札幌では、今、ライラックの花が満開となり、大通公園ではライラック祭りが開催されている。そして可憐な鈴蘭も庭に咲きはじめている。
鈴蘭の花は白く小さな鐘のような形で、麗しく清楚な花である。北海道では原野の林内でも自生しているのを見かけるが、庭で栽培されているものはドイツスズランが多いらしい。
スズランの学名のコンバラリアは、ラテン語の“ Convallis (谷間)”が由来で、英語では“Lily of the valley(谷間の百合)”または“May lily”、フランス語では“Muguet”で、フランスでスズランの花は「聖母マリアの涙」の象徴とされている。
日本のスズランは別名で“君影草”の名前もある。ドイツでは「五月の小さな鐘」と呼んでいるらしく、西欧ではこの花を五月に愛する人に贈る風習があり、この花を贈られると幸福が訪れると信じられている。鈴蘭の花言葉は、純潔、繊細。
鈴蘭の可憐で清らかな白い花は、香りも姿形と重なるように芳しいのだが、クリスチャン・ディオールの香水で、「ディオリッシモ」は、鈴蘭の芳香をトップノートにしている佳品で、今でもロングラン商品である。
ディオールの有名な香水であるこのディオリッシモは、調香師エドモン・ルドニッカの制作で、“草原に咲く鈴蘭”をイメージして調香したそうだ。しかし、スズランを自然に蒸留し薫りを保つのは至難の業らしく、この香水はスズランの天然香料は使用されていない。
このディオリッシモという香水を、つけ始めの最初から、その残り香の消えるまで、やわらかくエレガントに包みこんで香るのが特徴的でる。
ディオールが「広く大勢の若い女性に使ってもらいたい」と願って作られた香水であるが、その通り発売以来、世界中の女性に愛用され続けているパフュームである。(了)