こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と発掘良品の発掘⑫というテーマで
スキャナーズ
(原題:SCANNERS)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★閲覧注意!★
今回の内容は、作品の特性上、とても残酷なシーンをご紹介しておりますので、残酷な描写やスプラッターなシーンがお嫌いな方は、ご覧にならないようお願い申し上げます。
本日の作品は80年代に流行した超能力者(エスパー)映画の中でも話題となった作品の一つ!
話題になった理由は、当時の特撮技術の粋を尽くした頭が大爆発するシーンのインパクトが鮮烈だったから!!
ちなみに80年代は“頭が大爆発する映画”が量産された時代。
前回ご紹介させて頂いた「ゾンビ(1978年)」で、SWATが部屋に入った瞬間に人頭を吹き飛ばすシーンを筆頭に、「ローズマリー(1981年)」「デッドリー・フレンド(1986年)」「キルボット(1986年)」そし日本アニメの「吸血鬼ハンターD(1985年)」や「世紀末救世主伝説 北斗の拳(1986年)」に至るまで、あらゆる映画で頭を爆発させる描写を競っていた80年代!
↑「ゾンビ」における頭部破壊シーン
↑「デッドリー・フレンド」における頭部破壊シーン
↑「キルボット」における頭部破壊シーン
↑「吸血鬼ハンターD」における頭部破壊シーン。
…改めて80年代って、すごい時代だったんだと思います
けれど、そんな数多の頭部破壊シーンがある映画の中でも、本作のシーンは傑出したリアリティを感じさせる細部にまで拘ったすさまじい仕上がり!
↑苦しんでいる男の頭が突如大爆発!!
↑他の映画の頭部破壊は、特撮で作った感がありますが
本作の頭部破壊は現代アートと言って良い映像です!
…ちょっと、とんでもないない映像ですね
本作で、このような伝説的頭部破壊映像を生み出したのは人体破壊描写に強い興味を持っている芸術家気質のデヴット・クローネンバーグ監督なのです!
↑デヴッド・クローネンバーグ監督の1986年の「ザ・フライ」も
正視に耐えな人体破壊描写が観客を驚かせた作品です…
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
製作総指揮はピエール・デイヴィッド、ヴィクター・ソルニッキー、監督・脚本は「ラビッド」のデイヴィッド・クロネンバーグ、撮影はマーク・アーウィン、特殊効果はゲイリー・ゼラー、特殊メイクはディック・スミスが各々担当。
出演はスティーブン・ラック、マイケル・アイアンサイド、ジェニファー・オニール、パトリック・マクゴーハンなど。
解説にある通り、本作の主要な登場人物は思考するだけで人間を破壊する超能力をもつスキャナーたち!
ただし人間を破壊するほどの凶悪な力を持ったスキャナーはレボックという男だけ!
↑眉間に傷があるレボック。
レボックは、スキャナーを集めた秘密組織を作り、自分たちに協力しないスキャナーたちを次々と始末していたのです!!
↑スキャナーの実証実験の公聴会に参加したレボックは
被験者のフリをして壇上に上がり、何食わぬ顔をして
自分に従わないスキャナーの頭部を破壊します!
レボックたちの攻撃からVIPたちを守るボディ・ガード組織を養成しようとしていたコンセックという薬品会社ですが、レボックの超能力によってスキャナーたちはあえなく全滅!!
ですが、コンセックでスキャナーたちの能力を開花、発展させる役目を担っていたルース博士は、ベイルという非常に強い超能力を持っているスキャナーを密かに育成していたのです!!
↑凝視しただけで他人を心臓麻痺にするベイル!
こんな強いスキャナーはレボックとベイルだけ!!
さて、果たしてベイルは、レボックから送られてくる刺客を倒し、レボックを倒す事ができるのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
↑ルース博士によって才能を開花させたベイルは
並のスキャナーでは対抗できない力を身に着けます!
ここまでの解説だと、なんだかスーパーヒーロー映画のように思えるかもしれませんが、本作におけるベイルやレボックは、ヒロイックなキャラクターとしてではなく人知を超えた能力を手にして人間ならざる者へと変化してゆくものという視点で描かれており、物語の進行も非常に淡々としています。
↑ベイルの攻撃は、派手に敵を吹っ飛ばす超能力ではなく
脳の中を直接破壊してしまう地味だすが恐ろしい能力!
ベイルを抹殺しに来たスキャナーは廃人に…
そしてクローネンバーグ監督の他の作品の多くも、この人知を超えた能力を手にして人間ならざる者へと変化してゆくものについて描いたものとなっているのです!
↑ヒステリックな感情がカタチとなり胎児のカタチに!
「ザ・ブルード/怒りのメタファー」
↑有機体のゲーム機を体に接続した人間が見る世界は?
「イグジステンス」
↑ごく普通の優しい父親だと思っていた男の裏側には
人を殺す事に一切躊躇しない人ならざる感情が!!
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」
そう。
デビッド・クローネンバーグ監督が描く残酷描写はサディスティックな感情からではなく、昆虫などのような人間とは異なる感情を持った存在が人間に対して行う行為を映像化したもの!
↑スキャナーの能力を制御できず暴走し逮捕された
若き日のレボックの記録映像には、目の印の包帯が!
誰かに脳を除かれないよう目を描いたと語るレボックは
狂人か?それとも私たちと異なる感情を持ったからか?
そんな視点で観て頂ければ本作は単なる残酷映画ではなく、超能力を持ってしまった事によって、人間の感覚を失ってゆくレボックとベイブの観察日記のような作品だとご理解頂けると思います😊
↑超能力者同士の戦いに武器は不要!!
脳と脳とで戦うスキャナーたちの描写は斬新です!
私たちが関知する事ができない超感覚の世界を映像化するクローネンバーグ監督の作品は、昆虫や海底生物などの知られざる生態を覗き見るような感覚の作品なのです!
↑本作の中盤で登場する現代アート!
他者の感情が頭に直接響くというのはこういう感覚?
私たちの知らない感覚を持った人にとっては
世界はどう見えるのでしょうか…
という訳で次回は
死神との禅問答
というテーマで
第七の封印
という映画をご紹介させて頂ければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします😊
ではまた(*゜▽゜ノノ゛