こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力とビヨンド自己実現!というテーマで

 

アンチヴァイラル(2012)
(原題 ANTIVIRAL)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★ビヨンド自己実現!とは?

 

自己実現とは、別名「マズローの欲求5段階説」とも言われている"人間は豊かになってゆくステップで、欲しいものの質が変わってゆく"という考え方!

 

5段階目に到達すると「自己実現の欲求(自分が望んだような人生を送りたい!)」という欲求に至るようです。

 

本シリーズは、映画の中で描かれいる自己実現に至った人々は、どんな行動をしているのかを検証してみようといシリーズです。

 

さて、自己実現は人生に幸福をもたらすものなのでしょうか?

 

↑近未来の自己実現とは?

 

 

中世のような原始的な自己実現とは!?


本作は2012年に作られた近未来のSF映画!

 

SFと言っても、宇宙人と交流したり、時空を越えたり、ロボットが襲撃するようなファンタジックなSF映画ではなく、既に現実世界に存在するかもしれない科学や医学などのテクノロジーを描いたリアルなSF映画!

 

 

ただしそんな本作で使用されている最新の科学を活用する人間の欲望は、中世の呪術信仰にも似たプリミティブ(原始的)な自己実現なのです…

 

↑憧れ彼女と同じ体験をプレゼントいたします。

 

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

「イースタン・プロミス」のデイヴィッド・クローネンバーグ監督の長男、ブランドン・クローネンバーグの初監督作品。

セレブのウイルスを売買するビジネスを巡るサスペンス。

出演は「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」のケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。

2012年カンヌ国際映画祭ある視点部門正式出品作品。

 

 

 

はい。

 

解説にある通り本作は、本シリーズでご紹介させて頂いた「シーバース」を撮られた鬼才、デヴィッド・クローネンバーグ監督のご子息の作品!

 

↑人間の体内に寄生体を埋め込んで

 理想の彼女を作るという自己実現を描いた

 カルト映画「シーバース」!

 

 

 

本日の作品は、そんな「シーバース」で描かれた人間の潜在的な欲望をさらに進化させて、現代人が望むかもしれないリアルな欲望として描いたような作品!

 

主人公のシド・マーチは、ルーカス・クリニックという名の医療機関に勤めている技師。

 

 

ただしルーカス・クリニックは病気を治す医療機関ではなく、希望者に病原菌を注射して病気にさせる逆クリニックともいうべき場所!

 

 

 

…病原菌を注射してもらいたい人???

 

 

はい。

 

ルーカス・クリニックが所有している病原菌は、セレブたちが罹患した病原菌を培養したもの!!

 

 

 

セレブのファンたちは、セレブと同じ病原菌で発症する事で、セレブと同じ経験を共有するという自己実現に浸れる幸福を味わう事を望んでいたのです!!

 

↑セレブと同じ病気になりたい顧客たち!

 

 

これは、自分が好きなアイドルの所有物や、使用した品物を欲するファンの心理の延長にあるであろう感覚!

 

エルヴィス・プレスリーやジョン・レノンやマイケル・ジャクソンの熱心なファンが、使用した私物などを大金を出しても欲しがるように、本作でセレブに憧れるファンたちは、同じ病気になる事で、痛みや苦しみを共有する喜びと、"間接的にセレブから病気をうつされた"という優越感に浸る事ができたのです!

 

↑こちら人気女優の ⼝唇ヘルペスの細菌です!

 発症すれば、間接キスしたようなものですね😊

 「ぜ、是非お願いします!!」

 

 

ちなみにセレブたちの病原菌は、契約によって購入する業者が決まっており、人気女優のハンナ・カレントの罹患した病原菌は、ルーカス・クリニックが独占的に入手し厳重に管理されていたのです。

 

↑社員が退社する際も厳重チェック!

 車外にセレブの病原菌は持ち出せませんあせるあせる

 

 

 

ん?

 

でもルーカス・クリニックの所有している病原菌が、セレブが発症させたものと同じだとどうやって証明するの?

 

 

 

その問題は、セレブが発症した病原菌にQRコードのような認識番号を付けて管理する事で解決!!

