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※本記事には一部過激?な内容が含まれます。ご了承ください。

 

●クリスマス・プレゼント

 

静かな夜の風景にたんたんと降り積もる雪。

 

平野沙耶香の心とは対照的に、街の景色はクリスマスのイルミネーションに彩られていた。

 

笑顔がない。

 

笑いたくとも、もう以前のように笑うことはできない...

 

中学校で起きた悲劇。

 

彼女の脳裏にはトラウマが刻まれた。

 

画像...

 

あの画像、もう、学年中に知れ渡った。

 

もう学校には行けない。行きたくもない。

 

クラスや学年の生徒たちから嫌がらせを受けるから...

 

教師だって、問題に真剣に取り合ってはくれない。

 

沙耶香の両親が学校に相談したことがあるけれど、「沙耶香さんをからかっている生徒たちは少しおバカな子たちなんです」と言って軽くあしらわれた。

 

母の明美はそんな沙耶香のことをとても心配していた。

 

以前はよく笑う子だった。

 

学校に行くことも楽しみにしていた。

 

だけど、今は違う...

 

今の沙耶香は滅多に笑わないし、学校に行くのも嫌がっている。

 

更に、自室に籠って呟いているのだ。

 

「ごめんなさい。もう許してください。」

 

そう言って誰かに謝っている。

 

誰に謝る必要がある、誰に?

 

頭の中を混乱が支配する。

 

クリスマスくらいはせめて愛する娘に楽しい時間を過ごしてもらいたい、そう思って明美は眠りについた。

 

沙耶香のためのクリスマスプレゼントを以前から周到に準備していたのだ。

 

ついに、それを渡せる時が来る、そう思った。

 

だが、今朝目を覚ましてすぐに不吉な予感に襲われた。

 

静かなのだ。

 

まるで、人が誰もいないかのように静寂に包まれた家の中。

 

沙耶香の部屋のドアをノックする。

 

返事がない。

 

慌ててドアを開ける。

 

姿がない。

 

消えた。沙耶香が手の届かないどこかに行ってしまった...

 

明美はその日のうちに捜索届を警察に提出した。

 

沙耶香が発見されたのはそれから20日後のこと...

 

彼女は帰らぬ人となった。

 

人が滅多に通らないような空き地で、凍死体となって発見されたのだ。

 

なぜ? なぜ娘がこんな目に?

 

怒りで体が震える。

 

その後の警察の調べで、沙耶香が学校で受けていた仕打ちが次々と明らかになった。

 

悪口や暴力はもちろんのこと、猥褻な画像を送るように強要されたり、川に突き落とされたり、踏んだり蹴ったりである。

 

悲劇はこれだけに留まらない。

 

この一連の事件は、あの平林莉子に目を付けられてしまったのだ。

 

莉子は悲しそうな眼で漫勉の笑みを浮かべると手鏡に向かって囁いた。

 

「いじめのトラウマって一生の傷になるのよね。莉子もいじめられてたことあるからあんたの気持ち良くわかるわ。莉子が今楽にしてあげる。」

 

そう言って、沙耶香の死体の心から不幸を吸収した。

 

今までとは比べ物にならないほど、大きい不幸。

 

莉子はその半分だけを吸収した。

 

残った不幸に向かって、鏡を通して命令を下す。

 

「あんたたち4つに分裂しなさい。莉子が力を与えてあげる。」

 

そう言ってエネルギーを注ぐと、不幸の残骸は4つに分かれて莉子そっくりの姿となった。

 

「あんたたち、幸福の戦士をタイマンで倒して来なさい。一ノ瀬海翔はこの莉子が相手するわ。」

 

不幸の残骸はそれぞれの戦士たちのもとに向かった。

 

南瀬ほのかは学校から帰って宿題をやっている最中だった。

 

突然、目の前に竜巻が現れたかと思うと、それが平林莉子に姿を変える。

 

「マジカルトランスフォーマー!」

 

幸福の戦士に変身する。

 

不幸の残骸がほのかに襲い掛かる。

 

その時、ほのかの目の前に何者かが現れた。

 

不幸の残骸の行く手を阻む。

 

「ここは俺に任せて、テメェは湊音のもとへ向かえ。あいつの命が危ない。」

 

そう、彼女の正体は、あの月島伊吹である。

 

ほのかの危険を察知していち早く駆けつけてくれたのだ。

 

「分かった。誰だか知らないけど、ありがとう!」

 

ほのかはすぐに湊音のもとに向かった。

 

田中恵理も家の中で不幸の残骸と闘っていた。

 

「マジカルフラッシュ!」

 

弾丸を放つ。

 

だが、俊敏な不幸の残骸はそれをさらりとかわした。

 

不幸の残骸が姿を消したかと思うと、恵理に後ろから蹴りを喰らわせる。

 

恵理が体勢を崩す。

 

「これで終わりよ!」

 

 

莉子の姿をした不幸の残骸が恵理に襲い掛かった。

 

白石梨乃は無数の平林莉子を目にしていた。

 

どれが本物か判断がつかない。

 

いくら弓で射ってもいくらでもゴキブリのように沸いてくる。

 

「何なのよ。コイツら。」

 

本物がどれかわからないのは当然である。

 

本物の平林莉子はこの中にはいないのだから...

 

一ノ瀬海翔は公園で遊んでいた。

 

そこに本物の平林莉子が現れた。

 

「あんたの相手はこの莉子よ。」

 

彼女の手にしている手鏡にはどこかで目にしたことがある少女の姿が映っている。

 

海翔はそれを見て察した。

 

ニュースで報道されていたいじめ事件の被害者だ。

 

「いじめで亡くなっちまった尊い命の弱みに付け込むなんてよ、おめぇは何て卑劣な奴なんだ。僕がお仕置きしてやるぜ、ラブリエチェンジ!」

 

神秘的な姿のデューグリュックが姿を現す。

 

それを見て、莉子はゆっくり髪をかき上げた。

 

「バカな子ね、この莉子に倒されるのはあんたの方よ。」

 

 

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