こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日もグラインドハウス今昔物語というテーマで

 

怒霊界エニグマ(1987)

(原題:AENIGMA)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★グラインドハウス今昔物語とは?

今月は、2020年10月に開催させて頂いた"想像力とおうちでグラインドハウス"の続編。

かつてホラーやサスペンスなどのB級作品を好んで公開していたグラインドハウスと呼ばれていいた映画館で人気を博していたような作品の過去と現在というテーマで、グラインド・ハウス系映画の新旧比較をお送りさせて頂いております🎃👻💀😆

 

 

 

変な邦題の理由は!?

 

…怒霊界…"どかいれい"って何!?

 

恐らくですが、こんな変な邦題となった理由は、本作が80年代にビデオで発売された日本未公開の作品だったから!!

 

↑こちらがビデオ発売時のパッケージ!

 

 

ビデオ黎明期にレンタルビデオショップで人気を博していたホラーやサスペンスといったジャンルでは、次々と海外の知られざる作品をソフト化してゆく事となりますが、作品に対しての深い知識もない日本の配給会社の担当者たちは、ダジャレや思いつきでつけた邦題の作品を大量リリースし、その名称のままDVD化されたものも少なくないのです😥

 

↑本日の作品と同じ1987年作品の

 「DEATHROW GAMESHOW」の邦題は

 「死刑執行ウルトラクイズ/おだぶつTV」!

 こちらはDVD化されています。

 

↑同じく1987年作品の
 「DEMON OF PARADISE」の邦題は
 「彼女がトカゲに喰われたら」!!

 …80年代はこんな時代でした😖😖😖

 

 

イタリア出身のルチオ・フルチ監督は、そんな80年代日本のいい加減な邦題の付け方によって、:作品の価値貶められた映画が少なくないのですが、彼の作品に変なタイトルが付けられてしまったのには、それなりの理由も存在していたのです…

 

↑本日は、本ブログで今まで解説を避けて来た

 ルチオ・フルチ監督作品に変な邦題が付けられる理由について

 解説させて頂ければと思います😊

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

『サンゲリア』などで知られるイタリア残酷映画を代表するルチオ・フルチ監督晩年の代表作。

昏睡状態の少女の怨念が転校生に乗り移り、自分をいじめた生徒たちに次々と復讐していく。
女優の全身を這う無数のカタツムリのシーンが話題に。

【スタッフ&キャスト】監督・脚本:ルチオ・フルチ 製作:エットーレ・スパニョーロ 脚本:ジョルジオ・マリウッツォ 撮影:カルロ・マリア・コルディオ 出演:ジャレッド・マーティン/ララ・ナツィンスキー/スージー・ケンドール/ジェニファー・ナウド

 

はい。

 

キネマ旬報社さんの解説にあるように、ルチオ・フルチ監督作品の最大の特徴は、容赦ない人体破壊の「残酷さ」!!

 

 

「サランドラ」では木片が目を貫き、「地獄の門」では後頭部から脳みそを鷲掴みにされ、「ビヨンド」では犬が喉笛を食いちぎり、「マーダーロック」では鋭い針金が裸体の胸に突き刺さります!!

 

↑「地獄の門」では、生き埋めになった女性を

 救出するためにツルハシを振り下ろし

 あと、数センチで顔を貫きそうになりますが

 ほとんどの作品では、実際に貫いてしまうのですあせる

 

 

これらのシーンはあまりにも残酷なので、映像を引用するのを差し控えさせて頂きますが、ルチオ・フルチ監督作品のショック・シーンへの拘りは他の映画監督を圧倒しており、彼が表現したかったのが、リアルな人間の死の情景であった事は間違いないと思われます!

 

↑ルーカス・クラナッハの「サロメ」は

 残虐上等のショック・シーンを描いていますが

 これは、ある種のリアリティの追求!

 

 

人間の心の闇や、地獄のような現実社会を度々描いてきたルチオ・フルチ監督は、人間が死んでゆく瞬間を可能な限りリアルに描く事で、ショッキングなシーンをオブラートに包むような凡百のホラー映画とは一線を画した作品を作られ続けてきたのだと思われます!

 

↑元友人が死霊となり、私の後頭部を抉りに来た!

 容赦ない残酷描写は、地獄の門が開いた世界の恐怖を

 リアルに伝えているのです!

 

 

 

では、本日の作品の解説に書かれている「女優の全身を這う無数のカタツムリのシーン」というのは、どんなシチュエーションなのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑全寮制の女子高に通っていた

 学校の清掃員の娘キャシーは

 クラスメイトに虐められて交通事故に!!

 

↑意識不明となったキャシーでしたが

 魂はキャシーの肉体を離れて転校生のエバに寄生し

 自分を貶めた人たちに対して

 怨念による復讐を始めます!

 

↑怨念となったキャシーの2人目の標的は

 エスカルゴが大の苦手な女の子!

 

 ↑そんな彼女を死ぬほど怖がらせてから殺すため

  キャシーの怨念は無数のカタツムリを

  彼女の周りに召喚してゆくのです…

 

 

 

グラインドハウス今昔夜話 ""

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作はオカルトの形を取りながら、内容的には「マーダー・ロック」に似た連続殺人鬼の映画となっております!

 

マーダー・ロックの犯人も、本作におけるキャシーも、殺しを行う理由は"過去の怨念"!!

 

 

彼等は、過去の怨念によって心の中の地獄の門を開き、残酷な殺人鬼へと変貌していき、その魂はもはや救う事ができせん!

 

 

 

そう。

 

心の中に蔓延してしまった狂気は、例え肉体が滅びてしまっても永遠に地上に残り続けているものなのかもしれません…

 

↑たとえ我、肉体は滅びようとも怨念は消えず!

 

↑美術の残酷描写を映画に持ち込んだ

 芸術の国イタリア出身のルチオ・フルチ監督は

 1996年にご逝去なされました。

 心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

ネクロノミコンの魅力

というテーマで

 

H・P・ラヴクラフトの

ダンウィッチの怪

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

 

★おまけ★

併せて観たいグラインドハウス系映画
「コックと泥棒、その妻と愛人」

 

芸術的な残酷表現のある映画と言えば、間違いなく本作!!

 

ジャン・ポール・ゴルチエのデザインした、赤と白の美しいレストランで繰り広げられる醜悪な人間の暴力と愛憎!

 

「吐き気のするような美しさ」というのは、本作の映像の事なのだと思います😄