今年早くも上半期終了。

1月~6月に見た映画をずらっと並べてあります。

短評ですがネタばれもあるのでお気を付けを。


ある戦慄 70点

人間の(もちろんおれも含めて)いやあな、できれば見たくないと思っている内面が、閉じ込められた電車の車両で浮き彫りにされるワンシチュエーションサスペンス。

何の気なしに借りて見たが、終わってみればおれの好きな「不条理監禁もの」だった。

古いモノクロ映画だが、「遊星からの物体X」「CUBE」「SAW」、などの原点なのかな。

町山智弘の「トラウマ映画館」で紹介されてたらしい。

おれこの本友人に借りて読んでたんだけど、すっかり忘れてた。

限りなく「不快」で、すばらしい作品です。


ソナチネ 65点

たけし映画はいつも、「おしい!」と感じてしまう。

この「ソナチネ」も、「生きてるのに飽いた感じ」がビンビンに伝わって来るには来るんだが、見終わった後その感情がびしっとフィットしていない感じがする。

全てがいいのに、何かが足りない。

これはおれのパーソナルな問題だと思う。

映画としては「グッド」なのだけれど。

うーん、大絶賛するには「おしい!」


恋の罪 60点

園子温映画、DVD化。

劇場行けなかったので楽しみにしてた。

女性の「性」の本性を男の監督が撮るというのは、結構勇気がいったと思うが、ちょっとおれにはよくわからない映画だった。

ただ、タダでヤらせてくれる女性より「ウリ」をやる女性を一段低く見る傾向というのは、モラルは別にして、男の多数派の見方だなと思った。

映画としては全体的にアダルトビデオみたいに見えてしまった。


モット・ザ・フープル~すべての若き野郎ども 55点

70年代のグラムロックバンドのドキュメントムービー。

2枚ほどアルバムを持っているものの個人的にはさほど特別な思い入れがないのだが、うちのバンドのメンバーに勧められて見に行った。

このバンド、あまりグラムっていうイメージがなかったんだが、ライブ映像見ると確かに、と思った。

ミック・ロンソンが最後のころメンバーだったというイメージも全くなかった。

パンク前夜のロックが生々しく描かれていて、興味深く見ることができた。

リアルタイムで聴いてたと思われるおじさんが客席にいっぱいいて、なんか切なくなった。


ドライヴ 75点

か、かっこいい。

ライアン・ゴズリング扮する「ドライバー」がとにかくクール。

バックグラウンドが不明な上に寡黙な男が、愛と仁義に目覚めた途端、暴力全開キャラになる。

おれは高倉健をイメージした。

ペラペラしゃべるよりも寡黙な男のほうがやっぱカッコいいな。

おれには無理そうだけど、それでもあこがれちゃうな。

女性には悪いけど、徹頭徹尾「男の映画」なんじゃないかな。

ロマンチストな男ほど、ハマる映画だと思う。

もっかい見に行こうかな。

(追記)2回目を見ました。1本の映画に3600円払いました。やっぱりいい。


ヤング・ゼネレイション 70点

言わずと知れた映画マニアのラッパー、ライムスター宇多丸師匠の生涯ベストワン映画だという本作品、ようやくDVDで鑑賞。

シンプルでよくできた青春映画だけれど、生涯ベストワンと彼が言いきるほどかなと思い、こちら を聴いてみた。

なるほどね。

映画の好みって、個人個人のそれぞれのおかれた環境によってかなり変わるんだな、というのがこの映画を見たあとさらにこのポッドキャストを聴くと、腑に落ちる。

いい映画です。


kotoko 55点

タダ券をいただいたので見に行ったが、うーん、まあまあかな。

演出や描写はよかったんだけど、映画全体の感想を一言で言うと、主演のcoccoのプロモーションビデオに見えてしまって、映画的カタルシスはおれには少なかったです。

タダ券くれた友人は絶賛してたので、なんか申し訳ない気持ち。


SRサイタマノラッパー 60点

日本語ラップ、苦手です。

聴いてると尻の穴のあたりがむずかゆくなります。

この映画では、おれの苦手な日本語ラップが題材に扱われていることで、若気の至りの「イタさ」の伝わり方は倍増である。

忘れてしまいたい昔の恥ずかしいことを思い出させる反面、おっさんにはもうこんなことできないのかな、と寂しくもなる。

トータルでは、ありふれた青春映画で可もなく不可もなくといったところかな。


紀子の食卓 80点

園子温映画を見るんだシリーズ。

「役割」「ライオンとウサギ」「自殺」。

こんなようなキーワードが観賞後、頭からこびりついて離れない。

昔、それこそ思春期の頃からおれがぼんやり思い続けていたことが映像化されている。

「おれは何者?」「あなたは何者?」

素晴らしい。

どうやら園子温監督はおれには相性がいいらしいということが、これを見て決定的だと思った。


自殺サークル 50点

園子温映画を見るんだシリーズ。

54人の女子高生が一緒に電車に飛び込んで自殺するという出来事をきっかけに、自殺の連鎖が始まる、と、つかみはOKなんだが、内容は?マークだらけで、全体として、よくわからない。

