昨日の記事(福島原発)の追記。

報道機関、政府そして電力会社の目に余る怠慢に怒るあまりお伝えしたい部分が不明瞭になってしまいましたの追記致します。

24日に発表さられた東電の新しい試算結果によれば、3月12日から31日までに放出された放射性物質の量90京(けい)ベクレル(京は兆の1万倍)。
昨年3月15日、主に2号機からの放出で原発の北西地域が激しく汚染されたとする説を裏付けた結果になった。

また、16日には3号機から海の方向へ大量放出があったようだが、詳細は不明のままだ。

4月以降は放出量が急激に減っているというものの数字が報道されていない。
昨年3月中だけでチェルノブイリ事故の17%分に近い放射性物質が放出されたわけだが、その数字と比較して4月は急激に減ったとだけ言われてもなんら安心出来るメッセージにはならない。

23日、WHOは福島県浪江町の乳児の甲状腺被爆量は100ミリから200ミリシーベルトと発表した。
WHOがこの発表をするまで随分と時間がたっているが、彼らはIAEAの許可なしに原子力に関するデータを発信する事ができない。

小佐古敏荘(こさことしそう)内閣官房参与(当時)の「助言チーム」が昨年3月末に高い放射線量が計測された福島県飯舘村への立ち入り制限を政府に提言した。
しかし政府が避難の対象区域とするまで3週間以上を要してしまった。
3月中旬助言チームは30キロ以上はなれた場所も非難地域見直すべきなのは当時文科省の土壌モニタリングの結果から明らかであると指摘して、至急立ち入り制限措置を決定するように訴えた。
だが、災害対策本部が避難区域見直しの助言を安全委に要請したのは4月10日。
3月31日時点で、三分の二が村内にとどまっていた。
一番避けなければならなかった3月の間実に65%近くの村民が危険な地域に取り残さるかたちとなった。

門馬伸市副村長は「すべてにおいて情報が遅かった。
もう元には戻れないのだから、今さらどうしようもない」と話している。

災害対策本部の事務局を務める経済産業省原子力安全・保安院の担当者は
「提言を受けて検討を始めたが、検討に時間がかかった」
と釈明した。

最新の推定を発表するのに事故発生後一年以上かかったのはなぜか。。との質問にたいして
東電幹部は
「モニタリングポストで観測された放射性物質が原発内部の事故と関係しているか見極めるのに時間がかかった」
と答えているが場所によっては値が高すぎて計測不可能であったような場外で、この上昇が自分たちの起こしたあの当時の事故と関係あるかないか見極めがつかなかったのだろうか。

今回3月の放出量を東電は明らかにした。今後この数字が変わらないとも限らない。
それよりも気になるのは、今日までの総放出量が全く示されていない。
3月分にしても政府や電力会社が示すのはキセノン、ヨウ素、セシウムのみだ。震災直後ストロンチウムやプルトニウムは検出に時間を要するとして検出の値を開示してこなかったが一年以上たった今もその姿勢は何ら変わらない。海水への放出量も明らかになっていない。私のきらいなグリーンピースが付近の海洋汚染レベル調査の許可を政府に申請したが、許可はおりなかった。海の汚染度については現在情報はゼロに等しい。

今回の発表を受け、原子力委員会の元委員長代理だった田中俊一さん
「放出された放射線量が増えたことで健康への影響や被爆量が大きく増えるとは思わない」
「しかし(こうした報道を見ることで)住民の間で被爆関連の病気になるかもしれないという懸念が強まる可能性がある」
とコメントしている。

京都大学の中島健教授(原子核工学)
「重要な問題は放射性物質がどの程度放出されたかではなく、人々がどの程度被ばくしたかだ」「放出量の推計値がこのように大きく変動すると、一般国民の間で不信感を招く」
と語った。

昨年4月から、保安院や原子力安全委員会らは放射性物質の放出量推計を発表し始めたが、その数字は何度となく更新されその度に増えてきた。
今回東京電力が初めて試算を公表したわけだが政府機関との誤差が二倍。

