体力の無いリリーフは連投が効かず、肩もすっかり冷え切り、みなさまに忘れ去られた頃の最終マウンド。ともかく試合にけりをつけなければならない。
済州島を後に太平洋を目指し、九州と四国を迂回して紀伊水道経由、大阪湾を縦断し一路神戸港へ40時間弱のチョット嬉しいガジ航海だ。個人的には出港直後にこの手のクルージングを楽しみたかった。夜間就寝中に暗闇を航海し、目覚めたら寄港地に停泊済みで見えるのは寂しげな桟橋と場末っぽい港湾施設の繰り返しは、昼間に寄港地を自由闊達に闊歩出来ない身の上も相まって、とても貧乏くさく、やるせない想いが募るばかりだった。
このスイートは船首右舷最前位置なので、大層広いラナイ(バルコニー)からは、鹿児島沖を目指し南東に進路を取るエデンの船尾方向に、穏やかになった大海原に沈まんとする絶景夕日が楽しめた。
極上有精卵の黄身さながらの日没直前の太陽。少なめの光量、揺れる船体、構えづらいデバイス、不自由な手指、でも撮れてしまう昨今のスマホはオバケだ。画像処理一切なし。正確には人間の処理は無いが、スマホ側で断りもなく勝手に色々やらかされている気がする。
並みのアルコール類はフリー(無料)なのだが、ディスカウント酒店で2000円程度のものが供されており、料理同様に中々辛いのだ。クルーズ期間中を通してアップグレードするプランも提案されたが、スイートにベタ付けされていたボーナスポイントは使えず、有料追加は中身からコスパが合わず遠慮した。そこでワインラックに並ぶ気になるラベルに別途挑戦することになった。南米チリ・カサブランカバレーの白2種(シャルドネ&ソーヴィニヨンブラン)、赤2種(カベルネソーヴィニヨン&カルメネール)
結果は予想通りのチリワイン達でした。過去色々と試してみたのだがコレッ!と言う出会いが無い。どれも試飲レベルでむなしく船室に引き返した。余談ながら南米のお気に入りはアルゼンチンのマルベック(赤)とトロンテス(白)。粗野ながらたくましい個性があるナパバレーのジンファンデル(赤)や南アフリカのシュナンブラン(白)と言い、サードワールドの地酒は気候と土壌に最適な地葡萄的なセパージュで勝負するのが個人的には好もしい。
クルーズ後半は相方の体調が崩れてしまった。左下肢の痛みがチェジュ辺りから日々酷くなり、船酔いの危機が去ったのに夜間の不眠が悩まされることに。自分の為に持参したはずの電気足温器(延長コード持参大正解)が手(足)放せ無くなった。状況次第で下船したその足でかかり付けの病院へ行く行かない相談なども・・
3月21日朝6時半、一路東に向かうエデン船首方向に船室から臨む朝日。横でまどろんでいる相方も少しは落ち着いたらしい。
好天の中、終日九州と四国沖の太平洋を悠々とクルーズ。
時折、巨大な怪しい船影を見かける。備え付けの双眼鏡で見るも何処の何者かは判然としない。ところがスマホの望遠撮影を拡大確認する方が迫れたりする。
改めて画像が本当にショボい。クルーズ中の絵はもうこれで終わりなのだ。今回はクルーズ初経験であり、思わない流れで中国船籍を選択してしまった。日本船の飛鳥などであれば全く異なった思い出を得られたかもしれない。我々の選択したエクスプローラースイートⅠは上位から2番目の格付けで一番お手軽な船室の5倍弱の料金だった。確かに部屋もバルコニーも広さは充分あり、ウォークインクローゼットや化粧台に加えて特に貴重なバスタブなど上位スイートならではの設備があった。しかし主要都市の5つ星ホテルの平均的なスイートに比較して居心地で勝るとは思えない。専属のスタッフ2名(ベトナム男性と中国人女性)はいい奴らだったがバトラーではなく、あくまでも掃除主体のお部屋付きお世話係でしかない。何よりの違和感は料金を反映しているのが部屋がらみの違いしかなく、飲食関係にはほとんど差が無い事だ。レストランの予約(僅かにアドバンテージ有)や席のチョイス、料理と飲み物の提案、エンターテイメント関連の優遇など・・実際に利用をするかどうかは別にして、料金に見合う特別感が何かしらあっても良いと思うのだ。
最上級のオーナーズスイートを筆頭に特別感のあるスイートはたったの13室しかない。コンシュルジュや4か所のレストランのマネージャーの内はせめて数名はクルーズ終盤に名前ぐらいは覚えられないものかと思ってしまった。
何はともあれ3月22日早朝に目覚めれば既にエデンは神戸港に着岸済み。飛行機の様にスイート客が特別扱いで優先的に下船というわけでもなさそう、なさそう?な感じ。ひょっとしたら、あったけれども忘却扱いだったとか。お見送りイベントらしきものも特になし。こんな時に限って手配済みの神戸MKタクシーが珍しくどんくさい。少し車格がショボいボクシーがウロウロしながらようやく迎車。神戸でほんの数か所しかないクルーズ船着岸ターミナルへの迎車は初めてと言うドライバーは新入りさんではなかった。MKさんの神戸での存在感がどの程度かは知らぬが、クルーズという贅沢は日本に於いて特別というより特殊と言うべきなのかもしれない。でも待てよ、ひょっとしたら全く的外れで、そもそも上位スイートのVIPゲストはタクシーなど使うはずもなく、お抱え運転手が自家用リムジンの送迎で、人知れず隠密裏にとっくに超優先的に下船されていたとか・・
多少の回復もあって病院へ直行は免れた。さてどうする奈良の自宅には昼前に帰れるが、食材も無いし、買い出しの気力も作る気力も全くない。そして食欲ではなく味欲だけは凄まじい。ともかくまともで旨い和食系を体に入れねば始まらない。こんな火急で運よく昼の予約が取れたのは"和やまむら”さん。自宅から徒歩5分。障害者の私は車で2分。我々の路面店開業と同時期に開店されて以来25年?の老舗だ。ずっと変わらぬ安定感抜群の味付け、良心的な価格設定、後継者が見えないのだけが不安要素。
ずっと寒い日が続いており桜はまだまだ気配もなかったが、懐石料理は一足早く春爛漫だ。いやもう一口目から最後のお茶一滴迄、砂漠のオアシス。病院食におさらばし退院後初の娑婆のごはん。勿論過去何度となく頂戴しているお献立なのだが、ここまでの感動を再確認出来たという点のみはクルーズの貢献?と言えようか。
お口直しの昼食は、最後のごはんお替りも頂き完食したが、クルーズ体験記は愚痴ばかり、お粗末画像ばかりで消化不良も甚だしいがキリも無いのでこれにて一旦終了で投稿しよう。






