイイんじゃないの?って思ったのに、わりとすぐ棚落ちしてさ。たしか秋に出てそのコピー書いたころには負けが決定してたと」


「そんなんばっかりじゃないですか。今の時代。べつに某社だけじゃないでしょ」


「うん。そうだよね。なんせPOSで勝ち残れないとすぐ消される。そういう意味で商品管理がしやすい時代ではあるんだろう。けれど、その反面、じわじわ売れてきそうな商品は苦しいよね」


「それはたしかにそうですね」


「でさ。思うんだけど、新商品をリリースするとき販売計画とかは立てるけど、撤退計画も立てるべきなんじゃないかと」


「撤退計画?」


「この商品は、おそらくこう売れていく。だから、初速が伸びなくても、このくらいまでガマンする…みたいな。やってるのかなぁ。やってない気がするな」


「メーカーにもよるでしょうね。やっぱ棚の回転が基本的に速い飲料業界とかは、POSのペースで考えちゃうんじゃないんですかね」


「新商品開発って、何度か絡んだけど、時間も金もそれなりにかかるじゃん。で、1年もつ商品なんて滅多に出ない。もったいないよなー!って思うんだよね。そして、なんつーか、いまの時代って“新しい”って価値観で勝負するより、“長く大事に”で行った方がいい気がするんだよ。だから、とくに、ね」


「たしかに、コンビニの棚とか、どんどん商品が入れ替わってるらしいけど、よくわかんないんですよ。なんか認知される前に消えちゃうというか」


「なんつーか、消費を『子供のスパン』で捉えている気がしてならないのよ。んー。大人の消費態度って、新しいものにすぐは飛びつかない。何度か目にして、それなら…と手に取る。そんな気がするんだけど。それと、震災後、やっぱ日本人は『地に足を着けなきゃ…』という価値観にシフトしている気もするし」


「でも、すぐ売れ筋がわかる時代ですからね。なかなか売れない物をずっと置いとけないわけで」


「店側にとってみれば、商品入れ替えたほうが売れるかも…と思うのはムリもない。数字が見えちゃうわけだからね。けどさー、機が熟す前に棚から落ちるって、たくさんあると思うんだよなー。もったいない」


「人間だって、新人のほうが期待感あるし」


「いやいや、熟したオッサンだって味があるんだよ~」

ショーガナイのはショーガナイんだよなぁ!

「去年の話になっちゃったけど、談志師匠が亡くなって」


「お別れの会、行きたかったんでしょ?」


「そうだね。やっぱ、ご縁いただいたからね。オレの自慢だもん。談志師匠にビールおごってもらったこと。銀座2丁目のフォルクスだったかで」


「ラップ歌ってもらったり、取材受けてもらったり。ねぇ。一時期、結構いろいろ関わってました」


「当時の会社で営業担当みたいこともやらされてたからね。けど、イヤイヤじゃなく、やっぱり刺激のある人だから、楽しかったよ」


「豪放磊落に見えて、かなり繊細な方で」


「打ち合わせで酒場だったりすると、すでにガンと診断されていたと思うんだけど、タバコを吸うわけ。そういう師匠だからあえて吸っちゃうんだろうな…とか思いながら、まぁオレとかも自分のタバコに火をつけるわけ」


「人がタバコ吸ってると吸いたくなるんですよね」


「でさ。最近気づいたんだけど、もしかしたら、師匠、オレたちが吸ってもいい雰囲気をつくるために、まず自分から火をつけたんじゃないかと」


「あー。ありうる」


「そういう人なんだよ」


「そうかー。そうかも」


「談志師匠の『落語は人間の業の肯定である』という名言が有名だけど、ムズカシイ言葉だよ。オレなんか、自分の業が肯定しきれてないから、まだ気持ちがフラフラするもん。このトシになっても人前でニセの自分演じるしさ。あー、オレ、これじゃないのに…なんて、あとで凹むことあるし」


