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2:電力会社のおかしな実態:総括原価方式

東京電力を筆頭に2015年上半期の電力会社の決算では10社を合計した売上高は前年から2.8%減少したものの、営業利益は2倍に増えて1兆円を突破。原油やLNGの輸入価格が1年間で5割近く下がった効果によるものだ。

東京電力は被災者への対応や福島原発事故の対応、そして原発が稼働していないことにより燃料費がかさむとして震災後電気料金の値上げをしてきた。他の電力会社は震災後の対応などはなかったにもかかわらずやはり原発が停止していることにより電気料金を上げ続けている。原油価格の下落は随分前から始まっていた。それでも電力会社は原発再稼働なしに電気料金の値下げはあり得ない!衆院委員会で八木電事連会長がそういって昨年も原油価格が下落する中電気料金の値上げをした。

下の表は2011年3月以降から2015年6月まで電力会社各社の値上げランキング一般家庭向け電気料金の値上げ率ランキング1位は、震災後2度値上げをした北海道電力でした。続いて2位が関西電力、3位が東北電力となっている。
オール電化向け夜間料金値上げ率


一般家庭向け電気料金値上げ率



原油、LNGの輸入価格が1年間で5割近く下がった。イランとアメリカはこのほどイランの核開発協議問題において最終的な合意意をした。
制裁が解除されればイラン原油国際市場が復活する。
イランは現在130万バレル/日だが、これが制裁前のレベル250万バレルまで上がるということだ。
市場予測では原油価格が25ドルまで下落する可能性があるという見方もある。

さて、日本の電力会社に話を戻すと、原油・LNG輸入価格の下落で原発を再稼働しなくても利益を出せる状況になっているのに日本の電力会社はこぞって値上げをしてきた。
昨年から原発の再稼働も始まっている。
そして昨日関西電力は電力小売全面自由化に合わせ電気料金を見直した。
最大で5%やすくなるプランを用意したとしている。

5%???

舐めてるのかと言いたくなる。関電は北海道に続いて値上げを積極的に進めてきた会社だ。
しかもやすくなるのは消費者が電気を使う時間や量を調節したり節約することで成り立つプランだ。

この電気料金の問題でさらに腹がたつのは、経産省。
電力会社は勝手に値段を上げられるわけじゃない。国の許可がなければできない。
ところが、経産省はなんの躊躇もなく我々の電気料金を上げる手伝いをしてきたわけだ。

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電力会社の最もおかしな構造は総括原価方式。一般企業とここまで異なる。
国と癒着し、独自の決算で私腹をこやす。そこに生まれる歪みは高い電気料金。
それを支払うのは国民だからやってられない。
電力会社の根本的構造改革が必要だが、それをやってくれる政治家を私たちが選ばないことには実現しない。