こんばんは

ご覧頂きありがとうございます

\(^▽^)/




本日も

想像力とアーカイブ


というテーマで

想像力と中島哲也
シリーズ

を振り返ってみたいと思います。






現在において中島監督の最新作である

渇き。


公開当時、賛否両論を巻き起こした映画。







けれど、その多くが


話が分からない!

分からないけれど不快!

話が飛び飛びで
分かりにくい!



というものだったと記憶しています。





けれど、この映画は

何度も何度も観て
少しずつ内容を理解していく
タイプの映画

↑花様年華と同様
何度も観て、少しずつ内容を
理解していく作品です。






ですので

初見の感想だけで作品を判断するのは

かわいそうだと思います。

(ノ_-。)







けれど

分かりにくいのも事実!







特に謎なのが

失踪した少女の父親の藤島という男が

何を考えているのか分からない

ということです。

↑観客から全く共感を得られない
藤島とは、どんな人?






いつも暴言を吐き

何かというと暴力を振るうのは

一体なぜなのでしょう?






そんな藤島というキャラを理解するために

ちょっと寄り道をして

スカーフェイス

という映画をセレクトしてみました。





スカーフェイスの主人公の

トニー・モンタナは

怒りという感情を抑えきれない人






普通の人は

喜怒哀楽

なのですが

トニーの場合は

喜怒怒怒

みたいな感じなのです。




このタイプの人は

感情が抑えきれないと爆発してしまう

暴力衝動が
抑えられない人

↑キレたら上司でも見境なし!


だから

嬉しいときも、哀しいときも

楽しいときでさえ

暴力を振るい続けるのです。


↑死ね死ね死ね死ね死ね死ね!死ね!!





希望の土地アメリカに

成功しようと思ってやってきたトニーも

その抑えきれない暴力衝動で

せっかく築いた地位も、有人も、愛する妹も

全て失っていくのです…




愛情を暴力でしか表せない人。

それがトニーであり、藤島なのです。





次に

選んだ題材の本質
渇き。

を理解して頂けると良いと思います。






本作の原作である

果てしなき渇き

という小説は

超残酷(エクストリーム)な展開で

話題になった作品。

↑原作が
そもそも残酷な小説なのです。





ですので

予備知識なしでこの映画を観て

超残酷だからキライ!

というのは可愛そうだと思います。






映画の内容は

ラストを除けば、ほとんど原作どおり!





ですので

鑑賞のコツの一つは

超残酷な展開の映画だ

と理解して観ることだと思います。




また

話が飛び飛びで
分かりにくい

というのも

中島哲也監督作品の特徴として

理解してもらえると

鑑賞しやすくなると思います。





思えば

下妻物語も

嫌われ松子の一生も

パコと魔法の絵本も

告白も

話があっちに行ったり
こっちに行ったりする映画

です。






これは

時間軸の解体

というテクニックで

クウェンティン・タランティーノの映画にも

よく使われている技法なのです。


そして

映画のストーリーは

失踪した女の子の話ではなく

失踪とした加奈子に対して

周囲の人は

どのように関わろうとしたのか?

を描いていきます。

↑観るポイントは
周囲の人は
加奈子とどう関わってきたのか?
なのです。





加奈子と父親の関係は?
渇き。




父親である藤島は

加奈子を愛しているといっていますが

家庭に対しては徹底的に無関心






妻も娘も放っておかれ

たまに帰れば、暴力を振るう藤島。





そう。

藤島は加奈子とは繋がれていない存在

なのです。










ボクの理解している加奈子とは?
渇き。



では

彼女に恋する男子中学生のボクは

加奈子を理解していたのでしょうか?






実は彼も、加奈子に対しては

一方的な恋心を持つだけで

何一つ彼女を理解しようとはしていません。







ボクにとって加奈子は

勝手に妄想した理想の彼女に他ならず

過去に自殺した

同級生の緒方という学生と加奈子が

付き合っていたと思い

ボクも緒方みたいになりたい

と言ってしまうのです。





緒方と加奈子の関係も理解せずに…

↑ちゃんと加奈子を理解していれば…


↑ニヤリと笑った加奈子の心が
見えたかもしれないのに…




はい。

ボクも加奈子を理解していないのです。






加奈子の世界とは?
渇き。




では最後に

加奈子とはどういう人物なのか?

を考えてみましょう。





ここが原作と全く違うところなのですが

原作では

加奈子が悪の道に進んだ理由が

死んだ緒方の敵討ち

となっており

ある意味、救いになっていると思います。

ヽ(=´▽`=)ノ







けれど映画では

中島監督の追及し続けている

人と人とは理解しあえない

というテーマにそって

家族の誰とも
理解しあえなかった
孤独な少女は

一体、どんな存在に
なってしまうの?

という

普遍的なテーマとなっています。


↑加奈子は
どんな人生を送ってきたのか…





ボクと会話していた加奈子とは

お父さんは失踪中

お母さんは恋愛中

と笑って言った後に


私は落下中

と言っています。

↑なぜ彼女は落下中なのでしょう…



家族の誰とも繋がず

落下した先に待っていたもの…






それは

他の家族を破壊し続ける

化け物のような存在

なのかもしれないのです。

↑家族と分かり合えなかった子供は
どう育つの…





この映画は家族崩壊を

子供の視点から描いた作品。


↑心が崩壊したとしても
外見が変化するとは限りません。






心が死んでしまった
優等生



誰とも分かり合えない
人格


へと

育ってしまっていたのです…


誰とも繋がれなかった加奈子が
どんな行動をしていたのか…

それは是非、皆さん自身の目で
ご覧になって頂ければと思います。




中島監督はきっとこれからも

人と人とは分かり合えない

というテーマで

映画を作り続けてもらえると思いますし

それはきっと

私たちの人生にとって

考えるテーマを投げかけてくれるもの

ではないかと思います








という訳で次回は

色をテーマに観る映画

というテーマで

お送りさせて頂ければと思います。






ではまた(*^ー^)ノ