ずっと憧れてたブランドの口紅がある。
これを使えばさぞ綺麗になるのだろうと…
幻想であろうが、その口紅をつける瞬間を考えると、なんとも自分が大人の女性になったようで心が艶めいた。
今度のボーナスで買おう!
と決めていたのに…。
同僚(年下・そんなに美人ではない)が使っているのを発見。しかもグロスと口紅2種。
「あー、リップは基本このブランドですよー。そんなに高くないしー。」
とのこと。
なんだろう、このわびしい景色は。
私の憧れはすでに彼女の掌にあり、
彼女の唇を染めていても私の目にはとまらなかったのだ。
私の長年の憧れを寝取られた妬ましさ。
しかしその憧れは虚像に過ぎなかった落胆。
そして気づく。
私の心を艶めかせていたのは確かにそのブランドの美しさであるが、それだけではない。
他者は持っていない本物を、自分だけが持っているという優越感が
私の憧れには練りこまれていた。
洗練されたブランドとは美しく高飛車だ。
たやすく手に入らない。だから優越感の付加価値を持つ。
決めた。
姉さんもうこの口紅買わん
姉さんもう買わん
ネイ・サン モウカーワン
である。
「あれ?口紅高いのもってるんですね〜。私は口紅にかけるお金がなくて安いの使ってますぅ。化粧以外にも色々とすることがあって化粧品にお金回らないんですよねぇ〜。」
と、謙遜しつつ、効率よくお金使ってますアピールしてやるわ。
女とは面倒な生き物よ。
