By TAKASHI NAKAMICHI
2014 年 8 月 13 日 15:06 JST
内閣府が13日発表した4-6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率換算で6.8%減となり、日本経済の道筋が4月の消費増税後にいかに急反転したかを浮き彫りにした。
この数字はエコノミストの予想ほど悪くはないものの、震災で国内サプライチェーンがまひ状態に陥った2011年1-3月期(第1四半期)以来の急激な減少だ。日本経済は夏に回復すると広く予想されていたが、今のところ世界経済成長の大きな足かせとなっている。米経済は4-6月期に4%拡大しており、ドイツ経済の縮小は日本よりずっと小幅にとどまるとみられる。
以下は今回のGDPに関する五つのポイントだ。
1. 金融政策の変更は当面ないが、可能性は残されている
甘利明経済再生担当相はGDP発表後、消費増税後の後退が予想の範囲内であり、景気は着実な回復基調が続いているとの見解を崩さなかった。差し当たり補正予算の必要性は感じていないとした。
だが、必要と判断される場合は「機動的に」対応すると述べ、将来の対応については可能性を残した。これは、景気が急速に回復しなければ、追加刺激をめぐる議論が活発化しうることを意味する。
第一生命経済研究所の主席エコノミスト、永濱利廣氏は、縮小が急激だったことに議論の余地はないと述べ、政府と日銀が行動を求める圧力にさらされることは間違いないとの考えを示した。
2. 消費の落ち込み
Reuters
最大のGDP押し下げ要因は、前期比年率18.7%減となった個人消費の落ち込みだ。自動車から住宅まであらゆるモノに対する駆け込み需要の反動から、家計は支出を切り詰めた。この動きは余りに急激だったため、増税の影響を過小評価していたと認めるエコノミストが出たほど。この落ち込みは、1994年に現在の統計様式が導入されて以降で最大だ。
3. 住宅投資の大幅減
住宅投資は年率35.3%減と、5年間で最大の減少だった。これまで8四半期連続で増加していた。
4. 輸出・設備投資の救援なし
当局者らは、消費に代わってこの2分野が成長をけん引することに期待していたが、輸出は1.8%、設備投資は9.7%、それぞれ減少した。
5. 在庫の増加
GDPがエコノミストの予想を上回った一因は、民間在庫の増加だ。年率4%程度の寄与となった。だが企業が在庫を抱え込んでいるなら、既に軟化している工業生産にとって悪い兆しとなる。