こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と007クロニクルというテーマで
007/美しき獲物たち(1985)
(原題:A VIEW TO A KILL)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★想像力と007クロニクルとは?
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本作は1985年に公開された007シリーズの第14弾。
1973年にショーン・コネリーからジェームズ・ボンド役を引き継いだロジャー・ムーアも本作を以て007を降板!
ショーン・コネリーの演じたジェームズボンドは、武骨だけどダンディなタフガイというイメージ定着していましたが、ロジャー・ムーア版のボンドは、作品によってコミカルだったり、紳士的だったり、生真面目だったりして「これがロジャー・ムーア版ボンド像だ」というイメージが掴みにくいかもしれません。
ですが、彼が自分のボンド像に拘らず、様々なタイプのボンドを演じてくれた事によって、後続のボンド役の俳優がボンドを演じ際のイメージギャップ問題は解消して「こんなのボンドじゃない!」という観客の拒否反応が起こらなくなったのは、長寿シリーズとなった007にとって良かったのではないかと思います😉
そんなロジャー・ムーア゛演じた最後のボンドは、1980年代にヒットした「マッドマックス」のような私刑執行映画を意識したエクストリームな007となっているのです!
今までの作品では描かれなかった
一般人への一方的な虐殺!!
他者を平然と殺す人ってどんなタイプ?
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
本作は、2020年代に世界的な問題として顕在化したICチップ(半導体)製造のシェア問題を先取したようなシリアスなテーマの007映画!
核戦争が起こるとICチップが使用不能になってしまうという問題を克服するために、イギリスが極秘に開発を依頼して作成された新型ICチップがソ連側にも提供されている事が判明!
ICチップの製造を受託したのはフランスのゾリンというコングロマリット企業でしたが、ゾリン社はイギリスが新型ICチップの製造を依頼した会社を買収して製造権を手に入れており、ボンドはゾリンの経営者であるマックス・ゾリンが、開発したICチップをソ連に横流ししたのではないかと疑惑の目を向け、捜査を開始したのです。
ゾリン社から提供されたチップと
KGBが持っていたチップが完全に一致!
これじゃあ開発した意味がない
2020年代の日本に例えると
1.安全保障のために、日本政府が日本のハイテク企業に高性能のICチップの生産を依頼
2.受託した企業が高性能のICチップを開発している最中に、海外の企業によった買収されてしまう
3.ICチップは完成したが、買収した企業は日本以外の国にも、作ったICチップを販売してしまい、日本の安全保障が祖ひなわれる結果に!!
という感じでしょうか。
うん。
最近話題になっているセキュリティ・クリアランスにも繋がるような怖い話ですね
さて、果たして大富豪の起業家マックス・ゾリンは、心の中にどのような野望を隠していたのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
東ドイツから亡命したゾリンは
フランス人に帰化して大成功を収めた
立身出世を体現したような男。
競馬の馬主でもあるゾリンですが
彼の馬は不自然なスタミナで連戦連勝!
う~ん。やっぱり怪しいぞ!
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、社会的な評価を受けている企業経営者の裏の顔を暴いた作品であり、マックス・ゾリンはスペクターのような秘密結社に所属している訳でも、ゴールドフィンガーのように私欲のためにアメリカ国内で核爆発を起こそうとしたり、ドラックスのように人類を滅亡させて宇宙ステーションに退避させておいた美男美女だけの新しい世界を作ろうとしたりする狂気の男ではありません。
世界中の犯罪を取り仕切るスペクター!
世界中の金を独り占めしたいゴールドフィンガー!
今の人類を滅ぼし、美男美女だけの世界を
創造しようと企むドラッグス!
ゾリンの目的はあくまでも私財を増やす事であり、そのために他の半導体産業を壊滅させる事にまったく躊躇しないサイコパスの経営者だったのです!
上記の敵とは違いサイコパスのゾリンは
自分を仕事を邪魔しようとする人間を
取り除くために殺しているだけで
世界征服などの邪悪な目的はありません!
偽名でゾリンの馬の競売に参加したボンドは
ゾリンに危険人物だと認定され
命を狙われる事になりますが
これって一流の経営者が産業スパイを
警戒するのと同じでは!?
そう。
人類を脅かすのは悪の組織ではなく、大欲非道な人間の邪悪な想い!
イギリスの発注したICチップをソ連に横流したゾリンは、更なる欲望を抑える事ができずに、ICチップ生産でライバルとなるシリコンバレーのハイテク企業を全滅させようとしますが、その目的はあくまでも私利私欲のためであり、その事実に気づいたボンドは、企業経営者のゾリンに殴り込みをかけて彼の私欲から生まれた邪悪な計画を粉砕するのです!
勝つためには手段を選ばないのが
サイコパス経営者の特徴。
衆人環視の中でズルしても気にしない
ゾリンは明らかにサイコパス!
そんなゾリンは投資家たちに尋ねます。
もしライバルのハイテク企業が集まっている
シリコンバレーが壊滅してしまったら?
自分の勝利に執着するゾリンは
たとえ他企業の人間が全滅したとしても
全く気にしない人格だったのです…
本作は、そんなサイコパス人間に立ち向かえるのは、死亡覚悟で相手に向って突撃するような肉体派であり、世界中の人間が自己の欲望に溺れ始めていたキラキラの80年代の映画には、敢然と敵に向って戦いを挑んでゆく「マッドマックス (1979)」や「エクスタミネーター (1980)」「ストリート・オブ・ファイヤー (1984)」などの作品が人気を博していたのです!
「処刑教室(1982)」も
無法地帯となった80年代の学校で
少年法に守られて暴力を振るう学生と戦うには、
敢然と戦う覚悟が必要だと説く映画です。
私見ですがそんな本作は最新のICチップの流出の謎を追ったボンドが、ゾリンの私欲に塗れた邪悪な計画を体を張って阻止する硬派なアクション映画であると同時に現代社会にも潜んでいる私欲の為なら、一般人が何人犠牲になろうと全く痛痒を感じないサイコパスの企業人がいた場合、法的に裁くのはほとんど不可能であるという絶望的な事実に気づいていしまう作品としても観る事ができるのではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?
シリコンバレーが壊滅させば
莫大な富が入手できるゾリンは満面の笑み!
笑いながら大量虐殺ができるのは
悪の組織の人間ではなく
ひたすら実利を求める企業人かもしりれません…
死ね!
他者の人生を破滅させる企業オーナー!
という訳で次回は
80年代アクションと007!
というテーマで
007/リビング・デイ・ライツ
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい悪に立ち向かう80年代映画
「処刑教室」
本作の原題は
「CLASS OF 1984」
(1984年の教室)」!
本作が公開されたのが
1982年ですので
「今からの2年後の教室」
という事になります。
では1982年頃の学校とは、
どんな状況だったのでしょうか?
80年代に世界中に吹き荒れていた
校内暴力をテーマにした本作は
行き過ぎた自由に果てに待っていた
絶望の学校デストピア映画!
頭の回転が良く、
どう立ち回れば処罰されないかを
理解している不良少年ステッグマンは、
未成年を守る法律を熟知しており、
校長や母親に従順な姿を見せる裏で、
学生だけでなく教師にまで
暴力的な行為を仕掛けていたのです。