5歳を越え、無発語(「チョ」に似た音のみ)、自閉症、重度知的障害の息子の言葉を引き出そうとジタバタもがいていた頃の続きです。
昔のやり方なので、きっと今はもっと効率的なセラピーがあると思います。
できる限り思い出して書いていますが、専門家でもなく、一経験談として斜め読みしていただければ、幸い。
ABAで簡単な体の動き、口の形(母音あいうえお)が真似でき、母音は発声できるようになった頃、ABAの分派(?)VBという言語療育プログラムを知り、保護者さんの勉強会から、有志家族でセラピストを招聘して指導を受けはじめました。
また、ざっくり書きですが、基本的な考え方は
“人が、一般的に成長していく中で身に着けていく機能の順に言語を教えていく”
というもの。
個人的な感想としては、コミュニケーションしたい気持ちを育てつつ、言語を教えていく感じでしょうか?
その機能の順です。具体的には、バナナを例にとると、
1.要求(VBではマンドと呼ばれていました)
⇒自分の要求を伝える言葉として。バナナが欲しい時に“バナナ”という。
2.命名(VBでは、タクト)
⇒自分の目に見えているものを表す言葉として。バナナが目の前にある時に“バナナ”と、
それをさして言える
3.発声(VBではエコー)
⇒口から音声として発する言葉として。“バナナ”を音声で表現する
4.RFFC(Receptive by Feature Function andClass)
⇒音声指示で機能・形態・様子・分類を受容で選べるか。「黄色いのさわって」「果物さわって」「皮をむいて食べるのどれ?」などでバナナを選ぶ
TFFC(すみません。単語忘れました)
⇒機能・形態・様子・分類を声に出して答えられるか。「バナナってどんなもの?」の質問に「果物」「黄色い」「皮をむいて食べる」など答える。
5.イントラ(会話として使える能力?目には直接見えないものについて話す言葉
(うちはここ、ちょっぴりで中断したので、あいまい)
⇒目の前にそのモノがなくても、それについて話せる能力。バナナが目の前になくても、
“バナナ食べたいね。”と言われたら、脳内にバナナが思い浮かび、“八百屋さんで売ってたよ”とか?会話が発展するような。
セラピーでは、歌の続きのフレーズを促したり。(曖昧、すみません!)
のように教えていきます。
我々大人は、「バナナ」という言葉をこれだけの機能を駆使して、日常生活に使っているわけです。結構、すごいですね、私たちの言語能力。
どの段階から教えるかは、ABLLSという、定型発達児の言語発達を参考にして平均スキルをグラフ化したもの、で査定し、どれだけ到達しているかによって進んでいきました。
これが細かい細かいもう、言語を科学的に教える感満載
すべてがきちんと数値化される感じ。雑な私は、項目をみただけでおじけづきました。
ちょこっと書くと、「指導への協力と強化子の効果」「視覚情報処理」「受容言語」「模倣」「要求」「自発的発声」「命名」などなど。A~Zまで。
でも、それによって、どの部分にアプローチしていけばよいか、一目瞭然。
うちは、言語を教えるというより、まず、第一段階のマンド(要求)が圧倒的に足りない
要求を出すには、環境作りから。
今まで自由に取り出せるようにしていたおもちゃを、全て、クローゼットにしまい込みました。
はいどうぞ、と出していた果物やおやつも、ちょいと待て。
欲しければ、要求してね、意思表示してね、という事です。
でも、いきなり“要求”って本人にはわかりません。また、本人のストレスになってしまっては、もちろん、逆効果。
そこで、まず、好きなおやつなら、いくつかを単語を言いながら、渡してみる。
この、何も求めずあげる、ただあげ(当時、仲間内では「ただあげ」と呼んでたもので。正式名じゃありません)がすご~く大事。
楽しい遊びを提供したり、とにかく本人の好きそうなものをふっていく。
ここであまり要求のない子でも、「お、欲しいかも(やりたいかも)」って、その気になっていくんですね
セラピーの具体例としては、イチゴを使うなら、
「イチゴ」と、そのモノの名前だけを言い、渡す。(“イチゴよ~、おいしいね”などと、いらんことは言わない(笑))
何度目か、子供の“欲しい気持ち”が最高潮に達したら、すぐ渡さず、「イ・・」と手助け(プロンプト)をして待ってみる、「イ・・」とか「イチゴ」と真似したら瞬時にイチゴを渡す。
てな感じで、“親(やセラピスト)の音を真似したら手に入る(してほしいことやってもらえる)、自発でなんか言うと得するらしい”図式を理解していきました。
うちの場合は始め、セラピー1時間中に60回のマンドが目標。
一分に1回。とても無理~と思いましたが、必死でやるうち少しずつ増えていきました。
達成できた後も一時間150回に達するまでは、課題でした。
また、発音が多少悪くても直し不要と言われました。(その後も発音直しは、この子の場合、話す意欲をそぐから、という事で、ずいぶん経ってからでした。)
確かに定型発達のお子さんって、2,3歳児なら、ひっきりなしにお母さんに話しかけて、何か要求していますよね。そうして、何千、何万回ものどを音声が通って、言葉を獲得していく・・・。それも自発的行動で。
そう考えると理にかなっていました。
が、食べ物、感覚遊び、位にしか興味のなかったうちは、欲しい物・事探しから。
始めは難しかったですが、少しでも興味のありそうなものは何でも使い、マンドを引き出せるようになっていきました。
おんぶ、肩車、抱っこして振り回す、バスタオルにのせタオルブランコ、風船をシューっと飛ばす、ふくらます・・・。ジュースづくり、おやつのデコレーション、食べ物系は本人の“欲しがる気持ち”が高く、多用しました。スライム作り、小麦粘土こね、など触覚遊びも。
自販機のおもちゃのコイン、声が出る電話に差し込むカードとか、おもちゃで遊ぶ興味が出てきたら使えました。
そんな風にまず、要求と名詞を覚えて、表出するようになっていきました。
もうちょっとだけ、書き足したいかも。覚えていった品詞の順番とか・・・。
そのうち➂書きたいです。
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