こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と80年代青春物語というテーマで

 

アフター・アワーズ(1985)

(原題:AFTER HOURS)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★想像力と80年代青春物語とは?

失敗=挫折に繋がりやすいナイーブな若者たちが増えつつある現代。

ですが成功というものは、失敗を経験する事によって、自身に足りないものに気づく事で手入るものでもあります。

本シリーズでは、"グダグダな青春はダメなのか?"というテーマで、80年代の青春映画を中心に、失敗=挫折とは言い切れない事を考察してみたいと思います😉


↑VIVA!グダグダ青春😆
 

 

 

夜歩きが始まった80年代!

 

タイトルやポスターからもお分かり頂けるように、本作は夜の街を彷徨う男゛主人公の映画!

 

そして80年代は、"夜歩き文化"が誕生した時期でもありました😊

 

 

70年代以前の映画では、若者たちが夜の街で楽しむ場面はほとんどなく、夜は、得体の知れない人たちが蠢いている恐ろしい時間帯!!

 

↑夜の街にいる怖い人たち①

 (「ウォリアーズ」より)

 

↑夜の街にいる怖い人たち②

 (「ある戦慄」より)

 

↑夜の街にいる怖い人たち②

 (「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」より)

 

 

終夜営業の店もほとんど存在していなかった70年代以前の夜は、訳アリの人間たちだけが集まる不穏な時間だったのです!

 

 

ですが、ライフスタイルの多様化によって、ナイトライフを楽しむ人たちが増え始めた80年代は、危険さと楽しさが交錯した夜を描いた、80年代ならでは作品が多数生み出されていたのです😆

 

↑不眠症の男がロスの夜を徘徊する

 「眠れぬ夜のために(1984年)」

 

 

 

↑ベビーシッターと子供たちが

 夜のシカゴを彷徨い歩く

 「ベビーシッター・アドベンチャー(1987年)」

 

 

 

本作は、ちょっとした出来心で夜遊びに出かけた男が、80年代の混沌とした夜のNYで想像を絶する体験をする作品なのです!!

 

↑助けて!なんで僕が指名手配されるのあせるあせる

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

大都会ニューヨークで悪夢のような奇妙な一夜を体験する男を描く。

製作はエイミー・ロビンソン、グリフィン・ダン(主演も)、ロバート・F・コールズベリー、監督は「キング・オブ・コメディ」のマーティン・スコセッシ。

脚本はジョセフ・ミニオン、撮影はミハエル・バルハウス、音楽はハワード・ショアが担当。

共演はロザンナ・アークェットなど。

 

 

はい。
 
本作のストーリーは解説にある通り、大都会ニューヨークで悪夢のような奇妙な一夜を体験するという極めてシンプルなストーリー!
 
主人公のポール・ハケットは、会社で新入社員にワープロの使い方を教えている男。
 
一緒に夜遊びするような友達もいない独身のポールは、会社が終わった後のアフター・アワーズもあまり楽めていない様子汗
 
↑アフター・アワーズに予定なし…
 
 
一人で家にいても退屈なポールは、夜のレストランで一人読書をして過ごしていましたが、そんなポールに声をかけて来た女性がいたのです!
 
マーシーという名の女性は、彼が読んでいたヘンリー・ミラーの「南回帰線」という本を知っており「これは本ではなく、長い侮辱であり、芸術に吐きかけるツバだ」という文章まで記憶していたので、ポールは親しみを感じ意気投合!!
 
↑「南回帰線」を読んでいたポールに
 「その本好き」と声をかけてきたマーシー。
 なんか運命を感じますね😘
 
 
芸術家のマーシーはポールに、自分はこれから友人の家に行くけれど、もし良かったら夜中に自分の家に遊びに来ないかと誘ってくれたので、ポールは大喜び!!
 
念願の夢のアフター・アワーズが実現すると、11時30分を過ぎてからタクシーに乗って意気揚々とマーシーの住んでいる場所へと向かったポールでしたが、そこで体験した事は、ポールはもちろん観客である私たちも、想像できないような壮絶な体験だったのです!!
 
↑教えられた電話番号にかけると
 マーシーはまだ帰って来ていませんでしたが
 ポールの煩悩は止められません!
 タクシーを拾い、マーシーの家に突撃です😆
 
 
 
さて、ドキドキワクワクでマーシーの家へ向かったポールは、一体どな体験をしたのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
↑マーシーとのアフター・アワーズは
 (別の意味で)ドキドキワクワクだったのです!
 
 
 

 

80年代青春物語 "80年代の夜は混沌の世界!"

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作はポールが読んでいた「南回帰線」という小説とよく似た展開の作品。

 

「南回帰線」はヘンリー・ミラーの自伝的小説。

 

会社員として猛烈に働いても心の中の虚しさを消す事ができず小説家と成ろうと志したミラーは「芸術家になる前に、自分自身を打ちのめすような強烈な体験が必要だ」と考え、様々な体験をして紆余曲折の後に自分の心の拠り所を発見してゆくというストーリーである「南回帰線」をベースにした映画が本作であると考えるなら、心の中に虚しさを感じていたポールが、アフター・アワーズで様々な経験をした後、ラストで精神的な成長を遂げる作品なのではないかと想像されるのではないかと思います😊

 

↑人生に虚しさを感じていたポールが…

 

↑一晩で様々な体験をして成熟する映画では?

 

 

ですが、ヘンリー・ミラーが「南回帰線」を書いたのは1930年代!

 

1930年代がアメリカの隆盛期であったとしても、ポップカルチャーが勃興していた1980年代とは、環境が違いすぎます!!

 

 

好景気に沸いていた30年代に虚しさと感じていたヘンリー・ミラーと、新しいカルチャーに湧く80年代に虚しさを感じていたポールとでは、体験できる事が違い過ぎたのです!!

 

80年代は、様々な新しい人生観があふれ出したサブカルチャー全盛時代。

 

 

そんな80年代のNYで、一人30年代小説を読みふけっていたポールは、彼の考えていたような体験とはまったく異なる様々な奇人たちと出会う事で、精神的な成長ではなく、ひたすら混乱し続ける事となるのです…

 

↑気が付けば多数の夜中の住人たちから

 指名手配されていたポール!

 な、なんで俺がこんな目に!!

 

 

 

そう。

 

80年代は夜の文化は黎明期!

 

 

 

どんな文化でも、はじったま直後は混沌としているもの!!

 

本作は、そんな80年代の混沌とした夜を楽しむ人々の住むエリアに迷い込んでしまった不ポールが体験した「南回帰線」というより「不思議の国のアリス」のような作品となっているのです😊

 

↑80年代はみんなキラキラしていたの?

 とんでもない!!サブカルチャーの初期は

 破壊と混乱が交じり合った世界!

 

 そんな80年代の当事者たちは

 何が何だか分からず生活していました!

 

 だから2020年代の新しいカルチャーに

 今、ついていけなくても大丈夫!

 きっと今から10年くらい経てば

 2020年文化も洗練されてゆくのです😆

 

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

80年代パンク(地方編)

というテーマで

 

レポマン

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

 

★おまけ★

キラキラ80年代映画OST
「9 PM」

 

夜の文化が誕生していた時期に、それを楽しめなかった人は、どんな気持ちで夜9時を過ごしていたのでしょう?

 

チクタクという時計の音が、何かを急き立てるよう感じてしまうのは、夜の文化が生まれてしまった弊害。

 

2020年代に馴染めない若者はきっと、24時間この音楽が、心の中でリフレインしているのかもしれませんね…