今日の外来で、採血結果をお渡しした患者さんから「このALPとALP / IFCCって、何が違うのですか?」と質問を受けました。
ALPとは、Alkaline Phosphatase(アルカリホスファターゼ)の略です。体のさまざまな臓器、特に肝臓、胆道、骨、小腸、胎盤などに存在する酵素で、アルカリ性の環境でリン酸を分解する働きを持っています。
血液中のALP値が高いときは、**肝・胆道系の障害(胆汁うっ滞、胆石症、肝炎、肝硬変など)や骨の病気(骨軟化症、骨折の治癒期、Paget病など)**が疑われます。
一方、ALP / IFCCと書かれている場合も、測定しているのは同じALPですが、測定方法が違うのです。
IFCCとは、**国際臨床化学連合(International Federation of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine)の略で、世界的に共通の基準を作るために定められた国際標準法(IFCC法)**による測定を意味します。
以前は、日本独自のJSCC法という方法で測定していました。しかし、この方法は国やメーカーによって結果に差が出るため、より統一的なIFCC法に切り替えが進んでいます。そのため現在は、「ALP(JSCC法)」と「ALP / IFCC(IFCC法)」が併記されている検査結果も多いのです。いわば、移行期にあるというわけです。
同じ人の検査でも、IFCC法に変わると数値が低めに出る傾向がありますが、それは病気の悪化ではなく測定法の違いによるものです。