ヒントらしきものはちりばめてはいるものの、自殺の連鎖の謎は最後まで分からないし、もやもやした感じのままおわってしまった。

言いたいことはうっすらと分かるんだけどねえ。


奇妙なサーカス 75点

園子温映画を見るんだシリーズ。

近親相姦、母による娘への嫉妬、虐待。

いつもながら(というかなるべく新しいものから見てるので正確にはさかのぼってるけど)、どぎついテーマプラス、「時計仕掛けのオレンジ」を想像させるような残虐だけど美しくしかし完全に頭のねじがはずれちゃってるような映像。

ラストの展開はさすがにびっくり仰天。

夢オチといえば夢オチなんだけど、多重構造になってる上に、最後まで何が本当なのか分からなくしてある。

役者陣はみんなよかったけど、いしだ壱成が特にグッド。


HAZARD 55点

園子温映画を見るんだシリーズ。

退屈な日本に嫌気がさし、ニューヨークへ単身わたる、オダギリジョー扮する若者通称シン。

そのNYでやたらテンションの高い連中とつるむようになり、シンは徐々に変わっていく。

自分の年齢のせいなのかなんなのか、あまりおれにはリアリティの感じられないお話でした。

園子温監督の詩人としての面が色濃く出た作品なのかなと。


エクステ 70点

園子温映画を見るんだシリーズ。

不条理に殺された女の死体から髪の毛が伸びて・・・・・っていう基本ホラー映画なんだけど、その後の作品でも特徴的な、エキセントリックなキャラ設定と、やっぱりこの作品でも、出ました「イカれた家族」描写で、「やっぱ一番怖いのは生きてる人間」ということになる。

なるほどなるほど、見えてきたぞ、園子温映画ってやつが。

よかったっす。


ヒミズ 80点

この作品に関してはこちらの記事 をご覧ください。

オススメです。


冷たい熱帯魚 85点

観賞後、放心状態でしばらく動けなかった。

セックス、バイオレンス、「悪」の連鎖のおぞましさ等々の映像的描写において、究極形に近いのではないか。

いやいやどうしても簡単には言い表せない。

言葉で表せば陳腐になる。

本気で厭な気分にさせられた。

気持ち悪くなった。

つまり、快作、名作であることに間違いなし。

ツタヤいってもいつも借りられてて、劇場公開後1年くらい経ってようやく見ることができた。

一生忘れられない一本になったと思う。

心臓悪い人にはマジでお勧めできない。

しかし、映画に、否、「人間」という生き物に少しでも興味があるひとは必見。

映画を評するハードルがまた上がったかも。


川の底からこんにちは 70点

満島ひかりちゃん素敵。

映画のテーマ自体はオーソドックスだけど、よくできてておもしろかった。


パラノーマル・アクティビティ 40点

眠くなるのを我慢して何とか最後まで見たが、結局「おどろかし」一発で映画は終わり。

時間の無駄。


ゴジラ対ヘドラ 70点

公害。ヘドロ。ゴーゴー。サイケ。デタラメ自衛隊。ヘンな紙芝居。

町山さんが幼少時に見てトラウマになったとラジオで言ってたので試しに見てみたが、たしかにこりゃすごいや。

「公害のせいで映画製作者も脳をやられた」という裏設定もありなんじゃないかというむちゃくちゃな演出に、筆者も驚愕。

おれが生まれた年(1971年)にこんなのが公開されていたとは…。

一応点数付けたが、映画としてどう評価してよいものやら。

クレクレタコラとか見るのと一緒。

映画としてオススメとは言いづらいが、「なんじゃこりゃ?」感は保証します。

慣れてくればゲタゲタ笑えます。


八日目の蝉 75点

善悪を超えたところにしか、感動や興奮は得られない。

乳児を誘拐した女、不倫相手と無責任に子供作っちゃう男、カルト宗教、そういったネガティブな自分の運命一切合財を知り尽くしたうえで、前に進もうという決意。

みんな馬鹿だが、みんな許してやろう。

感動した。

永作博美が大好きだ。


127時間 65点

いつもついつい手を出す不条理監禁もの、ではなく、主人公アーロンの「自業自得」による孤絶状況からの脱出劇。

でかい岩に右手を挟まれた状況で動けず、助けも来ない。

やることは早い段階で想像がついたが、それでも「そのシーン」では眉間にしわを寄せながら見てしまった。

「SAW」のラストシーンと同じだが、これは実話らしい。

おれも、今後山登りとか行く時は、行き先を誰かに伝えてから行くようにしようと思った。

思ったよりよかった。


ゾンビランド 55点

もう飽きちゃったな、ゾンビもの。

今作はコメディだけど、爆笑ってほどでもなし。

まあまあ。