こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と80年代青春物語というテーマで
アメリカ万才(1984)
(原題:PROTOCOL)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★想像力と80年代青春物語とは?
本作の原題は「PROTOCOL(プロトコル)」。
最近はインターネットの通信規格というIT用語として有名なプロトコルという言葉ですが、まだインターネットが普及していない1984年に作られた本作での意味は「儀典」という、ちょっと堅苦しさを感じる言葉。
…「議定」なんて堅苦しいタイトルなのに、どうしてポスターにはラジカセとバットを持った女の子が中心に描かれているの??
それは本作が、ポスターで後ろに並んでいるスーツの男たちと、女の子との関係を描いた作品だから!!
本作は、儀典の意味を全く知らなかったごく一般的なアメリカ人の女の子が、社会においてとても大切な事に気が付いてゆく"気づきの映画"なのです😉
↑尚、日本版のポスターでは
後ろ立っているのは他国の人ですので
本作のテーマと全く関係のないものと
なってしまっているのです
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
アメリカ娘が、特別外交官として活躍(?)するコメディ!?
こ、この解説は全く間違っています😨😨😨
本作の主人公のサニーは、人の好い陽気なアメリカ人の女の子。
サニーは遅刻の常習犯ですが、彼女が勤めているサファリ系コスプレのナイトクラブでは人気もの!!
↑遅刻するとチーターやゼブラなどの
人気衣装は他の女の子に取られてしまい
サニーの嫌いなエミューのコスプレに
そんな平凡な毎日を過ごしていたサニーでしたが、ある晩、仕事帰りに迎賓館の前を歩いていると、中東のオタールという国から来賓しとして訪米していたエミール殿下という人物が迎賓館から出て来るのに出くわします。
政治に全く興味がなく、エミール殿下の訪米も知らなかったサニーでしたが、興味本位で迎賓館の前の群衆に近づいた時、隣にいた男が銃を取り出したのを見て、咄嗟に彼の持っていた銃を奪おうと奮闘し、結果としてエミール殿下暗殺計画を阻止してしまったのです😆
↑TVで政治系ニュース番組が映ると
速攻ドラマに変えるサニーは政治に無関心!
↑そんなサニーが、偶然エミール殿下の暗殺阻止!
軽くお尻に傷を負ったサニーでしたが、現場がTV中継されていた事もあって、サニーは一躍時の人となりますが、彼女の勇気ある行動や屈託のない話し方などが支持されてサニー人気は爆増!!
その上、エミール殿下も彼女に好意を持った事を知った国務省の幹部は、サニーを政治的に利用して中東におけるアメリカの権益を拡大しようと画策し、サニーを国務省儀典局へ迎え入れる事にするのです!!
↑おい!この子逸材じゃないか!
エミール殿下を篭絡するために雇用しよう!!
ここでやっと儀典という単語が出てきましたね😊
儀典とは、儀式についての決まり事や規範的な行動の事!!
ですので、今まで儀典的な事など一切してこなかったサニーは、儀典局に勤める事となって、様々な式典のルールや、おもてなしの作法などを学んでゆく事となるのです😅
↑副大統領が自ら赴きサニーをスカウトに!
「良かったら儀典局で働きませんか?」
さて、今まで一切儀典的な事を意識して生きてこなかったサニーは、果たして儀典局の仕事をこなす事ができたのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
↑儀典の意味も分からないサニーは
あわてて辞書を片手に儀典の意味調べ!!
お父さん。私、儀典局で働ける?
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、ここまでの解説だと、「マイ・フェア・レディ」や「プラダを着た悪魔」のような"未経験者の女の子がスキルを磨いて輝くお勉強映画"のように思えるかもしれませんが、本作はどちらかというと、儀典局に勤める事になったサニーが、アメリカにおける儀典の意味について理解し、それを人々に訴えて行くという、自身が学んだことを社会の人に伝えてゆく作品!
↑礼砲の儀典を知らないサニーは
空砲を襲撃と勘違いて来賓の方を突き飛ばします
彼女は儀典局員として優秀とは言えません…
何も知らないサニーでしたが、素直な性格でしたので、儀典の意味やルールを少しずつ、そして確実に理解していき、遂には「アメリカ独立宣言」の意味にまでたどり着きます。
ある日、アラブの要人をアメリカ国立公文書記録管理局に案内する事となったサニーは、そこに展示されている独立宣言書を読んで欲しいと頼まれます。
サニーにとっても、独立宣言書を読むのは初めて!
彼女はたどたどしく独立宣言書を読み始めます。
人はすべて平等であり …侵す事のできぬ権利を
… 神から与えられている。
生きる権利 …… 自由の権利 … 幸福を追求する権利 …
これらの権利の確保のために政府を置き …
政府は国民の合意をよりどころとする。
はい。
もうご理解頂けたと思いますが、本作は、今まで自由に生きていたサニーが、政府の役割が、人々が自由な生活ができるようサポートする事であるというのが儀典だという事に気づくのです😊
再度ご説明させて頂きますが儀典とは、儀式についての決まり事や規範的な行動の事!
では、政府の人気取りのためにサニーを雇用したり、アメリカの利権のためにサニーを利用したりするという考え方に合致しているのでしょうか?
本作の後半、儀典を学んだサニーは、彼女の人気を利用しようとしていた政治家たちよりも深くアメリカ独立宣言に書かれた政治家として求められる資質を理解し、彼女なりにアメリカを良くしていこうと考えるようになってゆくのです😊
↑まるで若い世代の観客に読み聞かせるように
ゆっくりと言葉の意味を伝えてゆくサニー。
そう。
学ぶのに遅すぎるという事はありません!
本作は、親の世代と断絶しつつあった80年代の若者たちに向けた、良い社会を築くためには、私たち一人一人が何を考えた方がいいのか?を問題提起するような作品。
サニー自身が無知であったにも関わらず、少しずつ知識を得て大人へとなってゆき、ラストではアメリカ国民へのメッセージを送れるまでに成長してゆく姿は、現代におけるブロガーやユーチューバーたちの成長にも重ねて見る事ができるのではないでしょうか?
政府の人たちが後ろにいて、アメリカ国民であるサニーが前にいる本作のポスターは、独立宣言の意味をビジュアル化したものであり、善人である一般のアメリカ人たちが、生きる権利、自由の権利、そして幸福を追求する権利を確保できるよう政府が行動するのが儀典なのでは?というメッセージを込めて作られたものではないかと思います…
↑映画のラスト、再び公文書館を訪れたサニーは
壁に書かれている「アメリカ独立宣言」を
黙ってじっと見て、一人考えます。
80年代の若者は、何も知らずに社会に出て
仕事をする中で、知識や知見を得て
やがて自分なりの考えを構築していったのです😉
だから今の世代も、そんな感じでOKだと思います!
↑このブログの方も、ご自身で発見したアメリカ独立宣言の素晴らしさを
より多くの方へと伝えようとされていらっしゃいます😊
という訳で次回は
超定番の盤石さ!
というテーマで
恋しくて
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
キラキラ80年代映画OST
「ストラット(Strut)」(挿入歌)
80年代のPOPソンクの魅力は、ライトタッチでリズミカルなところ!
ヘビーなロックの70年代の反動のようなニューウェーブな空気は、2020年代の若者たちに"なんかカワイイ!"と支持してみらえそうです😄
シーラ・シーナ・イーストンのこの曲は、宝酒造のCM曲としても有名ですね😆
↑「日出ヅル国ノ宝物。」というキャッチコピーの秀逸!