こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と発掘良品の発掘⑳というテーマで
甘い生活(1959)
(原題:LA DOLCE VITA)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★発掘良品の発掘とは?
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本作は1959年に公開されたフェデリコ・フェリーニ監督作品。
フェデリコ・フェリーニ監督の代表作と言えば1954年に公開された「道」という作品!
1957年のアカデミー賞で外国語映画賞を受賞し、脚本賞にノミネートされただけでなく、1954年のヴェネチア国際映画祭でサン・マルコ銀獅子賞に輝き、1956年のNY批評家協会賞で外国映画賞、1955年英国アカデミー賞で作品賞(総合)、女優賞(国外)、更には1957年のブルーリボン賞で外国作品賞を受賞した「道」によってフェデリコ・フェリーニ監督は、わずか34歳で世界的な名声を手にする事になるのです😊
ですが、世界的に名声を手に入れれば、全ての人間は幸福になれるものなのでしょうか?
本作は、そんな成功者であるフェデリコ・フェリーニ監督が手に入れた華麗なる日々を描いた、地獄のような作品なのです!!
フェデリコ・フェリーニ監督作品の
映画音楽と言えばニーノ・ロータ氏ですが
本作のメインテーマも
明るいようで闇を感じる奇妙な曲。
そんなフェリーニ監督が描いた
甘いようで甘くない「甘い生活」とは?
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
① 主人公のマルチェロ・ルビーニは、社交界のゴシップ記事を書いる人気記者。
かつて作家を夢見てローマへとやって来てたマルチェロでしたが、今は芸能人たち御用達の記者として特別扱いを受ける存在となっていました。
ゴシップ写真を撮るパパラッチは
蛇蝎のごとく嫌われていますが…
芸能人の記事を書いて欲しい関係者は
マルチェロをVIP扱いします。
② そんなマルチェロは、ナイトクラブで大富豪の娘マグダレーナに出会い、家まで送ると車に乗せた後に口説き、楽しい一夜を過ごします。
クラブの外で待ち構えていた
パパラッチにうんざりしていた
マグダレーナをエスコートするために
車に乗り込むマルチェロですが…
その後はチャッカリ送り狼に!
これぞ甘い生活
③ 楽しい一夜を過ごし自宅へ帰っ来たマルチェロでしたが、家に帰ると同棲中の恋人エンマが、薬を飲んで意識不明となって倒れていました。
朝帰りをするマルチェロですが、
その頃、恋人のエンマは
意識不明となっていたのです!
④ エンマが薬を飲んだ理由は、毎晩自分の元に帰らず、浮名を流しているマルチェロの酷薄さに絶望したから。
ですが当のマルチェロはエンマが自殺未遂をした理由が全く分からず、大慌てでエンマを病院に搬送する事にしたのです!
「何故、こんな事をしたんだ!」という
デリカシーのないマルチェロ。
きっと、この言葉でエンマの心は
更に傷ついてしまうのです…
さて、果たして芸能人御用達の人気記者となったマルチェロの甘い生活とは、一体どのようなものだったのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
病院へ運ぶ最中マルチェロは
「エンマ愛してる」と何度も言いますが
このセリフも空しく響くのです…
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作も「青春群像」や「魂のジュリエッタ」と同様、フェデリコ・フェリーニ監督自身の人生をトレースしているような、恋人の気持ちを一切顧みないマルチェロの心無い行動によって、エンマの心が深く傷つけられてゆく地獄のような恋愛映画!
ですが2作品と大きく違っているのは、多くの女性と関係を持って甘い生活を楽しんでいるはずのマルチェロ自身の心も、自身の行動によって深く傷ついてゆく作品なのです…
そう。
衣食足りて礼節を知る。
成功者となっても愛する女性への礼節に気づけたなかったフェデリコ・フェリーニ監督の「甘い生活」とは、甘いだけの空疎な日々が続くだけのむなしい人生だったのだと思います。
ちなみに、フェデリコ・フェリーニ監督作品の特徴とは…
① 主人公の男性は人生を謳歌しているが、最愛の人を顧みる事はしない
マルチェロはエンマが
無事だと分かると目覚める前に去って
アメリカから来た女優の
インタビューに行ってしまいます
② 主人公を愛しているヒロインは純粋であるからこそ、心身を病むほど苦しむことになる
成功した友人に嫉妬している
マルチェロを慰めるエンマでしたが
エンマの思いやりに対して
いら立ちを募らせるマルチェロ!
優しいエンマは報われません…
③ 劇中には、サーカスなどの派手な出し物が登場するが、どの作品の出し物もどこか空疎なものである
フェリーニ監督の描くサーカスは
どこか空疎で寂しい…
④ 主人公がダンスをするシーンがあるが、彼らの踊りは滑稽であり、充足感が感じられない
楽しい反面、アホ踊りにも見える
フェリーニのダンス!
ちょっと「ええじゃないか」に似ています
これは私見ですが、そんな本作は「道」で有名映画監督となったフェリーニの心中が語られた「エンターテイメント業界の空疎な甘い生活」を描いた作品であると同時に自分の人生観を映画に投影してゆくフェデリコ・フェリーニ監督の作品は、単品ではなく連作として鑑賞する価値もある作品である事が理解できる作品のひとつかもしれないと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?
マルチェロが父と共に訪れた
古いナイトクラブで行われていた出し物は
年老いたトランぺッターのコメディ。
同席していた劇場の踊り子は
「彼の芸は面白いけど最後は泣いちゃう」
と謎の言葉を言いますが
これはゴッシプ記者のマルチェロの人生、
ひいては映画監督のフェリーニの
末路を暗示しているものだと思います。
私たちの考える自分の人生の末期とは
一体どんなものなのでしょう…
という訳で次回はいよいよ本シリーズの最終回。
最後の一葉
というテーマで
フォルウォスの黒楯
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