・真由を救え
暫く沈黙が続いた後に好美が口を開いた。
「おい、真由。白石真由、テメェ、良い加減にしろよ。いつまでくよくよしてんだよ。情けねぇな。自分のやったことに反省する気持ちがあるなら、あの女の死を無駄にすんな。今のお前を見たら、天国のあいつがどういう顔をするか考えろ。」
低くて、ドスの効いた声だった。先ほどまで涙目だった好美がさっきまでとは一変した鬼のような表情を浮かべたことに、瞳子は驚いた。彼女が時と状況に応じて質の高い演技をする技術を持ち合わせていることは分かっている。だが、それが分かっている上でも見事としか言いようのない変わりようなのだ。今度ははじめて声が聞こえた。ヒステリックに叫ぶ悲鳴のような声。
「黙れ、もう私は…….ブスとかデブとか、身体のこと悪く言われて、顔のことまで罵られて、大切な友達1人も守れなかった私の気持ちにもなってみろ。そこまで言うんなら、田村好美、二度と卑怯な真似すんなよ。」
好美の顔が僅かに歪む。
「真由、お願い、開けてよ。桃子の分まで、イーグル狩り、また一緒に頑張ろ。」
彼女のすすり泣く声が聞こえた。そして、鍵を開ける音が聞こえる。真由が飛び出してきた。寝巻のままの姿で以前よりも瘦せ細っていたことから、ここ最近まともな生活が遅れていなかったことは明らかだった。真由は瞳子の身体に抱き着いて子どものように泣き始めた。
「私のせいで、桃子が…ごめんなさい、ごめんなさい……」
「大丈夫だよ、もうそんなに自分を責めないで」、瞳子は彼女に優しく声をかける。