こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と発掘良品の発掘⑭というテーマで
愛と憎しみの伝説(1981)
(原題:MOMMIE DEAREST)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★発掘良品の発掘とは?
本作は、1982年の第2回ゴールデンラズベリー賞の7部門で計9つのノミネートを受け、5部門で受賞を果たした、ある意味、伝説的な作品!!
ノミネートされた部門は、最低作品賞、最低女優賞、最低助演男優賞、最低助演女優賞(3名)、最低監督賞、最低脚本賞、最低新人賞の9部門であり、受賞部門は、最低作品賞、最低女優賞、最低助演男優賞、最低助演女優賞(ダイアナ・スカーウィッド)、最低脚本賞の5部門という事ですので、関係各位にとってはショッキングすぎる結果ですね…
ですが本作は、21世紀以降、世界中で問題が顕在化し始めた幼児虐待を描いた社会派作品!!
公開当時酷評され、ゴールデンラズベリー賞作品として嘲笑されていた本作ですが、恐らく現代においては、本作に描かれている幼児虐待を荒唐無稽だと笑ってバカする方は、ほとんどいないのではないかと思います…
↑本作は地獄のような幼児虐待映画なのです!
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
ん?
落ち目になってきた女優?母親として自分はどうあるべきか悩んでいた??
いいえ。
本作は「落ち目になってきた女優」や「母親として自分はどうあるべきか悩んでいた女性」映画ではなく、自己愛に満ちた女性が養女を見受けしてしまった事で起こった、身の毛もよだつ悲劇を描いた作品!!
主人公のジョーン・クロフォードは、かつて美人女優として人気を博していたMGMの看板女優!
↑「私の行状記(1935年)」のジョーン・クロフォード!
1930年代にはグレタ・ガルボなどと肩を並べて評されていたクロフォードは、ハリウッドに豪邸を構える大女優でしたが、年と共に美人女優としての地位は後退し、人気に衰えが見えてきました…
そんな頃、子供を産む事ができなかったクロフォードは、養子を持ちたいと願う様になりますが、養子縁組を斡旋する組織からは、二度の離婚歴と、多忙な女優生活が問題視され、養子縁組の許可が下りませんでした
ですが諦めきれないクロフォードは、弁護士のフィリップ・テリーという男性と結婚して養子をもらい受ける条件をクリアし、クリスティーナという女の子を養女に迎えます😊
↑MGMの弁護士であるフィリップを篭絡して結婚し
養女をもらい受ける条件をクリア!!
↑念願だった養女クリスティーナを授かります。
大女優ジョーン・クロフォードが養女の身請け人となったというニュースは美談として報じられ、クロフォードは再び女優としての人気を取り戻して行きましたが、その後、わずか4年でフィリップと離婚してしまったクロフォードは、感情の赴くままにクリスティーナに虐待を加えるようになっていったのです…
↑クリスティーナとお揃いの服を着て
クリスティーナ以上にカメラ目線のクロフォードですが…
↑クリスティーナの服が汚れていると
カメラマンに指摘されると表情が一変!!!
クリスティーナも危険を悟ります
さて、年老いて女優としての活躍の場が失ってゆくクロフォードにとって、養女クリスティーナとの生活は、どのようなものとなっていったのでしょうか!?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
↑家でクロフォードの朝食をベッドに運ぶのは
クリスティーナの仕事!
↑もし逆らえば、私の離婚したパパのように…
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は養女クリスティーナ自身が、クロフォードの死後に出版した「親愛なるマミー ジョーン・クロフォードの虚像と実像」という告発本を原作にして作られた"事実を基にした作品"!
↑原作本も映画と同じ「MOMMIE DEAREST」!
本作は、この原作本を忠実に映像化した作品にも関わらず、書いてある内容があまりにも女優ジョーン・クロフォードの社会的なイメージとかけ離れていたために、クリスティーナが死後クロフォードを貶めるために書いた捏造本だと言われ、結果として、ゴールデンラズベリー賞受賞作品となってしまったのだと思います。
曰くクロフォードは、MGMから解雇された晩に、MGM社長から送られた庭の花を切り落とした!
↑夜中に社長から送られたバラを切り落とす!
曰くクロフォードは、クリスティーナのクローゼットにクリーニング屋の針金ハンガーがあった事に激高し、クリスティーナを打擲した!
↑美しい家に、安っぽいハンガーをかけるな!!
曰くクロフォードは、邪魔になったクリスティーナを全寮制の学校に放り込んだ上に、お金に窮するようになると勝手に退学させた!
↑ママの新しい愛人をもてなすために
ウィスキーカクテルを振る舞うクリスティーナですが
差し出がましいと怒られ寮送りに…
ええっ
そんなドラマみたいな話、本当にあったの!?
マレーネ・ディートリヒなど、生前のクロフォードを知る俳優たちは、この本の内容は事実ではないと、クリスティーナを糾弾しましたが、彼等はクロフォードが役者であり、常に人前で演技をし続ける事ができるという事を失念していました。
そう。
俳優は人前で演技をするのが仕事!!!
だからこそクロフォードが友人たちに見せているイメージは、虚像であった可能性が捨てきれないのです!!
そんなクロフォードの本質を見抜く事ができたのは、俳優の裏の顔を理解している映画監督と身内だけ。
恐らくですが鋭い人間観察眼を持っていたロバート・アルドリッチ監督は、演技の裏にある彼女の本性を見抜き、「何がジェーンに起ったか?」という映画において、老いても自分がスターだと信じて疑わない醜い老婆をクロフォードに演じさせています!
↑あたし、まだまだ現役美少女俳優よ
…これを演じるって、俳優としては屈辱的なのでは
いいえ。
自己顕示欲が極めて強ったクロフォードは、嬉々としてこの訳を演じて、俳優としての再起をアピールしたのです!
さて皆さんは、クリスティーナの「親愛なるマミー ジョーン・クロフォードの虚像と実像」は、捏造本だと思われますでしょうか?
それとも…
↑好感度タレントにも裏の顔がある事は
現代においては、結構知られるようになりました。
↑カメラの前では演技し続けていた
女優ジョーン・クロフォードの真実の姿とは!?
という訳で次回は
檻の中から見る人間社会
というテーマで
不意打ち
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい発掘良品!
「冬の嵐」
全く芽が出ない女優のケイティは、自分の演技を高く評価し映画に出演して欲しいと願う男の元で、ロケをする事を決意しますが…
雪に閉ざされた館に、監禁同然となってしまったケイティは脱出できるのか?
「俳優は演技をする」という前提を生かしたサスペンス映画なのです😨