鉄道員(ぽっぽや)
浅田 次郎 (著)
今回紹介するのは浅田次郎著『鉄道員(ぽっぽや)』です。
高倉健と広末涼子のビックネーム二人によって映画化されたので有名ですよね。
娘を亡くした日も、妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた―。心を揺さぶる“やさしい奇蹟”の物語…表題作はじめ、「ラブ・レター」「角筈にて」など8編収録。第117回直木賞受賞作。(解説・北上次郎)
映画では尺の関係もあるかと思いますが、原作にない話が盛り込められて本来の子気味良さが失われてしまっているかとも感じました。
廃線になる駅に最後まで務めた男に不思議な現象が起こっていく訳ですが、途中にある志村けんの件とかあったり、(奇しくも最後の映画出演となるとは誰が予想できたであろうか?!)本筋とは大きく関わりのない物語なのです。駅の記憶が起こす奇跡と考えれば腑に落ちるかも知れませんが。
ただ、少しだけ言わせて頂ければ主演は高倉健では無いだろうなと思っちゃいました。(個人的な見解ですw
そう、
原作は短編集であって、一話々々が短いんですよ。
収録されている作品も全て同じテーマで書かれているんですね。
それぞれ共通するのは、既に死んでいる人間から何らかの方法でメッセージが届くという物語なんです。
時には幻、時には幽霊(?)手紙とか
そして
私が映画よりも原作よりも感動してしまったのが、
ながやす巧によるコミカライズなんですよ!
ながやす巧は『Dr.くまひげ』で有名ですよね?
え、ご存じない?
では『愛と誠』は知ってますよね。
「君のためなら死ねる!」by石清水
古いかw
そんな実力派の著者によるコミカライズは私の原作を読んだ時のイメージにぴったりだったんですよ。
特に同時収録されている「ラブ・レター」が秀逸なんですね。
チンピラ吾郎は刑務所から釈放されて「カミサンが死んだ」と聞かされます。借金で中国人女性と偽装結婚していた事を思い出します。形式上、葬式を出すなど手続きをしなければならなくなり、そんな遺品の中に自分宛の手紙があったのです。
一度も会ったことのない結婚相手からの手紙、どんな内容だと思います?
最初はこの短編集の中から何故これを選ぶ?とも思いましたが、
読んで号泣です。
きっとながやす巧氏もこの作品になにか思うところが在ったのでしょうか。
原作を超える出来なのではないでしょうか。
この漫画は映画を見た人も原作を読んだ人もお勧めしたいです。
お は り !
【注】本文中の個人の氏名等については敬称略とさせて頂いております。