「でも、そーゆー自分も自分なのかもしれませんよ?」


「んー。ウジウジと決まらない自分も自分。ショーガナイ!かな」


「考えてみれば、いまの時代って、なんか形式ばっかり優先されてる気もしますね。コンプライアンス?個人情報?大臣は言葉尻とっ捕まえられて就任即辞職のローテーション。体裁重視。アホみたいですよね」


「でもさー。オレとか気弱だからさ、合わせようとするんだよね。やっぱり。こんなオッサンでも。ショーガナイのをショーガナイって、なかなか言えない」


「その『業の肯定』ってのは大きなテーマですよねぇ。談志仕様や寅さんみたいな高みにはなかなか行けない」


「だね。寅さんも似てる。談志師匠に。なんだろ。まとっている空気かな」


「んなー。ちゃんと映画通しで観たことほとんどないくせに!」




「へぇ。3番までしか聴いたことなかったけど、その先もあるんだ」


「その歌詞もイイですねぇ…」


「かっくいいよねー」

年末年始は日本の日

「CSとかで観れるようになって驚いたんだけどさ、ヨーロッパ、とくにイギリスとかは、正月そっちのけでサッカーやってるよね」


「日本だってやってるじゃないですか。天皇杯とか高校サッカーとか」


「いや、ま、あれは…んーたしかにそーだ(笑)。けどさ、あれはあれで風物詩としてやってるでしょ。ルーティーンの一貫じゃないでしょ」


「まーたしかにイングランドのサッカーとかは普通にリーグ戦やってますね」


「あっちはクリスマスのほうが重要で、ニューイヤーはそれほどでもない、と聞いたことがあるな。日本は除夜の鐘とか初詣とか三が日とか松の内とか鏡開きとか…正月はイベントの兜町いやシリコンバレーいや馬喰横山いや合羽橋いや吉原みたいなもんだからな。価値観が違うんだろーな」


「ナイツだったらもっとうまくまとめたでしょうね」


「いろんな評価があって人生だから気にすんな。いや話は正月がいかに重要か!って件で、何回もブツブツとかアレコレとか言ってきたし、その流れで紅白の視聴にもこだわる私ではあるけれど、今年は…ちょっとね」


「あれ?いつもの年末と違う?」


「ツマとスーパーにお買い物に行きながら、『なんか年末って感じがしないね』とか言われたのはアタリマエなんです。街で年末らしい風景を見ることが少なくなったから。いまや正月飾りもパック入りで売ってて、なんだかなぁ…と思うでしょ。みんな歳神様を迎えるのもコンビニエンス的にするようになったんだろうね。そもそも日本人として正月を迎えるスキルが衰えてきていたのよ。でも問題なのはそこじゃないんだな」


「とゆーと?」


「年末にしみったれた話はイヤだけどさ、この不況だよ。復興のためにも聡明な人はどんどん経済を回そうとすべきなのに、どうも流れが良くない。円高のせいなのか?ユーロも100円切ったとか聞いたし。てことは、正月を楽しむ、という典雅なしきたりよりも、オノレのサイフが死なないようにすることのほうが大切だろ!と言われれば返す言葉も見つかりにくい。しょぼん」


「んー。ムズカシイ選択だ」


「でもね。話がややこしくなってくるとグリッと単純化したくなるでしょ。もう、なんか、信じるしかないんだよ。根拠はなんもなくたって。なにしろ初詣に行って、二礼二拍手一礼ですよ。震災もあって、次また来るって話もあって、円高で、おまけにユーロまで危なくなって、そのうえ北朝鮮はどうなんだ?という日本。だけど、ぼくらは生きている。そんな年末年始ですよ。歳神様への大感謝祭を。間違ってもヘンなお願いとかしちゃダメよバチ当たるから」


「そーですよね。しょぼんとした年末年始はヤです!」


「年末年始こそ日本の日。その自覚をもって、どっぷり浸りまくる。iPhoneを見る回数も減らす。うん。その意気だ!」


「のんびりすごすのも決意が必要なんですね」


「もう、ほんと、必死にくつろぐから。今年はお正月の仕事を否定はしない。けど、オレはどーにか日本の日を守るからさ、勝手に」

日本ノXmasナンデ恋人ノ日デスカ???

