◎ABOUT TIME
▲アバウト・タイム
☆Steve Winwood
★スティーヴ・ウィンウッド
released in 2003
CD-0015 2011/04/10
スティーヴ・ウィンウッドが2003年にリリースした第8作目。
このBLOGは僕がその時に聴いているCDを紹介するものだから、必然的に、その時期に凝っていて複数のCDを聴いているアーティストは、短期間でまた出てくることになります。
スティーヴ・ウィンウッドは記念すべきその初の事例となりました。
なんでも初めてはうれしい(笑)。
記事を書く時、何枚目のアルバムという情報はほとんどウィキペディアで調べていますが、そこで知った他の情報についてはなるべく書かないようにしています(既に知っている情報は別)。
基本は、音楽そのもの以外のことについては、CDのブックレットにある情報と、本でもネットでも自らすすんで得ようとして得た情報を中心に話したいからです。
だからこれからする話はどうしようかと悩みましたが、でも、これは他でも知り得る情報だから、今回はそれに触れ、そこを切り口に話を進めてゆきます。
スティーヴ・ウィンウッドは、「ローリングストーン」誌が選ぶ「偉大な100人のシンガー」の第33位に入っています。
この33位というのが、僕は、えっ、こんなに高いのと意外で驚きました。
ええ、僕は今までまともに聴いてこなくて、ただ若くから出てきてキャリアが長くて高音で歌う人、くらいの認識しかなかった人だから、驚きにつながったのでしょう。
それにしてもスティーヴ・ウィンウッドがそんなにまでも高いとは。
試しに、スティーヴ・ウィンウッドより下の40位までの人をかいつまんで見てみると
40位:カーティス・メイフィールド
38位:エルトン・ジョン
37位:ニール・ヤング
36位:ブルース・スプリングスティーン
34位:ホイットニー・ヒューストン
なんと、スティーヴ・ウィンウッドは、これらそうそうたるロックレジェンドたちよりも上なんですよ!
しかもこの中に2人も(37位と36位)僕にとって昔から特別な人がいるし、これで驚かないわけがない。
当然のごとく、売れたアーティストほど高い傾向にあるのですが、スティーヴ・ウィンウッドはアメリカではトラフィック時代後期から結構ヒットチャート上位を賑わせていたことも分かり、それもまた意外でした(僕が知らなかっただけですが・・・)
逆にいえばニール・ヤングやボスが意外と低いとも思いつつ、スティーヴ・ウィンウッドは日本では過小評価されているんだな、アメリカではこちらの見識をはるかに超えて支持されているんだなと分かった気がしました。
なお、ひとつ上の32位はU2のボノです。
そうなると、スティーヴ・ウィンウッドが急に魅力的なヴォーカリストに思えてきました(笑)。
彼は、基本的には高音を出し続けてどちらかというとあまりメリハリがない歌い方をしますが、曲のほうもそんな声に合わせて作っているのか、曲自体もそれほど感興の波がなく一本調子で流れていくものが多いと感じます。
それは、自らの声質を活かす曲をうまく作る能力に長けているということなのでしょう。
しかし、高音で歌い続けていても金属的な響きにはならず、むしろ温かみを感じる声で、押しつけがましさは感じません。
前の記事であまり聴く時の気持ちを選ばない人と書いたけど、ほんとにいつ聴いてもいい意味でさらっと聴ける声の持ち主だと思います。
このアルバムは、今回スティーヴ・ウィンウッドを聴くようになるまで、出ていたことすら知りませんでした。
まあ、嫌いだったのでしょうがないことですね。
ジャケットがまるでサンタナみたい。
先月HMVで買ったのですが、2003年当時の2枚組限定盤がまだ在庫ありで残っていた、と書くと、やはり日本では人気がないんだなと。
聴いてみると、内容もサンタナみたい、とまではいわないけど、全体的にラテンっぽさを強く感じさせる音作りになっています。
でも、サンタナにある哀愁は感じさせず、マイナー調の曲もあるけど、彼の声質通り全体的に明るいノリのアルバムになっています。
いろいろなエスニック的要素も随所にちりばめられ、それをラテンでまとめている感じの音です。
それらの要素を完全に自分のものにして、それまでのソウルやR&Bなどの下地の上に自然に積み重ねて表現できるのも強みであり、ほんとに彼の音楽の咀嚼能力はケタ違いですね。
とても大きな世界観で聴かせてくれるアルバムであり、音の広がり感はスティーヴ・ウィンウッドの中でもいちばんではないかな。
もうひとつの聴きどころは、彼のハモンド・オルガンがよく鳴っていることです。
時に唸ったり煽ったり小突いたりなだめたりそして感傷的にと、ハモンドってこんな雄弁な楽器だったんだって感動します。
なによりその音が若々しくてカッコいい。
11曲、69分強ある長尺ものですが、飽きることなしに聴き通せます。
さらっと聴けるのが特徴であり、長くひたっていられるから、その長さは逆に積極的によい部分と言えますね。
軽い本を読んだりBLOGの記事を書いたりと、音楽に集中はしないけど音楽をかけたいという時には、僕には最適のCDとなりました。
包容力が大きいアルバムで、ほんとうに安心して身を委ねることができるアルバムです。
スティーヴ・ウィンウッドは2月からこちらで新たに5枚のソロアルバムを買って聴きましたが、すべてがとっても良かったです。
並のアーティストならそれだけ買うと1枚はそこまで強く思えないものがあるものでしょうけど、彼は違いました。
つい4カ月前まで大嫌いだったのがまるで嘘のように、今はスティーヴ・ウィンウッドを尊敬しています。
なんて、掌を返すのが早すぎるでしょうかね・・・(笑)・・・
「100人の偉大なシンガー」には思うところがたくさんありますが、ご興味がある方はネットで簡単に調べられるのでぜひ見てみてください。
ちなみに、ジョン・レノンは第5位、ポール・マッカートニーは第11位、これだけは言いたかった(笑)。
◎このCDこの4曲
Tr1:Different Light
=インパクトは大きくないけど、もわっと始まって気がつくと引き込まれている
Tr4:Why Can't We Live Together
=ソウルの名曲をねっとりと攻めてゆくスティーヴ、ハモンドの切れが凄い
Tr9=Horizon
=キング・クリムゾンのMoonchiildに似てるなぁ・・・
Tr11:Silvia (Who Is She?)
=こちらはレッド・ツェッペリンのNo Quarter風、やはり英国ロックの礎を築いた人だ