航路
ひとり海を眺める男・矢部リー。
何ができるのか?
今、この俺に何ができるのか?
少し欝陶しい風が助手席の窓から入り込み
ヤニの染み付いた車内をぐるぐるまわり
運転席の窓から、俺にこびり付いたまるで座礁したタンカーから漏れる重油のような色をした幽霊を道連れに飛び出して行く
何ができるのか?
今、この俺に何ができるのか?
一瞬、身軽になった俺に
希望の光りが見えた
エメラルドグリーンの海面がキラキラと輝いているが
そんなもんじゃなくもっと視界を覆い尽くすような、重力がなくなってこの宇宙全体をも覆い尽くすような光りが
一瞬見えた
でも一瞬だけ
ほんの一瞬だけ
ゆっくりと一息つくと
助手席の窓から欝陶しい風とともに
また、あの幽霊がやってきて俺の体にさも居心地が良さそうに住み着いた
俺に何ができるのか?
今、この俺に何ができるのか?
決まった航路を進み続ける連絡船を見て
自由という言葉は絶望感でいっぱいだ
何ができるのかではなく
どうやって進んで行くのか
どうやって生きて行くのか
ゆっくりと自信に満ち溢れた顔で進んで行くあの連絡船は
しっかりと俺に生き様を見せ付けていった
オレの体にまとわり付いた幽霊は
そういえば自分で飼い始めたんだったな
何ができるのか?
今、この俺に何ができるのか?
少し欝陶しい風が助手席の窓から入り込み
ヤニの染み付いた車内をぐるぐるまわり
運転席の窓から、俺にこびり付いたまるで座礁したタンカーから漏れる重油のような色をした幽霊を道連れに飛び出して行く
何ができるのか?
今、この俺に何ができるのか?
一瞬、身軽になった俺に
希望の光りが見えた
エメラルドグリーンの海面がキラキラと輝いているが
そんなもんじゃなくもっと視界を覆い尽くすような、重力がなくなってこの宇宙全体をも覆い尽くすような光りが
一瞬見えた
でも一瞬だけ
ほんの一瞬だけ
ゆっくりと一息つくと
助手席の窓から欝陶しい風とともに
また、あの幽霊がやってきて俺の体にさも居心地が良さそうに住み着いた
俺に何ができるのか?
今、この俺に何ができるのか?
決まった航路を進み続ける連絡船を見て
自由という言葉は絶望感でいっぱいだ
何ができるのかではなく
どうやって進んで行くのか
どうやって生きて行くのか
ゆっくりと自信に満ち溢れた顔で進んで行くあの連絡船は
しっかりと俺に生き様を見せ付けていった
オレの体にまとわり付いた幽霊は
そういえば自分で飼い始めたんだったな


