こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日もグラインドハウス今昔物語というテーマで

 

インスマスを覆う影(1992)

(原題:The Shadow Over Innsmouth)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★グラインドハウス今昔物語とは?

今月は、2020年10月に開催させて頂いた"想像力とおうちでグラインドハウス"の続編。

かつてホラーやサスペンスなどのB級作品を好んで公開していたグラインドハウスと呼ばれていいた映画館で人気を博していたような作品の過去と現在というテーマで、グラインド・ハウス系映画の新旧比較をお送りさせて頂いております🎃👻💀😆

 

 

 

クトゥルー神話作品5選④

 

本日の作品は「H・P・ラヴクラフトの ダニッチ・ホラー」に続き、日本発のクトゥルフ神話作品!!

 

既にご理解していらっしゃる方も多いと思いますが、日本の怪談や妖怪譚とよく似たH.P.ラグクラフト氏の作風は、日本人のマインドと親和性があり、多くのクトゥルフ神話関連の作品が日本国内で誕生し続けているのです😆

 

↑キャラクターがクトゥルフ神話の召喚呪文を唱える

 「Fate/Grand Order」!

 暗黒の彼方から何かの触手が!!!

 

 

本日は、地上波のTV番組「ギミア・ぶれいく」で放映されたラグクラフトの短編「インスマスを覆う影」の日本版

 

↑ラヴクラフトの生前唯一、単行本として出版された

 「The Shadow Over Innsmouth(インスマスを覆う影)」

 

 

そんな本作は、部外者に対して極端に閉鎖的な漁港に迷い込んでしまった若者が体験する恐怖を描いたゴシック・ホラー作品なのです!!

 

↑振り向けばそこには、魚のような人々が!!!

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「allcinema」さんのサイトによれば本作の解説は以下の通り。

 

旅の雑誌のカメラマン・平田は人混みの中で魚のような顔をした男とすれ違う。

その後、高名な写真家が撮った漁村の風景の中に例の男と同じ顔を見かけた平田は、その作品の「蔭洲升にて」と記された題名から、単身、寂れた漁村・蔭洲升へと向かう。

そこの住人たちは妙に無愛想で排他的だったが、そんな住人たちの中にありながら、平田に魅惑的な視線を送っていた妖艶な未亡人がいた。
彼は未亡人の家に誘われ愛し合う。しかし、その様子を物陰から見つめる住人たちの姿があった……。

夏のホラースペシャルとして、内田春菊のアニメ『呪いのワンピース』と共に放映された。

 

 

この解説にある通り、本作の主人公である平田はカメラマン。
 
日本全国を旅して風景写真を撮っていた平田はカメラ雑誌の編集部に雇われますが、編集長から「まだ知られていない秘境を取材して欲しい」と言われて、蔭州升(インスマス)という港町を取材する事にします。
 
 
彼は蔭州升の町を知っている訳ではありませんでしたが、編集長が「好きなカメラマンは土門拳や木村伊兵衛、それに藤宮伊右衛門」という言葉に奇妙な引っ掛かりを感じます。
 
土門拳と木村伊兵衛は日本を代表する超一流カメラマンですが、藤宮伊右衛門は聞いた事がありませんあせるあせる
 
平田は本屋に向かい藤宮伊右衛門の「昭和の残光」という写真集を手に取り、その中にあった蔭州升の漁師という写真に惹きつけられてしまいます!
 
 
その写真に写っていたのは魚のような顔をした漁師。
 
平時より時折、町で歩いている人間の顔が魚に見える事がある平田は、直感的に蔭州升の町に行ってみたいという衝動に駆られてしまったのです。

 

 

↑突如街にいる人が魚人に見える平田!
 
 
さて、近隣の人たち立ち寄る事のない寂れた蔭州升へ取材に向かった平田は、一体どんな体験をしたのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑蔭州升を調べていた時発見した新聞には

 魚人間の腐乱死体の記事!
 

 

 

グラインドハウス今昔夜話 "疎外感と既視感のアンビバレント"

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は見知らぬ寂れた土地に迷い込んだ時に誰もが感じるであろう不安な気持ちを映像化した作品!

 

↑おいおい。この町、何か不気味じゃないか…

 

 

見知らぬ土地で感じる不安の原因は、自分が異邦人である事を自覚しているからこそ感じる疎外感に近い感情!

 

誰も知らない、何も知らない土地では何が起こるか分からないという恐怖は、ホラー映画の定番といって良いのではないかと思います。

 

↑知らない土地では食堂さえ不安な場所。

 魚の頭を切り落としているだけなのに

 平田の不安な気持ちはどんどん高まっていきます!

 

 

もちんほとんどの場合、知らない土地で感じる違和感は思い過ごしであり、土地に慣れていくうちに不安な気持ちは解消されてよくと思います😊

 

 

ですがもし、その不安感が思い過ごしではなく、人間に直感的そなわっている危険を察知する超常的な能力だったとしたら…

 

 

 

そう。

 

クトゥルフ神話の真髄は、人類の常識を超越した禍々しい存在に出会ってしまった時に感じる恐怖を作中の登場人物と読者が共有する事!!

 

 

蔭州升で平田が感じる直感的な恐怖は、我々と共有できるものですが、彼が蔭州升以外の場所でも時々感じていた魚人と遭遇するような感覚は、我々とは共有する事がない平田だけの異質な感情!

 

この二つの別種の感情の秘密が解明された時、本作の真の恐怖が明かされます!!

 

 

 

魚人は、とっくの昔に蔭州升だけの存在ではなくなっていた!という恐怖に…

 

↑蔭州升の町に疎外感を感じていた平田ですが

 懐かしい光景がある事に驚きます!

 そして彼の感じた疎外感も本物ですが

 懐かしい感覚もまた本物だったのです!

 

 本作は「見知らぬ土地の恐怖」を描いたものでなく

 我々自身の記憶の曖昧さの恐怖を描いた

 サイコホラーでもあるのです!

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

クトゥルフは世界の恐怖へ!

というテーマで

 

DAGON

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

 

★おまけ★

併せて観たいグラインドハウス系映画
「マタンゴ」

 

ウィリアム・H・ホジスンの海洋綺譚「夜の声」が原作のクトゥルフ神話に類似した展開の日本製ホラー!

 

人間がいた形跡のある無人島に漂着した若い男女は、気が付けば彼等自身が、人類を脅かすような怪異と成り果てていったのです…