総務省が三十一日発表した全国消費者物価指数(二〇一〇年=一〇〇、生鮮食品を除く)の一三年平均は前年比0・4%上昇の一〇〇・一で、〇八年以来五年ぶりにプラスとなった。物価が上昇に転じた要因は何か。暮らしにはどんな影響があるのか。物価上昇に伴い今後、賃金も上がるのか。 (石川智規)

 Q 消費者物価指数とは。

 A 商品やサービスの価格がどう変動したかを示した指数だ。光熱費から家電やバッグなどの身の回り品の価格まで五百八十八品目が調査の対象。景気が良くなるとモノの買い手が増えて物価は上昇し、不況下ではモノが売れず下落しやすい。このため、物価指数は「経済の体温計」ともいわれる。

 Q 年平均で五年ぶりに上昇した理由は。

 A 福島第一原発事故の影響で液化天然ガス(LNG)などの輸入が増えるなどエネルギー価格が上昇したところに円安傾向が重なって輸入価格が上がった。電気代は7・1%上がり、輸入ハンドバッグは20・5%上昇した。

 Q 今後はどうなりそうか。

 A 直近の昨年十二月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は一〇〇・六で前年同月比1・3%上昇し七カ月連続のプラスとなった。当面、物価の上昇基調は続きそうだ。ただ日銀が目標にする「二年で2%」まで上がるとみる専門家は少ない。日本は過去二十年間で一度も消費者物価が2%台になったことがない。本格的な景気回復がなければ、2%という高い上昇は困難との見立てだ。

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 Q 2%までいかなくても、物価が上昇したのに賃金が上がらなければ、生活費の負担が増えることになるのでは。

 A その通り。賃金上昇を伴わずに物価だけが上がると暮らしは苦しくなる。厚生労働省によると、物価の影響を考慮した「実質賃金」は一三年七~十二月期は前年同期比で1%超下落した可能性が高い。

 四月には消費税増税が控える。BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「企業は増税に伴い商品の価格を改定する際、これまで控えていた(仕入れ価格アップなどの)コスト増の転嫁を一気に行う可能性がある」と指摘。増税に合わせて「本体」の価格そのものが値上げされる製品が増えると予想している。