 

ただし膨大な情報量がある病原菌のデータは数値では表す事ができず、ルーカス・クリニックではレディフェイスという名の特殊な分析器を開発して、セレブの病原菌一つ一つにフランシス・ベーコンの肖像画のような顔ラベルを製作して管理していたのです!!

 

↑今回のセレブの病原菌の識別ラベルはコレ!

 

↑ちなみにフランシス・ベーコンの描いた

 ポートレートはこんな感じ!!

 

 

 

つまり、セレブの病原菌と病原菌の分析装置を鉄壁のセキュリティで守っているルーカス・クリニックからの病原菌流出は、あり得ないこという事??

 

 

いいえ。

 

この方法だと病原菌の入ったボトルを持ち出す事は不可能ですが、元々、病原菌は人間の体内で活動していたもの!!

 

 

 

ですので闇マーケットと繋がりのあったシドは、新しく入荷した病原菌を一旦自分の体内で発症させ、その後自宅で自分の体内から取り出したものを高値で転売していたのです!!

 

↑自分で病気を発症させてPCR検査!

 めざせ陽性反応!!

 

 

 

…まさに命懸けの転売行為ですね汗

 

 

ですがそんなある日、シドに思いがけないビッグ・チャンスが訪れます。

 

ルーカス・クリニックで一番人気のハンナ・カレントがインフルエンザウィルスに罹患し、病原菌の販売を申し出たのですが、今までハンナを担当していた同僚が不正を働いていた事がバレて解雇されたため、シドがハンナから直接、病原菌を受け取るよう命じられたのです!!

 

 

 

さて、今まで誰も所持していないハンナ・カレントのインフルエンザウィルスを手に入れるチャンスを得たシドは、一体どのような行動に出たのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑初めて間近で接したハンナから

 病原菌を採取したシドは何を想うのか?

 

 

【私の感想】苦しみも悲しみも共有したい!

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作で描かれているファンのセレブに対する偏執的な執着は、すでに顕在しつつある現象ではないかと思います。

 

 

そう。

 

有名人の熱心なファンが欲しがるのは、物ではなく個人的な繋がり!!

 

 

 

普通のファンが、サインや握手などで感動するのとは異なり、セレブたちを偏愛するファンは、セレブの宿泊したホテルの部屋に泊まりたがり、セレブの使用した食器やタオルなどを、そのままの状態で欲しがり、恐らくですが散発した頭髪や切り落としたツメや風呂の水ですら、欲しがるのではないでしょうか?

 

 

けれど残念ですがそれらは、一方的な偏愛でしかありません!!

 

 

 

真のファンであれば、セレブたちが苦しんだ病気を一緒体験して"あの時は辛かったね!"という体験の共有を望む可能性すらあるのではないかと思います。

 

↑シドが取引している闇マーケットでは

 セレブの細胞を培養して作ったソーセージや

 セレブの履いていた下着を解析し

 同じものを証明書付で販売しています!

 

 

 

私見ですがそんな本作は、あこがれの人と繋がる事を望むという現代人の歪んだ自己実現を視覚化した、天才的な発想で作られた社会派映画であり、近い将来セレブたちは、ひょっとすると自分肉体の一部を販売しようとする可能性がある事を示唆したものではないかと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

↑ある老人は、4人のセレブの皮膚を

 自分の腕に移植し、それを触る事で

 彼らとの繋がりを感じて喜びを感じます。

 

 セレブと繋がりたい一般人と

 そんな繋がりをビジネスにするセレブは

 今後どんな関係となってゆくのでしょう?

 

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

お金持ちになったら

 

というテーマで

 

残酷メルヘン

親指トムの冒険

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい他者と繋がる自己実現の作品
「カムガール」

 

本作は、ネット配信で人気者になりたくて、風俗まがいのライブ動画を配信している女の子が主人公!
 

彼女は配信者ランキングで上位になって高額の報酬を得るためなら過激な配信も躊躇しません!

 

 

アイドルと繋がりたいファンの自己実現と、ファンに課金してもらいたいアイドルの自己実現の相関関係は、やがては病原菌の売買まで発展するかもしれませんね。

 

「私がひいてる風邪のウィルス欲しい人!いる?」