君はもう、私が死の床に着いたとしても、傍に来てはくれない。手を握ってはくれない。愛を囁く事もない。

例え嘘でも。

私達を別ったのは、私の直向さと、君の正直さ。

求め合っていたのではないのだ。

求め合う。愛し合う。抱き合う。許し合う。理解し合う。

合う、という言葉は、実行するのはとても難しい。

それでも試みたのだ。ただひたすらに。

けれど、失敗したという、それだけの話。



君を一方的に責めてしまったけれど。

本当は私だって悪いのだ。

言葉が足りなかったし、理解が足りなかった。演じ過ぎたし、無理を求め過ぎていた。

許しを請う時間は用意されている。たっぷりと。



私達の手は一度繋がって、今、離れた。

これからは別々の道を。

一人と一人で、時折の笑顔を交わす。

いくら立場が似ているからといって、六条御息所に自らを重ねたりはしなかった。

私はいつだって私で生きている。他の物語に沈むことなく、私の物語は私で作っている。それだけが誇りだと、胸を張って言える。

故に、私はいつだって私で恋をする。



だって、私の演出家が言う程、君も私も詩的ではないのだ。

彼是見当違いに腐心して馬鹿馬鹿しいじゃないか、それで私は笑った。

一番うつくしいものを君と一緒に見たい。

君と私にとって、一番うつくしいものを。

それだけだった。答えはそれだけだった。

我々は考える葦である。我々は藻掻く馬鹿である。

自覚せよ!



以前より少しだけ痩せた身体で私は明日も生きる。

その事象だけに限って言えば、大切なのは君をちゃんと見る事だ。

あんなにも求め続けたその指先を、やっと与えられたのに、私には疑う事しか出来ない。
人は平気で嘘を吐く。
人の言動の九割九分九厘は虚偽である。
…いつになれば、こんな馬鹿馬鹿しい持論から自由になれるのかしら。


君が私に触れる度に、深くなるのは愛情より孤独。
愛やら、なんて無くたって男は女を抱けるのだから。女は男を抱けるのだから。故にソレを情事と呼ばず。
夜のうちに恋い慕う要因も見失ってしまった。暗中模索、濃くなるのは疑念の霧。
後ろ暗いのはどっち?恐らくは、お互い様。


嗚呼、苛々するぜ、畜生め。
泣いてしまうのは私、君は何を考えているの?