先日、健診を受けた患者さんの血中アミラーゼ値が少し高かったため、追加で分画検査を行いました。
その結果、膵臓由来のアミラーゼがやや高めであることがわかりました。
アミラーゼ(amylase)は、デンプンなどの炭水化物を分解する消化酵素のひとつで、主に膵臓と唾液腺で作られています。したがって、数値が高い場合は、どちらの臓器由来かを確認する必要があり、そのために「分画」という検査を行います。
膵臓由来のアミラーゼが高いときは、急性・慢性膵炎、膵管閉塞、膵腫瘍などが考えられます。
一方で、唾液腺由来のアミラーゼが高い場合は、耳下腺炎(おたふくかぜなど)や唾石症などが疑われます。
今回のケースでは、膵臓由来のアミラーゼがわずかに高いだけで、腹部エコー検査でも膵臓に異常は見られませんでした。自覚症状もなく、上昇も軽度であったため、経過観察としました。
半年ほど経ったころに、再検査を行う予定です。
このように、アミラーゼの上昇にもさまざまな原因があります。数値の背景を丁寧に見極めることが大切です。