「クリスマス連休も終わったね」


「絶好の連休でしたよね。23、24、25でしたからね」


「25年前だったらゼッタイじっとしてられなかっただろうなぁ。3日間あれば白馬とか野沢とかかな」


「で、帰りにすっかり渋滞ハマってヘトヘトになってそう(笑)」


「ところで実際ゲレンデは盛り上がったんだろーか」


「どうなんでしょうね。最近の若いヤツらはスキー…今はスノボかな?やるひと減ってるって言うし、そのうえ不況だし」


「震災もあったからなぁ」


「そうですよ。でも、被災地支援って言うならスキー行かなきゃ!ですよ。東北のゲレンデへ」


「そうなんだけどさ。オレもあんまり強く言えないから。自分はずっと家にいてほとんど日本の経済活動に貢献してないし」


「しかし、家で家族と過ごすのが正しいクリスマスの過ごし方だ、って言いますからね。外国人は日本人のクリスマス感が不思議みたいですよね」


「うん。それ、オレも考えたんだよ。なんでかな?って。すぐ思いついたよ。犯人は」


「犯人がいる話なんですか?」


「いるよ。オレらの世代とか、ちょっと前とか、どっぷり影響を受けてるもん。ま、オレ自身はそーゆー路線を避けるところがあったからカセットとか持ってなかったけど、人のクルマとか、いろんなところで聴くし、根がミーハーだから」


「なんなんですか?話が見えませんが」


「あ、わかんなかったか。ユーミンですよ。松任谷由実さん」


「…くやしいですよ。わからなかった自分が。そりゃそうですよ。たしかにユーミンでしたよ。とくに女子」


「男もだよ。女子の気を引くことがすべてだからたいがいユーミンのカセット持ってたりするんだよ」


「用賀のデニーズで後ろの席の話に耳をそばだてて、それで歌をつくる、とゆー都市伝説」


「憧れてたんだよね。あの歌詞世界に。そのうえメロディもうまいからね」


「あ、なんか思い出した。どーして少し遠出のスキーは長野方面だったのか。あれは『中央フリーウェイ』のせいだ。たぶん」


「そうそうそう!環7から中央高速入ってすぐにカセットが入る」


「あれ、きっと当時中央道でゲレンデへ向かうクルマの8割はきっとかけてましたよね」


「それは言い過ぎな気がするけど、言い過ぎじゃないかもな」


「そうかそうか。それで『スキー天国』へ行って、仮に吹雪いてても『ブリザード』で、『ロッヂで待つクリスマス』でね。いやーそうでした」


「そーなんだよ。だから、あの時代で今年のカレンダーだったら、もう高速はグチャグチャだったはずだよ。だってリアル『ロッヂで待つクリスマス』ができるわけだからね」


「ついでに『恋人がサンタクロース』でティファニーのオープンハートとかゲレンデでプレゼントしたりするんですよね。バブルだなー」


「クリスマスを恋愛の日にしたのは、だからユーミンなんだよ。たぶん」


「ユーミンの描いた世界に多くの若者が向かってたってことなんですかね」


「と考えると、ユーミンは経済動かしてたんだよね」


「まったくそうですよね。白馬のペンションとか苗場プリンスとかはユーミンに足向けて寝れないでしょ」


「もしかしたらクルマメーカーとかもね。あーゆー世界がしたかったからクルマ買ってた部分はたしかにあるから。あのころは若者が積極的に出かけて金使ってたからね」


「となると、景気対策でユーミンに曲を作ってもらったらいいんですかね?」


「たしかに今って内省的な曲とかが多い気がするよね。ライフスタイル提案型はあんまりないかもしれない。その意味では、あながち笑い話でもないかもね」


「しっかし、いま改めて聴くと、神ですよね。ホント」


祝!由紀さおり先生!

