こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と80年代青春物語というテーマで
ワン・フロム・ザ・ハート(1982)
(原題:ONE FROM THE HEART)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★想像力と80年代青春物語とは?
本作は映画界の巨匠フランシス・フォード・コッポラの作られたスタジオの中にラスベガスの街を再建した超美麗なミュージカル!
↑一つの街をスタジオ内に構築!!
ネオンの街ラスベガスを超美麗ライティングで再現した本作の映像は、恐らくですが「ラ・ラ・ランド」にも大きな影響を与えたのではないかと推察されます😊
↑本作のロマンティックな夕闇。
↑「ラ・ラ・ランド」ロマンティックな夕闇。
どことなく似ていますね😘
凝りに凝った驚愕映像が連続する本作ですが、本作は公開時、興行的に失敗し、巨額の制作費を回収できなかったコッポラの黒歴史的な作品でもあるのです…
↑こんなに美しい作品なのに、
どうして不評だったのでしょう…
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
3人の男と3人の女の恋と別離?
なんか不思議な説明の仕方ですが、もう少し分かりやすく解説すると、本作は1組のカップルが喧嘩別れをして、別のパートナーと付き合ってみた事で、心の中の本当の気持ちに気づいて行くという正統派のラブストーリー
解説にある3人ありますが、ストーリーはフラニーとハンクのカップルのお話!
旅行会社に勤めているフラニーと、自動車の解体工場に勤めているハンクは、5年前に知り合い同棲しているカップルですが、最近気持ちがすれ違う事が多く、会話もギクシャクしがち!
同棲記念日に、これから喧嘩せずに仲良くしようと誓った2人でしたが、その直後に、お互いの体系の事を批判し始めて大喧嘩に発展してフラニーが家を出て行ってしまいます!
↑これからは喧嘩しないと言っていた2人ですが…
↑翌朝にはお互いを誹謗して大喧嘩になり
フラニーは家を出てしまいます
相手がいなくなった後2人は、恋人がいなくなった以上、新しい出会いを躊躇する必要がなくなったので、今度こそ、自分の理想の相手を見つけてみようと考えて街へと出て行き、今までのパートナーとは全く違うタイプの異性と出会います!
フラニーが出会ったのは、ぶっきらぽうでホコリまみれのハンクとは正反対のレイという紳士。
ナイトクラブでピアノを弾いているというレイは、ハンクのように怒鳴ったりせず、とても理知的な雰囲気!
↑ピアニストのレイはオシャレな紳士。
一方のハンクが出会ったのは、ライラという名のドイツのサーカス団で綱渡りをしている女性。
美意識が高く魅力的なライラは、ハンクの恋心を刺激します!
↑サーカスのオーナーと喧嘩していたライラは
美意識が高い女性!
さて、果たして新しいパートナーと出会う事ができたフラニーとハンクは、これまでの恋を清算してしまうのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
↑お互いの存在を認識できなくなる二人は
本当に破局してしまうのでしょうか…
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は「ゴッド・ファーザー」を撮った事で名監督と呼ばれるようになっていたフランシス・コッポラ監督が設立したアメリカン・ゾエトロープ社という撮影スタジオで撮られた作品であり、コッポラ監督の代表作となるべく作られた作品ではないかと拝察されます!
ですが残念な事に本作は、2600万ドル製作費に対して興行収入は63万6千ドルしか入らず、その後のスタジオ運営にも暗い影を落とす事となってしまいまい(後に倒産)、本作も2004年までDVD化される事のない幻の作品ととなってしまいます…
天候から時間まで、全てをスタジオ内でコントロールできるという超絶ハイテク・スタジオで作られた超美麗な映像の作品にも関わらず、本作は一体なぜ失敗してしまったのでしょう?
↑ハンクの働く自動車の解体工場で
幻想的な綱渡りをするライラ!
こんな綺麗な作品がどうして封印に!?
私見ですが、その原因は恐らく、80年代の観客がメジャーな映画館で観たかったのは、本作のような人間の内側にある感情を描く作品ではなく、明るく楽しくハッピーになれるエンターテイメント系の作品だったからだと思われます。
前回ご紹介させて頂いた「パーマネント・バケーション」も、大都会NYで何をして良いか分からない青年の心中を描いた作品ですが、公開されたのはマイナーな映画館!
つまり、80年代のような人々がエンターテイメントを求めていた時代においては、本作のような内傷的な作品は、裏路地の小さな映画館での公開を求められていたのだと考えられます。
↑冴えないカップルが喧嘩して別れる映画なんて
大スクリーンで観たくないよ
ですが時は巡り、病んだ心の内側を描いた作品が人気を博すようになる90年代になると今度は、明朗なハッピーエンドの作品が嘲笑の対象となる逆転現象が起きてしまうのです!
そう。
個人の人間の想いと時代の空気とは、必ずも一致しないもの!
恐らく本作は失敗作ではなく、時代が20~30年ほど早かった映画!
美麗な映像も、登場人物の状況を自分の身に置き換えて観るという鑑賞方法も、愛という感情の複雑さも、分からない時代には伝わらないものですが、永遠に伝わらない訳ではないのです!
amazonにおる本作のレビューは、星5つが48%、星4つが17%、星3つが16%、星2つが16%、星1つが5%というかなりの高評価となっており、成熟した映画の観方ができるようになった現代の観客にとっては、魅力的な作品となっているよう思えます😆
ですのでどうぞ2020年代の若者の皆さんも、作ったものが周囲の人に否定されたとしても絶望しないでください。
大失敗をして絶望を味わったはずのフランシス・コッポラ監督は、その後も作品を作り続け、今では彼の黒歴史ともいうべき本作でさえ、世界中の人から愛されるようになっているのですから😉
↑今、評価されなくても絶望しなでね😘
という訳で次回は
恋と結婚と選択と
というテーマで
ミスティック・ピザ
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
キラキラ80年代映画OST
「TONY ROGERS」
本作はミュージカル・シーンもある作品!
トム・ウェイツのちょっとプログレっぽい美しいメロディは、本作にピッタリのムーディな仕上がりですが、ひよっとするとそれもまた80年代初頭には早かったのかもしれません…
美麗な映像と共にご覧頂ければ幸いです🤩