放出量が増えても被ばく量は増えない。
今回、発表された被爆値は何も対策をしなかった場合で過大に評価されたものだ。
一部の学者と官房長官がそうコメントして安心するよう国民にメッセージをおくる。

一方、放射能飛散の被害が大きかったと予測された地域の自治体長は
起こってしまったからもう後の祭りだと肩を落とす。

大丈夫だと言う政府と学者はその根拠に100ミリシーベルト以下の被爆には発ガンの優位性を認めるのが困難だからとした。
つまり、癌になるかもしれないといったってそんな事は証明出来ないだろう。。という事だ。

先日原爆の被爆と癌の関係についての論文が発表されて100ミリ以下は安全だと言えない事も明記されている。

また被爆=癌とういう単純な図式で議論がされるがこれは意味がない。
実際は癌になる前に免疫疾患、心筋梗塞、喘息など数えきれない疾患。
死に至るような重症でなくとも日常生活に支障を来す症状が発生する。

現実は、どんな優秀な知識人にも今後子供達にどのような変化が起きるかは予測できない。

危険だとも安全だとも言えないのならなおさら健康被害がでないように努めたい。
今後の生活習慣や環境を守る事で防ぐ事も可能だろう。
被爆したとしても、私達の体には回復機能がある。回復スピードが被爆の速度を上回る条件に置く事で健康を損なうリスクも回避出来る。

また万が一健康を害したとしても社会がそれをサポートして行く体制を十分に迅速に組み立てて行く必要がある。

まだ何も始まっていない。原子力事業に関わらず、事業者が事故を起こした場合まず何が起こったか検証する。
しかし、まだ事故の全容すら見えていない。東電はまだ全てのデータを開示していない。
科学的に言って、正確なデータが出る前に事故の検証など出来ない。
まして、住民への実害がどの程度か等言えるはずが無い。

大丈夫だと言える段階ではないが、どうしようもないとあきらめるのはまだ早い。

あきらめたい、大丈夫という前に、科学的検証しなくてはいけない。
現状データが無さ過ぎる。(公開されていない)

データがそろい検証が終わるまで時間がかかるのならばそれでもいい。
あと1年でも2年でも好きなだけかけたらいい。
国民が実態を知るとパニックになるから情報が開示出来ないというならそれでもいい。

だけど、大丈夫でなかった場合のケースにも備えて健康面でのサポートしていく方向で舵取りをしてほしい。

喫煙や副流煙で発生するかもしれない肺ガンのリスクを減らすのに禁煙運動がされている。

動脈瘤や血栓のリスクをへらすのに食事や生活習慣を見直す。

リスクに備えるのは悪いことじゃない。

私が幼かった頃、祖父は鉄工所を営んでいた。
夏休み工場に遊びに行くと腕が大木のように太いがっちりとした男達がだくだくに汗を流しながら仕事をしていた。
大学に入る頃には祖父母は他界しており工場もつぶれていた。
ある時法事で田舎を訪れると当時工場で働いていたおじさんに偶然合った。
当時の面影はなく痩せていて名前を呼ばれるまで分らなかった。
あとで聞いた話では肺を患っていたという。
母から聞いた話では役所のガイドラインに沿って安全対策をしていたが
高齢になると何かしらの肺の疾患がある人が増えたという。
私の叔父達も工場で働いていた。一人は今も健在だがもう一人は他の従業員同様体をこわして随分前に亡くなった。
二人の叔父は毎日同じように工場に出かけて同じ時間働いていた。
マスクもしていたが、毎日少しずつ金属が肺に入っていたのだろう。

毒物が少しずつ体に蓄積される時、その被害がいつどのように現れるかは人によっても違う。
出る人もいるし、出ない人もいる。

原発事故が起きて関東でも10ミリシーベルトまで被爆した地域があるのになぜこの事に対しては生活や食事に気を使う事に政府や学者は懸念を示すのだろう。

私達は生活の安全を確保する権利があり、それを守る為に知る権利がある。

根拠のない「大丈夫節」はもう勘弁してほしい。