こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力とさらばレンタル映画屋さんというテーマで
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022)
(原題: EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★想像力とさらばレンタル映画屋さん?
本シリーズは令和5年10月31日を以て閉店となるSHIBUYA TSUTAYAのレンタルDVD事業への感謝をこめてお送りする特別企画。
2万6000本もの在庫を用意し、渋谷系というカルチャーの萌芽期から若者たちの映画の図書館のような存在だったSHIBUYA TSUTAYAさんに敬意を表し、閉店直前まで4階の特設コーナーで企画されていた作品群をご紹介させて頂ければと思います😉
10月17日以降TSUTAYA SHIBUYAのレンタル階は侵入禁止となっており、レンタル業務は遂に終了となりました。
ですので4階で開催されていたTSUTAYA SHIBUYAkの特集コーナーも既に存在しておりませんが、本ブログでは閉店直前まで行われていた、最後の企画の一つである「A24&BLUMHOUSE」について解説させて頂いております。
A24は「スプリング・ブレイカーズ」「ルーム」「エクスマキナ」「ロブスター」「ムーンライト」「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」「レディ・バード」など「観終わった後、観客に考えさせられるようなテーマを遺す作品」を好んで配給するタイプのスタジオ。
本日は、誰にでも起こり得るシンプルな問題を、複雑なSFのように描いた「A24」らしい作品となっているのです😆
観客が人生について考える
キッカケを作るような作品です。
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば、本作の解説は以下の通り。
あ、はい。
多様性重視の現代においては、アカデミー賞のノミネートされる可能性が高い作品ですね!!
① 主人公のエブリンは、人生に辟易とした毎日を送っていました。父親の反対を押し切って夫のウェイモンドと結婚したエブリンは父から勘当され、アメリカでコインランドリー経営していますが、ウェイモンドは調子がいいだけのダメ亭主であり、コインランドリーは万年赤字続き。二人にはジョイという名の一人娘がいましたが、成人になったジョイはエブリンに対して反抗的で、家を出て今はレズビアンのパートナーのベッキーと同棲生活を送っていました。
エブリンの家庭は絶賛崩壊中!
② ですがそんなエブリンの前には、更なる困難が待ち構えていました。春節を祝うためにコインランドリーでのパーティを開催するのに合わせ、長年関係を経っていた父親が渡米して来たために世話をしなければならず、更にはアメリカの内国歳入庁(IRS)からは呼び出しを受けており、場合によっては追徴課税される可能性もあったのです!
八方塞がりのエブリンの人生
③ 周囲の人間すべてに不満を感じながらも、内国歳入庁の召喚には応じざるを得ず、エブリンはウェイモンドと実父を連れて歳入庁のビルに入りエレベーターに乗り込みますが、エレベーターの中で突然ウェイモンドがシリアスな顔になりメモとイヤホンを渡し「歳入庁の職員の前ではメモを読んで、イヤホンの指示に従え」と告げますが、その直後にウェイモンドは普段の顔に戻り、メモやイヤホンの事も覚えていないようでした。
エレベータの中で突然
人格が変貌したウェイモンドは
メモとイヤホンをエブリンに渡します。
④ その後、担当職員のディアドラと面談していたエブリンは、相手が話している最中にメモをこっそり読みますが、そこには「イヤホンの緑ランプを押せ」と書いてあり、押してみると突然エブリンの体は幽体離脱をして用具室へと移動しており、そこで待っていた真剣な顔をしていたウェイモンドは、自分はマルチバースから来た別のウェイモンドであり、現在、全てのマルチバースが危機に陥っており、それを救う事ができるはエブリンだけなんだと告げて来たのです!
ディアドラと話しているエブリンは…
イヤホンの緑のボタンを押した瞬間
幽体離脱して用具室へ行ってしまったのです。
むむむ?
ストーリーがサッパリ分かりませんね
さて、果たしてマルチバースからやって来た別のウェイモンドと出会ったエブリンは、世界を救う事が出来たのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
マルチバースでエブリンと戦うのは
一体どんな敵だったのでしょう?
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作はネットで多くの方が難解だとレビューされている作品でありながら、世界的には支持されている人気作!
ですので本ブログでは、可能な限りネタバレしないよう、本作を理解できるよう解説してみたいと思います。
まず「難解」問題ですが、本作は初見では真のストーリーが分からないように作られている作品ですので、初見で難解という感想になるのは、ごく普通の事なのではないかと思います。
ですが、一度本作をラストまで観て頂いた後、再度映画を観て頂くと、初見でよく分からなかった問題の答えは、実は映画の中でしっかりと解説されていた事が理解できると思います。
例:初見ではエブリンが経営しているコインランドリーが赤字なのは、ウェイモンドがいい加減な人間なのが原因のように見えますが、実際は経営者であるにも関わらず、伝票を整理できないのはエブリンであり、彼女は歳入庁に呼び出されてパニック状態になっている事が分かります。
伝票がメチャクチャなのはエブリンが原因。
また、ディアドラが領収書をチェックして、コインランドリーなのにカラオケ施設が経費に計上されている理由を問うと、エブリンは「自分は歌手でもある」とサラッと答えており、その他にも小説家やシェフや教師や歌のコーチもしていると過去に宣言していたらしく、ウェイモンドは「妻は仕事と趣味を混同する癖がある」と必死にフォローしているのです。
あ…。
はい。
これで本作が、マルチバースの映画はない事はお分かり頂けたのではないかと思います。
そう。
人間は過去に他者かせ言われた言葉を、ずっと引きずって生きていくもの。
若い頃に父親の反対を押し切ってウェイモンドと結婚した事で絶縁されたエブリンは、父親が二人の結婚を「間違った選択だ」と言った事で、以降ずっと心の中に「私は間違った人生を選択したのではないか?」という疑念がくすぶり続けていたのです。
企業家らしい父親は、
エブリンのコインランドリーを見て
卑しい仕事だと言い放ちます。
そしてその言葉を聞いた彼女は
だったらどんな人生が良いのかを考え
神経症のようなっていくのです…
私見ですがそんな本作はキネマ旬報社さんの解説のように、家族の問題とコインランドリーの経営に悩むフツーのおばさんが新たなヒーローとなり、マルチバース(多元宇宙)と連結、カンフーを駆使して全人類を救う物語として楽しんで頂く事もできますが「シャッター・アイランド」や「エンジェル・ウォーズ」のように、主人公の痛んだ心が生み出す幻想の世界を描いた作品であり、マルチバースを経験したエブリンが、最終的には自分は自分らしくて良いのだという事を理解してゆくハートフルな作品としても観る事ができる作品だと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?
若い頃の自分の選択が
マルチバースの過ちかもしれない
というテーマで考えるなら
「ペギー・スーの結婚」という映画も
本作と似た内容だと思います。
という訳で次回は
ファルコン・レイク関連作品
というテーマで
少女邂逅
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