日本では、健康診断の受診者が多い月は6月が最多で、続いて10〜11月が第2のピークと言われています。まさに今は健診の受診者が増える時期で、私の外来でも健診の診察や結果説明の受診が多くなっています。
健診結果を拝見していると、LDLコレステロールが高めの方は少なくありません。その際、「卵は控えているんですが……」とおっしゃる方もよくいらっしゃいます。
しかし実は、食事中のコレステロールを控えても、血中LDLを下げる効果はほとんどありません。
以前は厚労省の「日本人の食事摂取基準」に1日のコレステロール摂取上限が定められていましたが、現在は基準そのものが撤廃されています。
その理由は次の通りです:
- 食事から摂るコレステロールと、血中LDLコレステロール値の上昇との関連が弱い
- コレステロールの多くは体内で合成され、食事だけで左右される割合は小さい
- コレステロール制限よりも、飽和脂肪酸(バター、肉の脂身、ラード、洋菓子など)を減らすほうが、LDL低下に効果がある
LDLコレステロールを放置すると動脈硬化が進行してしまいます。効果の乏しい「食品中コレステロールの制限」よりも、飽和脂肪酸の控えめな食事や、野菜・海藻・豆類などの食物繊維をしっかり摂ることが、LDL改善にははるかに有効です。
LDLコレステロールが高値の方は、無理のない範囲で、今日から少しずつ実践してみてください。