「最近なにがスバラシイって、由紀さおり先生のニュースだよな」


「意外なところから意外なニュースで、さぞかしNHKも悔いているんでしょうな」


「いやいや紅白だったらわからんよ。いまは『サプライズ』って便利な言葉があるからな」


「ガガさんも、まだありえますからね」


「でもね。この話は2週間ほど前に知って、ネットとかで事情を探ってたんだけど、金曜日の報道ステーションで取り上げたのを観て、なんか泣きそうになったよ」


「いい曲ですからね」


「どううなずいていいんだかわからない展開だけど、なんつーか、ぜったい世界で通用するぜ!と思っていた日本のコンテンツが、案の定、世界で通用したじゃん!と」


「ぜったいと」


「うん。ぜったい!だよ。馬鹿にすんなよ。まぁ規模の点から、どのくらいを成功と言うんだ?てな話はあるかもしれないが、なんつってもロングテールの時代だからね」


「ファン層が小さくても範囲を広げれば商売になる、という」


「そうだよ」


「そうなのかなー」


「あのさー、その、とりあえず疑う、ってのヤメてくんないかなぁ。会議とかで、とりあえず否定するために出席してて、それで仕事してるつもりの人っているけど、それが賢い態度だってムードも百億歩譲って認める。が、商売が順調な時代はいいけどさ、いまは違うと思うんだよね」


「いや、まー、ね」


「クールジャパンとか、国としても言っていながら、これがすごくサプライズ的な出来事だと位置づけているのが非常に嘆かわしいです。ロングテールとは言ったけれど、そんなのは“抑え”ですよ。YouTubeとか、タダでコマセを撒ける世界的なメディアがある時代なんだから、戦略的視点でふつうに考えれば、あ、ここで喰いましたか、てなもんで」


「釣りですか」


「うん。あまり変わらないよね。ま、釣りの場合は釣られると命を獲られてしまうけれど、こっちは命を豊かにしてくれる」


「うまいこと言いますねー」


「言いますよぉー。しかしねー、心配なのは、この機に乗じて、もっと他のジャパニーズ・ミュージック・アーカイブスを紹介できるでしょうか?と。あるからねー。この地層の豊かさはハンパじゃないからね」


「こーゆーの韓国にやらせたら上手なんでしょうね」


「上手なんでしょうね-。だって、アチラは、そもそも戦略視点だからね。ここ最近、あの秋元康氏の発言をいろんなメディアで目にして、なんかものすごく共感するんですよ。AKBのビジネスはいろいろ言われるところもあるけれど、日本のアイドルパッケージを世界で売る!という考え方は、K-POPに対するカウンターカルチャーです。この国にはもっと底力がある。それを、たかがアイドルで実証して見せますから、あとに続いてくださいと」


「ふむふむ」


「オレが知ってる限りでは、小泉内閣のときにできたよね。クールジャパン室みたいなのが。同じ名前かどうか忘れたけど。もう10年くらいは前でしょ。なのに、ビジネスベースで言うと、完全に韓国に負けてるよね。偏差値的には頭のいいはずの政治家や官僚がバカなんじゃないかな?って思うわけだ」


「言っちゃうわけだ」


「ま、なんにせよ、歌にせよ漫画にせよ、まだ世界がほぼ知らない、けれど世界のスタンダードになるかもしれないネタが大量にあるんだから、これを活かしてほしいよねぇ。ほんと、切実に思いますよ」


「せっかく由紀さおり先生が話題になってるんだから、この機に乗じてできればいいんでしょうね」


「そうそう。別に欧米市場だけじゃなく、曲調によって中国とか、中東とか、ちょっと狙ってやってみるのもイイかもしれないんだよね。たとえば、例の『蘇州夜曲』とか、中国語バージョンとかないのかな。日本向けキャンペーン用とかに売れると思うけどな。ほかにも、そういうマーケティング的な使い方じゃなくても、なんか世界で勝負させたい歌はあるよね。ちょっと列挙してみよう」


