IT製品などの関税撤廃に関する世界貿易機関(WTO)の取り決め「情報技術協定(ITA)」の交渉会合が十八日、ジュネーブで開かれ、医療機器など約二百品目を新たに対象に追加することで暫定合意した。二十四日の会合で品目を確定させる方針。日本企業が得意とする分野で、輸出増加に期待が高まりそうだ。

 交渉筋によると、十八日の会合では新たな対象品目のリスト案が提示された。各国・地域は二十四日までに国内調整を済ませ、年末までの最終合意を目指す。

 ただ追加品目について、一部の国や地域が納得していない可能性も残されており、二十四日に品目が確定できるかはなお予断を許さない。

 WTOのアゼベド事務局長はツイッターで「合意への土台ができた。(二十四日の品目確定に)成功できると楽観視している」と述べた。

 新たな対象には、磁気共鳴画像装置(MRI)などの医療機器のほか、新型の半導体やゲーム機、スピーカーなどが含まれるとみられる。多くの品目で日本から中国や欧米などに輸出する際、関税がゼロとなる。こうした品目の日本からの年間輸出額は八兆円を超えている。

 多くの品目の関税撤廃を狙う米国と、自国産業保護の立場から対象が多過ぎると主張する中国が対立していたが、両国は昨年十一月に関税撤廃の拡大で合意。交渉は同十二月に再開したが、中国と韓国などが対象品目をめぐって対立し、再び中断していた。

 一九九七年発効の現在の協定はパソコンや周辺機器など百四十四品目が対象。当時、想定外だったハイテク機器が近年次々と生まれ、二〇一二年から対象品目を拡大する交渉が続けられてきた。

 <情報技術協定(ITA)> WTOに加盟する国・地域がIT製品の関税を相互に撤廃するための協定。1997年に発効し、対象はパソコンや周辺機器など144品目に上る。日本や米国、欧州連合(EU)、中国、韓国、台湾、インドなど70以上の国・地域が参加。対象品目の拡大を目指す改定交渉は2012年に始まった。