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 半蔵はその峰の上で、そこに自分を待ち受けている峠村の組頭、その他二、三の村のものの声を聞いた。
 清水というところまで帰って行った。馬籠の町内にある五人組の重立ったものが半蔵を出迎えた。陣場まで帰って行った。問屋の九郎兵衛、馬籠の組頭で百姓総代の庄助、本陣新宅の祝次郎、その他半蔵が内弟子
うちでし
の勝重
かつしげ
から手習い子供まで、それに荒町
あらまち
からのものなぞを入れると、十六、七人ばかりの人たちが彼を出迎えた。上町
かみまち
まで帰って行くと、問屋九太夫をはじめ、桝田屋
ますだや
、蓬莱屋
ほうらいや
、梅屋、いずれももう髪の白いそれらの村の長老たちが改まった顔つきで、馬籠の新しい駅長をそこに待ち受けていた。



「あなたは勤王家ですか。」
「勤王家かとはなんだい。」
「その方のお味方ですかッて、外人 彼女きいているんですよ。」
「お民、どうしてお前はそんなことをおれにきくんだい。」
 半蔵は本陣の奥の上段の間にいた。そこは諸大名が宿泊する部屋
へや
にあててあるところで、平素はめったに家のものもはいらない。お民は仲の間の方から、そこに片づけものをしている夫
おっと
を見に来た時だ。
「どうしてということもありませんけれど、」とお民は言った。「お母
っか
さんがそんなことを言ってましたから。」
 半蔵は妻の顔をながめながら、「おれは勤王なんてことをめったに口にしたこともない。今日、自分で勤王家だなんて言う人の顔を見ると、おれはふき出したくなる。そういう