「いい曲たくさんあるもんなー」


☆見上げてごらん夜の星を
☆あの鐘を鳴らすのはあなた
☆旅の夜風
☆ナオミの夢
☆真夜中のギター
☆男はつらいよ
☆喜びも悲しみも幾年月
☆誰か故郷を思わざる
☆ひまわり娘
☆学生時代
☆ここに幸あり
☆若き獅子たち
☆冬が来る前に
☆翼をください


「これ、きりがないなー。第一興商とかがカラオケ用の映像でYouTubeにアップすればいいんだな」


「あとさー。唱歌とかもイケルと思うよね」



手塚で文化の日とゆーことで

「文化の日、どこか行きました?」


「行きたいところはあったんだけどね。お日柄的に美術館とかもね。けど仕事もあるし、その前にMacのメンテもしなきゃならないし、結局ほとんどモニターのゲージを見ながら『ところで文化の日ってどんなルーツだったっけ?』とか考えてました」


「そーいえば、11月3日って手塚治虫巨匠のお誕生日なんですって。ラジオで言ってましたよ」


「げげっ!マジで?できすぎやんか!」


「ほんとほんと。手塚治虫の誕生日だから文化の日!みたいな」


「それ信じるヤツいそうだなぁ」


「でも、誰しも認めるマンガの神様であり、日本アニメのスタンダードをつくった人です。ディズニーの半分のコマ数での表現とか、恐ろしく安い制作費とか(苦笑)」


「おかげでアニメーターの労働環境がヒドイ! でも、まぁ、やっぱり手塚さんがいたからクールジャパン(笑)がある、というのは間違いないよね。あの伝説のトキワ荘も、手塚さんに憧れてのちの神々が集まってきたわけだから。石ノ森章太郎、藤子・F・不二雄、藤子不二雄Ⓐ、赤塚不二夫、敬称略(笑)」


「遊びに来てた漫画家や当時アシスタントだった巨匠も加えると…すごいんだよね」


「それでさ、調べてみると、トキワ荘を最後に退居したのが石ノ森章太郎巨匠なんだけど…いちいち巨匠ってつけないほうがいい?」


「ん…お好きに。若干めんどくさいけど」


「やっぱり敬意は込めなきゃね。巨匠も巨匠、大巨匠だもん。で、話を戻すと、石ノ森章太郎巨匠がトキワ荘を後にしたのが1961年で、今年ちょうど50周年なんだよ」


「えーっ!まさかのアニバーサリー発見だぁ!?どこの誰も言ってないけど(笑)」


「『トキワ荘卒業50周年展』とかやってもいいのにね。ったく、気がきかねーなぁ」


「これからやりますか?」


「そーだよねぇ。ホントはこの文化の日に絡めてできたらサイコーだったんだけどね…トキワ荘のあった椎名町に近い池袋の西武美術館とかでさ。あのデパートは本屋も入ってるんだから、トキワ荘イベントやったら販促にもつながったのに…オシイ!」


「西武じゃなくて東武でもいいですよね。パルコもあるし。てか椎名町駅南口の東武ストアでもいいよ」


「だいたいトキワ荘跡地が博物館になってないのがおかしくないか? 海外、フランスとかアメリカとかだったら、こんな事態を許すと思う?国家的なビジネスチャンスの損失ですよ! オレ、育ちがトキワ荘のあった椎名町のとなり駅の東長崎で豊島区だし、日本アニメの発祥地で日本一漫画家が住んでるといわれる練馬区在住だからさ、なんでこんな巨大な財産を活かせてないのか…もうホント悔しいのよ」


「そこらへんは後発なのに韓国のほうが上手ですよねぇ…」


「そーなんだよ。ちゃんと戦略的だもん。国家プロジェクトだもん。そーいえば、ちょっと前、若手俳優が某テレビ局の“韓流傾倒"を批判してずいぶん騒ぎになったじゃない。脳科学者の茂木健一郎氏もツイートが韓流擁護に受けとられて大変そうだったな。あれ、刺激し合って日本もガンバレ!って意味だったと思うけど、字面だけで判断するヤツがいるからね…。あの若手俳優にしたって韓流そのものを糾弾しているんじゃなくて、なんの志もなくぼんやりウケるのを垂れ流してるだけのマスコミをくさしたんだよね。つまり自省しよう!ってメッセージだよね」


