東京電力は6日、年間200万トンのシェールガスによるLNG(液化天然ガス)を確保したと発表した。三井物産など大手商社2社から米国産シェールガスを年間80万トン購入するほか、残りを複数の供給者から調達する。

日本の調達価格に比べ大幅に安い米国での市場価格に連動することから、現状の価格レベルに比べ3割程度安となり、年間500億円程度の節約効果が見込めるという。

三井物産からの調達は基本合意し、三菱商事とは基本合意に向けて最終協議中だ。「軽質LNG」という、従来に比べ単位容積当たりの熱量が低いLNGを両商社から各年間40万トンを調達。調達期間は約20年間を予定している。両商社が参画する米南部のキャメロン・プロジェクト(ルイジアナ州)からシェールガスを原料としたLNG(液化天然ガス)が供給される。三井、三菱両社からの調達数量は追加オプションについて協議中としている。

キャメロンに加えて複数ソースから同120万トン程度、合計200万トン程度の軽質LNGを確保。120万トン分の調達先の国・地域は明らかにしていないが、会見した佐野敏弘常務は、シェールガスの調達地域について「すべて米国のシェールガスとは考えていない」と語った。

東電を含む国内の原発停止が長期化する中で、代替する火力発電の主たる燃料であるLNGの調達で、原油価格連動という長年の慣習を引きずる日本は、米国内の天然ガス価格(ヘンリーハブ価格)に比べて約6倍もの高値購入を強いられており、電気料金の相次ぐ値上げを招く主因となっている。キャメロンから調達するLNGを含む200万トン分のほとんどがヘンリーハブに連動するため、米市場価格に液化コストや輸送コストなどが上乗せされてもなお、現状の調達費から3割程度安くなるという。

同社は昨年11月に策定した「改革集中実施アクション・プラン」で、同社のLNG調達量の半分程度(最大年1000万トン)について、米国産シェールガスなど軽質LNGの導入を図る方針を掲げたが、今回の一連の調達プロジェクトはその第一歩としている。

<設備改造コスト400億円>

軽質LNGの受け入れには基地や発電設備の改造が必要となる。佐野常務は、千葉県富津市と川崎市にあるLNG基地について「富津は重質から軽質まで幅広いLNGを受け入れられるようにする。東扇島(川崎市)は軽質対応に特化する」と述べた。工期は約10年間で、必要コストの概算は400億円程度だという。昨年7月末に1兆円の公的資本を受け入れた同社は、設備改造に必要な資金のねん出が課題となる可能性がある。佐野氏は「どういう資金調達がいいのかアライアンスやリース方式などあらゆる可能性を考える」と話した。