本日は

「エスケイプ・フロム・トゥモロー」



という映画を通して

想像力と
シュルレアリズム

というテーマで考えてみたいと思います。





現実的でないものに対して

シュールだ

と評されることがありますよね

(^^)






このシュールの語源は

シュルレアリズム
(surréalisme)






ものすごく大雑把に説明すると

現実ではない
人の内面世界を描いたもの

ということです。






絵で例えるなら


人間を描く

というのであれば

レンブラント

は上手ですね。


↑レンブラントの自画像。
雰囲気がよく伝わってきます(^^)






風景

というのであれば

バルビゾン派のコロー

などは秀逸です。


↑カミーユ・コローの「朝、霧の効果」
まるで写真のようです(^^)






光やゆらぎ

というのであれば

クロード・モネ

などですね。


↑光、風、空気などの存在を描くのが
印象派の素晴らしさです(^^)







では

心の中は…








(-"-;A

…と言われましても
人によってちがうような…







はい(^^)






心の中というのは

極めて私的な
内面世界






だからこそ

一人ひとり描く絵が
違うはず


ですし

もし、自分の心の中を

画家が描かなかったのなら

その人の心の風景は
誰も観ることができない

のです。






シャガールの
心の中の幸福感

シャガールの心の中の
幸福な風景(*´∇`*)






ムンクの
心の中の叫び

↑人には聞こえない音に耳をふさぐ
ムンク自身の不安を描かれています。





ダリが見ていた夢

ダリの「夢からさめる1秒前」。
…なるほど!!






これらは

「観て描く」

ものではなく

「見えないものを描く」

ということに挑戦しないと

描くことはできないのです。






そして当然、この手法は

映画においても使われています。





近年では

デビッド・リンチ監督の

「イレイザー・ヘッド」


デビッド・クローネンバーグ監督の

「ビデオドローム」

といった監督が作った

個人的な思いが
現実世界と交じり合って

説明しようのない
不可思議な世界を
作り上げている

という作品が

芸術性のある
作品

として

高く評価されているのです

\(^▽^)/






本日の

「エスケイプ・フロム・トゥモロー」


そんな

シュルレアリズム系の
作品






だから

ストーリー性や

エンターテイメントを

期待して観ると

あれれ?何コレ?

という感想になると思います。






この映画の売りは

ディズニー・ワールドで
無許可撮影を敢行!

ということですので


ディズニー好きの人も

ディズニー嫌いの人も


どんな映画なのかな?


と興味をかき立てられますよね

(*´∇`*)






…それは





行きたくない日に
ディズニーワールドへ
行った人の心の中


みたいな世界なのです。








???






なんで
行きたくないの?






ディズニーワールドは

楽しい夢の国

でしょ!?






はい(^^)






それは間違いありません。






けれど

楽しい場所だから

常に全ての人が心から楽しめる

という訳でもないのです。






例えば

ディズニーランドに

行く予定だった日の前日に

恋人に振られてしまったのに

グループデートだから

行かざるをえなかった人


というのは

心から楽しめないような気がします。


・°・(ノД`)・°・
心中、お察しします






この映画の主人公は

映画が始まった瞬間に

会社からリストラを宣告されます!


↑彼が主人公のお父さん。
映画の冒頭に幸せ気分が粉砕です!






これ

ショックですよね。






ちなみに

その電話を受けたのは…






ディズニーワールドに隣接した

リゾートホテルのベランダなのです。






部屋の中には

何も知らずに眠っている

妻と幼い子供が二人。












さて、この状況なら

みなさんだったら

心からディズニーランドを

満喫できるでしようか?


↑さぁ!今日は心から楽しむぞ!!

…という顔にはなれませんね(^^)






そして

そんな状況の
男性の心の中では

ディズニーワールドは

どんな風景に
見えるのでしょう?




↑楽しい夢の国へようこそ…






ねっ。





これは

彼の心の中の

シュールな風景の
映画


なのです!






男は

心ここにあらず
な状態


夢の国へと向かいます。






リストラされたことなんて

とても今、家族には言えません。






けれど、そんな彼に

妻はとても厳しい言葉ばかり

投げつけてきます。






どうも、夫婦仲は

冷め切っているようです。






そして子供たちは

やんちゃ盛り。






彼の言うコトを

何一つ聞いてくれません。







これからどうしよう…

妻との愛を感じられない…

家族とも一緒に楽しめない…






そんな彼の心の中の

ディズニーワールドは

いつしか

不安の国

であり

誘惑の国

であり

背徳の国

へと

変わっていくのです。


↑楽しいハズの世界は

↑彼には残酷な牙を向けます
(目つきに注目)







映画のタイトルは

ESCAPE FROM TOMORROW

未来から逃げろ!

ということですから

彼の心の中では


家族からも
今の自分からも
逃げ出してしまいたい



という思いがあふれて

映画は

現実か幻想か分からない
シュールな悪夢の世界

へと

向かっていくのです。


↑娘は一体、どうなってしまったの!


↑息子はなんで呪怨な目つきなの!?


↑お父さんの心の中は
少しずつ、でも確実に
狂気に犯されていくのです…






果たしてどんな内容なのか?


そして男はどうなってしまうのか?






それは是非、皆さん自身の目で

ご覧になって頂ければと思います。






ラストでは

ディズニーっぽく

信じれば夢は叶うよ!

と妖精たちが微笑んでくれます。


↑Yes You Can!(^^)






けれど

その夢とは…


ESCAPE FROM TOMORROW


歪んだ欲望

かもしれないのです。


↑狂気を感じるもう一枚のポスター。

ディズニーワールドを
こんな風景として見ているお父さんは
果たしてどうなってしまうの…





という訳で

せっかくシュルレアリズムの話

になりましたので

次回は引き続き

想像力と
シュルレアリズム


というテーマで


「ファンタズム」

という映画を通して

少年期の不安

について

考えてみたいと思います





ではまた(*^ー^)ノ