こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と恋に恋する恋人たち2022というテーマで

 

アイム・ユア・マン
恋人はアンドロイド(2021)

(原題:ICH BIN DEIN MENSCH)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★想像力と恋に恋する恋人たち2022とは?

 

今月のテーマは、恋の、恋する、恋は、恋した、恋人たちなどの邦題に恋がついた作品をセレクトして、実際はどんな内容の映画なのかをご紹介されて頂く"タイトルに恋という文字がつく映画"特集😍

 

星の数ほどある"恋"の映画のアレコレを楽しんで頂ければ幸いです!

 

 

 

 

 

「her/世界でひとつの彼女」「エクス・マキナ」の後継作

 

本作は、2021年に公開されたドイツ映画。

 

邦題の「アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド」というタイトルからもお分かり頂けると思いますが、本作は人間とアンドロイドとの恋愛映画!!

 

 

2010年代に「her/世界でひとつの彼女(2013)」や「エクス・マキナ(2015)」といった、機械と人間との恋愛を描いた作品が話題となりましたが、この2作は男性と機械の恋愛映画。

 

 

ですが本作に登場するアンドロイドは男性タイプですので、女性と機械との恋愛が描かれているのです😊

 

機械だからバグる事もあるアンドロイドを

愛する事ができるでしょうか?

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

マレン・エッゲルトがベルリン国際映画祭銀熊賞(主演賞)に輝いたラブロマンス。

楔形文字の研究に没頭するアルマは、研究資金を稼ぐ目的で極秘実験に参加。そこに現れた美貌の男性トムは、アルマの好みに合わせてプログラムされた高性能アンドロイドだった。共演は「美女と野獣」のダン・スティーヴンス。

監督は、プライムタイム・エミー賞を受賞した『アンオーソドックス』のマリア・シュラーダー。

 

 

はい。
 
解説にもある通り本作の主人公のアルマは、ベルリンのペルガモン博物館で楔形文字の研究に没頭している女性研究者。
 
そんなアルマは美術館の上層部の意向で、異性型のアンドロイドと2週間同居してレポートを提出するという実験に参加する事にします。
 
この実験の目的は、人間とセックス可能なアンドロイドは、人間を満足させられるかという臨床実験ですので、当然ですが、貸与されるアンドロイドは、被験者の好みに合わせてカスタマイズされたもの!
 
アルマには、トムという名のアンドロイドが貸与される事になりました。
 
トムは爽やかで紳士的なアンドロイド。
 
 
ですが、美術館からの依頼で実験に参加しているアルマは、アンドロイドとの恋愛関係を求めている訳ではありませんので、自分に親し気に語り掛けて来るトムを見ても嫌悪感しか感じられず、可能な限り距離をとって暮らそうとするのですが、トムは自分と距離感を持つアルマの心理を分析して、親しくなれるよう様々なアプローチを試みて来たのです。
 
「わ、悪いけど、あなたは物置で寝てくれる」
「え?僕と寝ないのかい?」
 
 
 

さて、アンドロイドとの同居を拒否するアルマとトムは、果たしてどのような関係となって行くのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

アルマの部屋は雑然としていましたが…

 

翌日目覚めるとトムの手で夢の御殿に!

「気に喰わなければ1分で元に戻すけど?」

 

 

 

【私の感想】欠損部の探査と修復

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作はアンドロイドと人間の恋愛映画のような体裁をとっていますが、描かれているのは女性が伴侶に求めている愛のカタチ!

 

出会った時は、トムのやる事なす事すべてが癇に障っていたアルマでしたが、A.I.であるトムは、アルマの怒りやいら立ちに困惑したり怒ったりするのではなく、その原因を分析し、ベストな答えになるよう自分の行動を変えて行き、アルマは、そんなトムの行動自体に、心が救われてゆくような感覚を覚えてゆくのです…

 

 

そう。

 

完璧な恋人が存在しないのと同様、完璧な人間も存在しません。

 

 

 

アルマ自身もまた完璧でない以上、そんな欠損を見つけて優しく補完してくれるトムの"あり方"が、辛かったアルマの人生を救ってゆく事となるのです…

 

認知症となった父親の心の欠損は

アルマが望んでも補完する事はできません…

 

逆に、元恋人がアルマの部屋に残していた

大型の写真はアルマの心の欠損でしたが…

 

トムは、写真の撤去を手伝ってくれたため

アルマの心の中の過去のわだかまりは

少し取り除いてくれたのです😊

 

 

私見ですがそんな本作は来るべきA.I.の時代に求められる愛が、人の心の欠損の分析と排除である事を暗示しつつ、果たして生身の人間が、A.I.以上のデリカシーを持って、他者の心の欠損を埋められるのかを観客に問いかけているような作品であると思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?

 

アルマが研究している楔形文字とは

既に失われてしまっている文化の欠損を

研究者が推測して最適解を導き出してゆく学問。

 

では、もしA.I.が人間について

過去の体験で欠損した部分を推測して

最適解を導き出すようになったとしたら…

 

本作は、そんな来るべき未来を暗示する

問題提起型の作品だと思います…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

人間的な愛とは?

 

というテーマで

 

恋人たちの場所

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい"A.I.との恋"の作品
「エクス・マキナ」

 

アラン・チューリングが開発した人間とA.I.の境界線を判断する手法をチューリング・テストと言いますが、膨大な個人データを集積する事ができるインターネットの検索エンジンのA.I.を利用してロボットを作ったとしたら、そのロボットと交わす会話は、人間と話すよりも、自分の趣味嗜好と合っているのではないでしょうか?

 

個人情報を集め先に待っている未来に、人間はどのようにA.I.に依存していくのかを描いた本作は「her」と双璧をなす、AI黎明期の2010年代の傑作なのです!