「日本も負けんじゃねぇ!と」


「そうそう。けどね、負けてるよ。あっちはGNPだかGDPの何パーセントは文化戦略に使うって決めてるらしいからね」


「そして日本は…」


「クールジャパン室…何やってるんだろ」


「海外から旅行で来るお客さんも、日本のサブカルチャーに興味のある人って多いでしょうにね。アキバとか行くんだろうけど、歴史とか見れる博物館とか、あったらいいのに」


「オレ、某N区の企画部?商工観光部?の人に直接聞いたんだけど、中国人のグループから電話がかかってきたと。観光で日本に来た。明日帰るんだけどアニメやマンガの博物館はないのか。それがあいにくないんです。ないわけないでしょ東京に。日本のアニメは東映でしょ練馬にあるでしょ。んー東映にちょっとしたのはあるけど…」


「知ってる。5年くらい?前に行ったことある。門のところの守衛室で名前を書いて入るの…。オドロイタ。仕事かよ!(苦笑)」


「そうそう。でさ、その中国人は行ったんだと。すると閉まってた。日曜日だから(苦笑)」


「えーっ!!!そりゃないよ!!!」


「クールジャパンの中心にあるはずのマンガとアニメの、それぞれ歴史的な根拠もストーリーもある練馬区も豊島区も、こんな有様なんです。トホホです。すべては麻生政権時代に民主党が『国立マンガ喫茶なんてつくるな!』と吊し上げてつぶしたから…だけじゃないんだろうけど、計画動いてたからね。あれま、だった。いまとなっては民主党にも推進派がいるらしいけど」


「そりゃいるでしょうね。いないとヘンですよ」


「けど、もしかしたら水面下で動いてるのか?という気もするけど、ちょっと前に『としまえんが緊急時避難防災公園に』とゆーニュースが出て練馬区民を震撼させましたが、あの一画にマンガアニメ博物館ができるんじゃないの?って期待してるんです。としまえんといえばコスプレの聖地でもあります。そして豊島区にも近いけど練馬区だ。マンガとアニメの聖地のちょうど中間あたり。しかも土地がある。緊急避難の場所として整備するにしても、平時は閉鎖しておくわけでもないだろうから…可能性は十分だ」


「ついでに遊園地もちゃんと残しつつやれば、ショーとかもできそうですね」


「いまTPPでモメてるけど、クールジャパン政策は産業活性化の側面支援をしてくれるはずなんです。文化戦略なんです。値段だけでない付加価値を、製品にも、国家にも、演出することができる。そして日本には優れたアーカイブが膨大にある。ここんとこトキワ荘から生まれた作品が映画化されたりアニメ化されたりのニュースが多いじゃないですか。サイボーグ009、ひみつのアッコちゃん、怪物くんも。もちろんまだまだたくさんあるし、新しいところも当然ある。海外にもファンが多い」


「ニュース番組とか経済誌とかでもクールジャパン特集とかやるし、文化とか経済の期待の柱って言われてるけど、どこか『でもサブカルチャーなんだよな…』とイマイチ自信を持ててない気がします。とくにエライ人が」


「けどビートルズだってそうだったわけだし、印象派だって浮世絵だって最初からアカデミックだったのか?能や歌舞伎はどうなんだ?ってことですよ」


「歌舞伎はかぶきものからきてますもんね。不良だ(笑)」


「経済産業省に“室"つくったんだから、今さら何をいわんや。ちゃんと進め!ってこと。進むためには中心がほしい。観光客が目当てに訪れる場所。それをつくりましょう。でないと国家的損失だぞ!と」


「みんなで声を上げないといけないですね」


「クールジャパン戦略を応援すべし!これ憲法に書くべきだ!」


「文化の日って日本国憲法の公布日ですしね」


「もう手塚先生の誕生日ってことでいいんじゃないの?」