NHKが個人を相手に受信契約締結と受信料支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁の難波孝一裁判長は30日、「NHKが契約を申し込めば、受信者が承諾の意思表示をしない場合でも、2週間が経過すれば契約が成立する」との判断を示した。NHKによると、初めての司法判断だという。

 今年6月の一審横浜地裁相模原支部判決は「契約締結を命じる判決が確定した段階で契約が成立し、受信料の支払い義務が発生する」としたが、高裁はさらに踏み込み、契約は既に締結されていると認定した。

 難波裁判長は、放送法は受信者に契約締結と受信料支払いの義務を課しており、判決で強制的に承諾させる手続きは遠回りで不必要だと指摘。「判決確定まで契約が成立しないのは受信料を支払っている人との間で不公平だ」と述べた。

 その上で、NHKの主張通り、契約申し込みの2週間後に契約が成立することを認め、テレビを設置した日にさかのぼって受信料の支払いを請求できる、とした。

 一審判決は被告の相模原市の男性に対し、契約を承諾して判決確定後に受信料約10万9千円を支払うよう命じたが、高裁は取り消し、同額を即時に支払うよう命じた。

 NHKは「放送法の定めに沿った適切な判決だと受け止めている」とコメントした。